エイトレッドは売られ過ぎ感、20年3月期増収増益予想

日インタビュ新聞ロゴ

 エイトレッド<3969>(東1)はワークフローを電子化するワークフローシステムを展開している。20年3月期増収増益予想である。導入社数・クラウド利用者数が増加基調であり、テレワークの流れも追い風となる。ストック売上の積み上げで中期的に収益拡大基調だろう。株価は急落して18年の安値に接近しているが、売られ過ぎ感を強めている。反発を期待したい。

■ワークフローシステムの開発・販売を展開

 ソフトクリエイトホールディングス<3371>の連結子会社で、ワークフローを電子化するワークフローシステム(ソフトウェア)の開発・販売を展開している。

 ワークフローシステムとは、企業における稟議書、経費精算申請書、各種届け出書など、稟議・申請から承認・決裁に至る事務工程(ワークフロー)を電子化(システム化)するソフトウェア製品の総称である。

 多くの企業が紙(申請書類・帳票)を使用して稟議・申請から承認・決裁に至る事務を行っているが、ワークフローシステムを導入することによって、業務プロセスの効率化(作業工数削減や時間短縮)、ペーパーレス化によるコスト削減(用紙・印刷・郵送・保管に係るコストの削減)、内部統制の強化(意思決定プロセスや承認日時のデータ化・可視化)などのメリットが得られる。

 主力製品は、パッケージ型の小・中規模企業向けX-point、大手・中堅企業向けAgileWorks、クラウド型の小規模企業向けX-point Cloudである。国内市場シェアは総合2位である。クラウド利用の多い従業員数100名未満セグメントでは圧倒的1位を誇っている。

 事業戦略の基本は、日本型業務プロセスに適した製品によって他社製品との差別化を図る、導入企業ごとの個別カスタマイズを行わずに開発コストを抑制する、開発に特化して販売パートナー企業(販売代理店)を活用するとしている。販売パートナーは大手SIerなどで構成され、全国に営業網を構築している。

 19年3月期の製品別売上高は、パッケージソフトが18年3月期比28.6%増の11億07百万円(X-pointが0.4%減の4億27百万円、AgileWorksが57.5%増の6億79百万円)、クラウドサービスが38.6%増の3億41百万円だった。X-pointはクラウドサービスへの移行で微減傾向だが、AgileWorksとX-point Cloudが増加基調である。

 なお19年3月期末の導入社数は18年3月期末比16.0%増の2716社、クラウド利用者数は38.3%増の5万2064人だった。

■ワークフローシステム市場は拡大基調

 ワークフローシステムによる電子文書化を導入せず、依然として紙・手書きベースでの業務・事務処理に依存している企業が多いため、ワークフローシステムの潜在市場は大きい。また在宅勤務やテレワークといった働き方改革の推進、企業不祥事防止のための内部統制強化の流れなども背景として、ワークフローシステム市場は拡大基調が期待される。

 さらにRPAとの組み合わせによる業務全般の自動化を目指す動きも活発化している。こうした潜在市場に対応し、中期成長戦略として他社サービスとの連携も強化して、AgileWorksやX-point Cloudの売上拡大を推進する方針だ。

■20年3月期増収増益予想

 20年3月期業績(非連結)予想は、売上高が19年3月期比10.5%増の16億円、営業利益が8.8%増の5億60百万円、経常利益が14.4%増の5億60百万円、純利益が20.2%増の3億75百万円としている。配当予想は5円増配の16円(第2四半期末8円、期末8円)である。

 製品別売上高の計画は、パッケージソフトが5.1%増の11億63百万円(X-pointが3.8%減の4億11百万円、AgileWorksが10.7%増の7億52百万円)、クラウドサービスが27.9%増の4億36百万円としている。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比14.3%増の11億70百万円、営業利益が6.4%増の4億円、経常利益が7.8%増の4億01百万円、そして純利益が13.6%増の2億77百万円だった。

 パッケージソフトは7.6%増収(X-pointが6.4%増収、AgileWorksが8.4%増収)、クラウドサービスは35.5%増収と好調に推移した。導入社数が順調に増加した。

 第3四半期累計の進捗率は売上高73.1%、営業利益71.4%と概ね順調だった。導入社数・クラウド利用者数が増加基調であり、テレワークの流れも追い風だ。ストック売上の積み上げで中期的に収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は9月末と3月末の年2回

 株主優待制度は年2回、毎年9月末および3月末時点の株主を対象として、保有株式数に応じてオリジナルQuoカードを贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は売られ過ぎ感

 株価は18年の安値に接近しているが売られ過ぎ感を強めている。反発を期待したい。3月13日の終値は977円、今期予想PER(会社予想EPS50円38銭で算出)は約19倍、今期予想配当利回り(会社予想の16円で算出)は約1.6%、前期実績PBR(前期実績BPS317円40銭で算出)は約3.1倍、時価総額は約73億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■AI機能強化でさらに便利に!Siriの進化とChatGPT統合で作業効率向上  Appleは3月…
  2. ■ChatGPT Enterpriseを活用し、業務効率化と新たな価値創造を推進  ふくおかフィナ…
  3. ■2024年度の美容室倒産件数、前年を大幅に上回る197件  帝国データバンクの調査によると、20…
2025年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

ピックアップ記事

  1. ■スタンレー電気など年初来安値銘柄の業績見通しに焦点  日経平均株価が4月に大幅下落する中、年初来…
  2. ■トランプ劇場、急転換の舞台裏!米中摩擦、FRB人事…予測不能な変幻自在  「クルマは急に止まれな…
  3. ■5大商社決算発表を前に高まる投資家の期待感  世界三大投資家の一人ウォーレン・バフェットが日本の…
  4. ■「市場の反乱」の一段落で「市場の勝利」を期待しバフェット流に商社株にバリュー株投資も一考余地  …
  5. ■株価55%高もまだ割安!?記念優待利回り10%超の注目株  10日には米国の関税発動停止を受け、…
  6. ■一喜一憂の投資家心理、トランプ関税「一時停止」の罠  まずフェイクニュースかと目と耳を疑った。次…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る