【決算記事情報】科研製薬は20年3月期3Q累計増益、通期減益予想据え置き

科研製薬<4521>(東1)は整形外科・皮膚科領域を主力とする医薬品メーカーである。20年3月期第3四半期累計は研究開発費が大幅減少して増益だった。通期減益予想は据え置いた。第4四半期の研究開発費の実行しだいとなる。

■整形外科・皮膚科領域を主力とする医薬品メーカー

 整形外科・皮膚科領域を主力とする医薬品メーカーで、農業薬品や飼料添加物、不動産賃貸(文京グリーンコート関連賃貸)なども展開している。

 主要製品は関節機能改善剤のアルツ、外用爪白癬治療剤のクレナフィン、癒着防止吸収性バリアのセプラフィルム、創傷治癒促進剤のフィブラストスプレー、高脂血症治療剤のリピディル、およびジェネリック医薬品である。歯周組織再生剤リグロスは18年3月期から販売本格化、腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコアは18年8月販売開始した。2020年3月期第3四半期には原発性腋窩多汗症治療剤BBI-4000の製造販売承認申請を行った。

 中期経営計画では目標数値に21年度売上高945億円、営業利益250億円、ROE12%以上を掲げている。免疫系、神経系、感染症の3領域を柱として自社創薬基盤を拡充・融合し、開発パイプライン充実を推進する。

■開発パイプライン

 主要開発パイプラインは、熱傷焼痂除去を適応症とするKMW-1(メディウンド社から導入、第3相)、爪白癬症を適応症とするKP-607(自社開発、第2相準備中)、アタマジラミ症を適応症とするKAR(アーバー社から導入、第1相)である。

 提携先が治験を実施している案件では、レナバサム(コーバス社から導入)はコーバス社が全身性強皮症を適応症として国際共同第3相、皮膚筋炎を適応症として国際共同第3相、尋常性乾癬を適応症とする自社創薬KP-470は導出先のボシュヘルスがカナダで治験段階である。

■20年3月期3Q累計増益

 20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比1.3%減の929億円、営業利益が9.3%減の223億円、経常利益が9.1%減の227億円、純利益が9.4%減の161億円としている。配当予想は19年3月期と同額の150円(第2四半期末75円、期末75円)である。

 医薬品輸出や特許料収入の減少で全体として減収見込み(主要医薬品の売上計画はアルツが0.3%増、クレナフィンが2.7%増、セプラフィルムが0.8%増、フィブラストスプレーが2.4%増、リピディルが20.8%減、ジェネリック医薬品が1.2%増)としている。利益面は研究開発費増加(3.3%増の106億円)や減価償却費増加(11.5%増の24億円)で営業・経常減益予想としている。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比3.3%減の701億78百万円、営業利益が12.7%増の224億32百万円、経常利益が12.7%増の228億29百万円、純利益が9.2%増の155億54百万円だった。アルツが3.9%減収、クレナフィンが0.6%減収と伸び悩んだが、研究開発費が大幅に減少(38.8%減の47億41百万円)して増益だった。

 第3四半期累計の営業利益は通期予想を達成しているが、通期は第4四半期の研究開発費の実行しだいとなる。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■東京・愛知・兵庫で屋外広告も掲出、号外や無料バッティング企画も実施  Major League …
  2. ■新生児対象の臨床試験で抗炎症作用と菌叢改善を実証  森永乳業<2264>(東証プライム)は7月2…
  3. ■「日本栄養・食糧学会大会」で研究成果発表、科学的根拠を提示  味の素<2802>(東証プライム)…
2025年9月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■東証市場、主力株急落と中小型株逆行高で投資戦略二極化  証市場は9月19日に主力株の急落と中小型…
  2. どう見るこの相場
    ■プライム市場の需給悪化を警戒し、個人投資家は新興市場へ資金を逃避  「桐一葉 落ちて天下の秋を知…
  3. ■01銘柄:往年の主力株が再評価、低PER・PBRで買い候補に  今週の当コラムでは、買い遅れカバ…
  4. ■日米同時最高値への買い遅れは「TOPIXコア30」と「01銘柄」の出遅れ株でカバー  日米同時最…
  5. ■東京株、NYダウ反落と首相辞任で先行き不透明  東京株式市場は米国雇用統計の弱含みでNYダウが反…
  6. ■株式分割銘柄:62社に拡大、投資単位引き下げで流動性向上  選り取り見取りで目移りがしそうだ。今…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る