【アナリスト水田雅展の銘柄分析】フォーカスシステムズの16年3月期業績は増額含みで4月高値試す、マイナンバー制度関連も期待

銘柄分析

 フォーカスシステムズ<4662>(JQS)はシステム構築・保守・運用事業を展開している。5月8日に15年3月期決算を発表し、16年3月期を増収増益予想とした。需要は高水準であり増額含みだ。株価は4月高値から一旦反落したが、足元で切り返しの動きを強めている。強基調に変化はなくマイナンバー制度関連も期待して上値を試す展開だろう。

 公共関連・民間関連のシステム構築・保守・運用・管理サービスを主力として、セキュリティ機器関連事業も展開している。

 顧客別に見るとNTTデータ<9613>関連、および日本IBM関連を主力として、CTC(伊藤忠テクノソリューションズ)<4739>関連、沖電気<6703>関連、ソフトバンク<9984>関連などが続いている。主要顧客上位3社向け売上高の占める割合は14年3月期が47.4%、15年3月期が47.8%である。

 中期成長に向けた重点戦略として、需要が潤沢なインフラビジネス分野における技術者の育成、ノウハウ蓄積にも繋がる運用系業務分野におけるシェア拡大、業務アプリケーション分野における専門技術への取り組み強化による対応領域拡大を推進している。また民間関連事業では関東圏・近畿圏に加えて、東海圏での業務拡大に取り組んでいる。

 5月8日に発表した前期(15年3月期)の非連結業績は、売上高が前々期比6.6%増の150億81百万円、営業利益が同5.9%増の9億40百万円、経常利益が同5.6%増の8億97百万円、純利益が同30.1%増の5億92百万円だった。計画を上回る増収増益だった。

 配当予想(3月23日に増額)は同5円増配の年間25円(期末一括)とした。ROE(自己資本当期純利益率)は同0.8ポイント上昇の10.0%、自己資本比率は同4.7ポイント上昇して47.2%となった。

 セグメント別(全社費用等調整前)の動向を見ると、公共関連事業は売上高が同15.1%増の53億72百万円、営業利益が同20.2%増の8億55百万円、民間関連事業は売上高が同2.3%増の86億33百万円、営業利益が同8.3%増の10億49百万円、セキュリティ機器関連事業は売上高が同3.7%増の10億75百万円、営業利益が同30.0%減の1億98百万円だった。公共関連事業の好調が鮮明だ。

 四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)35億83百万円、第2四半期(7月~9月)37億03百万円、第3四半期(10月~12月)35億90百万円、第4四半期(1月~3月)42億05百万円、営業利益は第1四半期99百万円、第2四半期1億96百万円、第3四半期2億40百万円、第4四半期4億05百万円である。第4四半期の構成比が高い収益構造だが、営業損益は改善基調を鮮明にしている。

 今期(16年3月期)の非連結業績予想(5月8日公表)は売上高が前期比1.4%増の153億円、営業利益が同1.0%増の9億50百万円、経常利益が同2.5%増の9億20百万円、純利益が同1.2%増の6億円、配当予想が前期と同額の年間25円(期末一括)としている。

 利益は人材採用・育成など今後の事業展開を睨んだ先行投資負担で微増益にとどまる見通しとしている。ただし公共関連事業は政府発信の「世界最先端IT国家創造宣言」関連、民間関連事業は企業のITインフラ投資関連、セキュリティ機器関連事業は官公庁のサイバー犯罪対策関連を中心として、いずれも需要は高水準に推移する見通しだ。またNTTデータを主要顧客としているためマイナンバー制度関連の需要も期待される。16年3月期業績は増額含みだろう。

 株価の動きを見ると、マイナンバー制度関連期待で900円~1000円近辺のモミ合い展開から上放れ、14年10月の1210円を突破して4月23日の高値1247円まで上伸した。利益確定売りで一旦反落したが1000円近辺から切り返しの動きを強めている。11日は前日比75円高の1165円まで上伸する場面があった。16年3月期増収増益予想も好感されたようだ。

 5月11日の終値1135円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS86円66銭で算出)は13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は2.2%近辺、そして前期実績PBR(前期実績のBPS977円72銭で算出)は1.2倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線近辺から切り返した。また週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形だ。16年3月期業績は増額含みであり、マイナンバー制度関連も期待して上値を試す展開だろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■国際特許分類や元素リストを用いて多様な解決策を自動生成  AGC<5201>(東証プライム)は1…
  2. ■Newton・GR00T・Cosmosを軸にロボット研究を高速化  NVIDIA(NASDAQ:…
  3. ■700億パラメータ規模の自社LLMを金融仕様に強化、オンプレ環境で利用可能  リコー<7752>…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  2. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…
  3. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  4. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  5. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  6. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る