アーバネットコーポレーションは新型コロナ影響を考慮して保守的に21年6月期減収減益予想

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 アーバネットコーポレーション<3242>(JQ)は投資用・分譲用マンション開発・販売を中核事業としている。20年6月期は販売戸数が増加して計画超の増収増益だった。21年6月期は新型コロナウイルスの影響を考慮し、工期延長の可能性を鑑みて保守的に減収減益予想としている。中期的に収益拡大を期待したい。株価は反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■投資用・分譲用マンションの開発・販売

 東京23区中心の投資用・分譲用マンション開発・販売を中核事業としている。収益は物件売上計上によって変動するが、アウトソーシングを積極活用し、少数精鋭の組織体制で固定費の極小化を図っている。

 親会社の同社は投資用ワンルームマンション開発・1棟販売や分譲マンション開発などBtoB卸売、子会社のアーバネットリビングは同社開発物件の戸別販売、他社物件の買取再販、マンション管理・賃貸などBtoC小売を基本事業としている。

 自社開発物件ブランドは、ワンルームマンションの「アジールコート」、コンパクトマンションの「アジールコフレ」、ファミリーマンションの「グランアジール」、戸建住宅の「アジールヴィラ」である。

 なお販売先の多様化に向けてホテル開発事業を推進し、20年6月には第1号案件の「ホテルアジール東京蒲田」が竣工した。8月開業を予定していたが、新型コロナウイルスの影響を考慮して開業を延期した。新たな開業時期については状況を鑑みながら決定するとしている。

 配当政策の基本方針は19年6月に変更し、親会社株主帰属当期純利益から法人税等調整額の影響を排除した数値に対する35%から40%に引き上げた。20年6月期中間配当金から適用した。

■21年6月期増収増益予想

 20年6月期の連結業績は、売上高が19年6月期比9.6%増の220億18百万円、営業利益が15.7%増の24億84百万円、経常利益が14.9%増の21億98百万円、純利益が15.0%増の15億06百万円だった。配当は2円増配の20円(第2四半期末10円、期末10円)とした。

 販売戸数が増加して計画超の増収増益だった。投資用ワンルームマンション23戸の売上計上が期ズレとなった対策として用地転売を行ったため、売上総利益率は計画を下回ったが、増収効果や経費削減効果で吸収した。

 不動産開発販売は投資用ワンルームマンション等14棟712戸および用地1件(19年6月期は投資用ワンルームマンション等14棟650戸、アパート2棟18戸、テラスハウス1棟3戸、用地転売3件)を売却して9.1%増収となった。不動産仕入販売は買取再販物件2戸および一括物件12戸(同買取再販7戸)を売却して61.8%増収となった。

 21年6月期連結業績予想は、売上高が20年6月期比9.2%減の200億円、営業利益が17.5%減の20億50百万円、経常利益が19.5%減の17億70百万円、純利益が27.0%減の11億円としている。配当予想は5円減配の15円(第2四半期末7円、期末8円)としている。

 新型コロナウイルスの影響を考慮し、工期延長の可能性を鑑みて保守的に減収減益予想としている。販管費では従業員数増加による人件費の増加や、売却に伴う仲介手数料の増加なども見込んでいる。なお販売計画(投資用ワンルームマンション674戸、買取再販5物件)の大半は契約済みで、22年6月期以降の自社開発用地として840戸分を契約済みである。

 新型コロナウイルスの影響として、金融機関による不動産開発用地購入融資の厳格化、最終顧客への投資用不動産ローンの厳格化も考えられるが、増資等によって自己資金を充実させているため大きな問題とはならないとしている。21年6月期は保守的に減収減益予想としたが、中期的に収益拡大を期待したい。

■株価は反発の動き

 株価は減収減益予想に対するネガティブ反応が限定的だった。その後は反発の動きを強めている。出直りを期待したい。8月21日の終値は270円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS35円06銭で算出)は約8倍、今期予想配当利回り(会社予想の15円で算出)は約5.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS359円81銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約85億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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