ジーニーは底放れ、20年3月期営業黒字予想

日インタビュ新聞ロゴ

 ジーニー<6562>(東マ)は、ネット媒体の広告枠を自動売買するアドテクノロジーをベースとして、マーケティングテクノロジー事業を展開している。20年3月期営業黒字予想である。四半期別に見ると、6四半期ぶりに第3四半期は営業黒字だった。通期ベースで収益拡大を期待したい。株価は急伸して底放れの動きとなった。自律調整を交えながら戻りを試す展開を期待したい。

■マーケティングテクノロジー事業を展開

 インターネットメディアの広告収益最大化を図る独自のアドテクノロジー(ウェブサイトやスマートフォンアプリ等に各々の閲覧者に合った広告を瞬時に選択して表示させる技術)をベースとして、事業領域拡大戦略およびサービス提供地域拡大戦略を推進し、マーケティングテクノロジー事業(アド・プラットフォーム、マーケティングソリューション、海外)を展開している。

 収益面の季節特性として、広告主の予算配分の影響を受けるため、12月および年度末の3月に売上が集中する傾向がある。なお14年にソフトバンク(現ソフトバンクグループ)と資本業務提携し、現在はソフトバンク<9434>の持分法適用会社である。

■アド・プラットフォームはDOOH領域にも積極展開

 アド・プラットフォームは、ネットメディア向けサプライサイドビジネスプラットフォーム「GenieeSSP」を主力として、広告主向けデマンドサイドビジネスプラットフォーム「GenieeDSP」などを展開している。

 ネット広告は、RTB(広告枠を自動で瞬時にオークション形式で取引するシステム)によって取引が行われるが、同社独自の広告配信最適化アルゴリズムで効果的な広告配信を実現している。さらにビッグデータやAIを活用して、広告配信の精度向上や自動化に取り組んでいる。

 また、事業領域拡大戦略で、DOOH(交通広告や屋外広告など自宅以外の場所で接触する屋外デジタル広告)領域に積極展開している。

 18年11月タクシー後部座席に設置されたデジタルサイネージ向け広告配信プラットフォームを開発し、19年2月にはDeNA<2432>のタクシー配車サービスでの本格運用を開始した。

 19年8月にはジオネクサスにDOOH広告配信プラットフォームをOEM提供し、た。19年11月にはメディカルアシストTVと業務提携し、歯科医院に設置するデジタルサイネージにプログラマティックOOH広告を配信する。

 2020年も積極展開を続け、20年1月にはヒットと業務提携し、20年2月には首都高速道路沿いの大型屋外ビジョンへのプログラマティックOOH広告配信を開始した。2月27日には東京・渋谷ハチ公口および大阪・御堂筋沿いに、プログラマティックOOH広告配信を20年3月に開始すると発表した。

■マーケティングソリューションと海外も拡大

 マーケティングソリューションは、CRM(顧客管理)/SFA(営業管理)システム「ちきゅう」、マーケティングオートメーション「MAJIN」、チャット接客ツール「Chamo」を展開している。

 CRM/SFAシステム「ちきゅう」は、顧客管理CRMシステムおよび商談管理SFAシステムを一体化させたクラウド型サービスである。マーケティングオートメーション「MAJIN」は企業のマーケティング活動を自動化し、効率的に購買・契約等を行うためのプラットフォームである。19年9月には「ちきゅう」と「MAJIN」を連携した。ワンプラットフォーム化によってクラウドサービスを拡大する。

 海外は東南アジアを中心に「GenieeSSP」などを展開し、19年3月期にはインドへ事業領域を拡大した。今後はソフトバンクと共同提供するクロスボーダーサービスを強化・拡大する方針だ。

■20年3月期営業黒字化予想

 20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比4.1%増の155億72百万円、営業利益が23百万円の黒字(19年3月期は3億10百万円の赤字)、経常利益が7百万円の黒字(同3億30百万円の赤字)、EBITDAが3億59百万円の黒字(同19百万円の黒字)、純利益が39百万円の赤字(同5億44百万円の赤字)としている。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比5.4%減の107億09百万円、営業利益が1億65百万円の赤字(前年同期は2億13百万円の赤字)、経常利益が1億84百万円の赤字(同2億27百万円の赤字)、EBITDAが67.2%増の59百万円、純利益が2億06百万円の赤字(同3億36百万円の赤字)だった。

 累計ベースでは、取引先アドネットワーク事業者の方針変更の影響で減収だが、営業赤字幅が縮小し、EBITDAは増益だった。また四半期ベースで見ると、売上高は第3四半期として過去最高となり、営業利益、EBITDAとも黒字だった。マーケティングソリューションの拡大が牽引した。

 通期は売上総利益33.1%増益、営業黒字の計画である。第3四半期累計は営業赤字だが、第4四半期は広告業界の需要期となり、DOOH領域やマーケティングソリューションの拡大も寄与する。通期ベースで収益拡大を期待したい。

■22年3月期EBITDA30億円超目標

 中期経営計画では目標値に22年3月期売上高250億円、売上総利益60億円、EBITDA30億円超を掲げている。

 事業ポーフォリオマネジメントとKPI管理を強化しつつ、プロダクト間のクロスセルの取り組み拡大、事業領域(事業軸)とサービス提供地域(地域軸)の拡大を推進する。マーケティングソリューションなど、利益率の高いプロダクトやストック型収益の構成比も高まる見込みだ。中期的に収益拡大を期待したい。

■株価は底放れ

 株価は急伸して底放れの動きとなった。自律調整を交えながら戻りを試す展開を期待したい。2月27日の終値は820円、時価総額は約147億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■9割超が対策を実施も、「WBGT」の認知は依然として低調  帝国データバンクの調査により、「熱中…
  2. ■「変身と成長」掲げ1300億円の積極投資、収益構造の転換図る  吉野家ホールディングス<9861…
  3. ■人手不足を補いながら顧客満足度の向上に貢献  シャープ<6753>(東証プライム)は5月20日、…
2025年6月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

ピックアップ記事

  1. ■選挙関連の「新三羽烏」の株価動向をウオッチ  足元では野党が石破内閣への内閣不信認決議案提出を見…
  2. どう見るこの相場
    ■米、イラン核施設を電撃空爆、緊張激化へ  「2週間以内」と言っていたのが、わずか「2日」である。…
  3. ■イスラエル・イラン衝突でリスク回避売りが優勢に  イスラエルのイラン攻撃を受け、13日の日経平均…
  4. ■ホルムズ海峡封鎖なら「油の一滴は血の一滴」、日本経済は瀬戸際へ  コメ価格が高騰する「食料安全保…
  5. ■トランプリスク回避へ、大谷・藤井・大の里株が浮上  『おーいお茶』を展開する伊藤園<2593>は…
  6. ■昭和の象徴、長嶋茂雄さん死去  またまた「昭和は遠くなりにけり」である。プロ野球のスパースター選…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る