ENEOSホールディングスのJX金属がチリ・カセロネス銅山の権益を三井物産、三井金属からすべて取得へ

■三井物産は資源事業構成の見直しにともない主導会社に譲渡と

 三井物産<8031>(東1)は11月9日の取引終了後、チリ国「カセロネス銅鉱山」事業について開示し、今般、同社が保有する本事業の全持分22.63%を、本事業を主導するJX金属株式会社(ENEOSホールディングス<5020>(東1)の事業子会社)に売却することで基本合意に達したと発表した。

 同時に三井金属<5706>(東1)も11月9日の取引終了後、保有するすべてのカセロネス銅鉱山権益(持分25.87%)について、JX金属株式会社に譲渡する事で、JX金属と基本合意したと発表した。

 そして、ENEOSホールディングスも11月9日の取引終了後、子会社のJX金属株式会社がカセロネス銅鉱山の共同出資者である三井金属、および三井物産から、両社保有のすべてのカセロネス銅鉱山権益(三井金属25.87%、三井物産22.63%)を譲り受けることについて、本日、基本合意したと発表した。

■世界的に精鉱中の銅品位が低下するなか高品位でクリーン、さらに生産量増大を計画

 JX金属は旧・日本鉱業、日鉱金属、新日鉱ホールディングスの鉱山・精練事業部門を受け継ぐ。発表によると、2006年に三井金属との合弁会社であるパンパシフィック・カッパー株式会社(20年4月にニッポン・カセロネス・リソーシズ株式会社に移管)による権益取得以来、カセロネス銅鉱山の開発を進め、10年の三井物産の参画以降は3社共同で事業運営を行ってきた。

 カセロネス鉱の銅鉱石は高品位でクリーンとされ、世界的に精鉱中の銅品位が低下し、不純物が高まる傾向にある中、高品位でクリーンなカセロネス鉱の価値が高まっている。建設の遅れなどの困難があったものの、現在までに生産は安定化し、収益性が確保できる状況となったため、今後、さらなる生産量増大に向けた新たな段階に入ろうとしている。

 このような状況を踏まえ、今後の方針について3社で協議をする中で、三井金属は他事業への経営資源投入を優先することとし、三井物産は金属資源事業ポートフォリオを見直すこととしたため、事業を主導するJX金属がカセロネス銅鉱山の経営を担うこととなった。

 ENEOSホールディングスは、本件による21年3月期の通期業績への影響については、現在精査中とした。一方、三井金属は、21年3月期に特別損失200億円の計上を見込むとした。(HC)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■東京・愛知・兵庫で屋外広告も掲出、号外や無料バッティング企画も実施  Major League …
  2. ■新生児対象の臨床試験で抗炎症作用と菌叢改善を実証  森永乳業<2264>(東証プライム)は7月2…
  3. ■「日本栄養・食糧学会大会」で研究成果発表、科学的根拠を提示  味の素<2802>(東証プライム)…
2025年9月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■東証市場、主力株急落と中小型株逆行高で投資戦略二極化  証市場は9月19日に主力株の急落と中小型…
  2. どう見るこの相場
    ■プライム市場の需給悪化を警戒し、個人投資家は新興市場へ資金を逃避  「桐一葉 落ちて天下の秋を知…
  3. ■01銘柄:往年の主力株が再評価、低PER・PBRで買い候補に  今週の当コラムでは、買い遅れカバ…
  4. ■日米同時最高値への買い遅れは「TOPIXコア30」と「01銘柄」の出遅れ株でカバー  日米同時最…
  5. ■東京株、NYダウ反落と首相辞任で先行き不透明  東京株式市場は米国雇用統計の弱含みでNYダウが反…
  6. ■株式分割銘柄:62社に拡大、投資単位引き下げで流動性向上  選り取り見取りで目移りがしそうだ。今…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る