ケイアイスター不動産はモミ合い上放れの動き、4~6月の契約好調

日インタビュ新聞ロゴ

 ケイアイスター不動産<3465>(東1)は、首都圏中心に戸建分譲などの不動産事業を展開し、M&A・アライアンスも積極活用して「不動産×IT」を推進している。21年3月期予想は新型コロナウイルスの影響を考慮して未定としているが、20年4~6月累計の分譲住宅契約金額は前年比16%増、棟数は12%増と好調に推移している。収益拡大を期待したい。株価は戻り一服となってモミ合う形だが、上放れの動きを強めてきた。上値を試す展開を期待したい。なお8月11日に第1四半期決算発表を予定している。

■戸建分譲や注文住宅などの不動産事業

 首都圏中心に、1次取得層向けの戸建分譲や注文住宅などの不動産事業を展開している。20年3月には東北地区へ初進出した。

 20年3月期の売上構成比は、分譲住宅事業64%、注文住宅事業1%、中古住宅事業4%、よかタウン事業(子会社よかタウンが分譲住宅・注文住宅)13%、旭ハウジング事業(子会社旭ハウジングが神奈川県中心に分譲住宅)5%、フレスコ事業(18年8月連結子会社化したフレスコおよびフレスコの子会社おゆみ野住宅が千葉県中心に注文住宅)5%、建新事業(19年1月持分法適用関連会社の建新の株式を追加取得して連結子会社化)7%、その他1%だった。

 また20年3月期の販売棟数は、分譲住宅事業(土地販売含む)が2700棟、注文住宅事業が109棟、中古住宅事業が304棟、よかタウン事業(土地販売含む)が553棟、旭ハウジング事業(土地販売含む)が175棟、フレスコ事業が分譲住宅109棟、土地販売54区画、注文住宅97棟、建新事業が注文住宅72棟、土地販売27区画、分譲住宅123棟だった。

 19年4月千葉県柏市中心に不動産売買・仲介を行うBRエステートを子会社化、19年8月埼玉県朝霧市中心に不動産仲介・リフォーム事業を行うハウスラインを子会社化、20年4月首都圏中心に戸建住宅分譲やリノベーションマンションを行う東京ビッグハウスを子会社化した。

■不動産仲介会社を組織化、FC事業も開始

 販売促進に向けて不動産仲介会社の組織化を図り、17年2月「KEIAI.NET」をスタートさせた。順次エリアを拡大させて加盟店数は19年3月期末に207となった。AIによる仲介会社向け商談サポートシステムを導入し、中期的に不動産ネットワークにおける加盟店数全国NO.1を目指す方針だ。

 19年6月エリア毎の用地仕入と販売網の強化を図るためFC事業KEIAI FCを開始、19年7月いえらぶ社と提携してKEIAI FC向け業務支援クラウドサービスKEIAI PRO NETの提供を開始した。なお20年5月末時点でFC事業KEIAI FCの加盟店は30店舗を超え、このうち業務支援クラウドサービスKEIAI PRO NET導入店舗数は20店舗となった。

■M&A・アライアンスを積極活用して「不動産×IT」推進

 M&A・アライアンスを積極活用して「不動産×IT」を推進している。IT成長戦略として、商品力向上による付加価値創造と競争力強化、AIやRPAなどを活用したデータドリブン経営による在庫回転率や生産性向上および利益・財務体質改善、住宅分譲の既存フロービジネス強化とストック型ビジネスでの新たな収益構造構築、IT施策のグループ・加盟店への横展開およびシナジー拡大、次世代不動産ポータルサイト開発による加盟店への住宅購入見込客送客強化を推進する。

 19年8月には、KAMARQ(シンガポール)と共同開発したオリジナルキッチンの生産を開始し、新築分譲住宅の新仕様として商品提供開始すると発表した。19年10月から北関東エリアで「KEIAIでんき」の販売を開始した。20年2月にはカインズと業務提携した。20年5月にはセゾンファンデックスと業務提携してリースバック事業に参入した。20年6月には不動産業界に特化した採用コンサルティング事業を行う子会社KSキャリを設立(20年7月人材派遣・紹介事業を開始)した。

■21年3月期連結業績・配当予想は未定

 21年3月期の連結業績・配当予想は新型コロナウイルスで不透明感が強いため未定(売上高は20年3月期並みの1220億円程度を想定)としている。経済収縮の影響が意識されるが、20年4~6月累計の分譲住宅契約金額は前年比16%増、棟数は12%増(20年6月単月では金額が25%増、棟数が15%増)と好調に推移している。収益拡大を期待したい。

■株主優待は9月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月30日時点で1単元以上保有株主を対象として、保有株式数に応じてQUOカードを贈呈(詳細は会社HP参照)している。

■株価はモミ合い上放れの動き

 株価は戻り一服となってモミ合う形だが、上放れの動きを強めてきた。上値を試す展開を期待したい。7月27日の終値は1835円、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1268円29銭で算出)は約1.4倍、時価総額は約261億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■AIとベイジアンネットワーク解析で165項目を抽出、複雑な因果関係を構造化  大正製薬は11月2…
  2. ■Blackwell GPU2140基で研究競争力を拡大  NVIDIA(NVDA:NASDAQ)…
  3. ■銀座の呉服店「むら田」店主・村田あき子の語りをまとめた書籍  KADOKAWA<9468>(東証…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■日銀イベント通過で円高前提、紙・パ株が師走相場の主役候補  今週のコラムは、日銀の金融政策決定会…
  2. ■FOMC通過も市場は波乱、金利と為替に残る違和感  FRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公…
  3. ■眠れる6900トンの金が動き出す、「都市鉱山」開発でリデュース株に追い風  今週の当コラムは、金…
  4. ■天下分け目の12月10日、FRB利下げで年末相場は天国か地獄か?  天下分け目の12月10日であ…
  5. ■AI・データセンター需要拡大に対応、測定能力は従来比最大2倍  リガク・ホールディングス<268…
  6. ■売り方手仕舞いで需給改善が後押し  師走相場では、リスクの大きい銘柄であっても、逆日歩のつく信用…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る