【アナリスト水田雅展の銘柄診断】山下医科器械は下値固めて反発局面、今期減収減益見通しは織込み済み

銘柄分析

 医療機器商社の山下医科器械<3022>(東1)の株価は、1700円近辺でのモミ合いから下放れの形となったが、8月安値圏1600円台割れ水準まで下押すことなく、その後は下げ止まりの動きを強めている。今期(15年5月期)減収減益見通しは織り込み済みであり、1600円台で下値を固めて反発局面だろう。

 九州を地盤とする医療機器商社である。医療機器の販売・メンテナンス、医療材料・消耗品などの販売を主力として、子会社イーピーメディックは整形インプラントを製造販売している。

 中期成長に向けて、九州最大の需要地である福岡県での市場シェア拡大を最重点戦略としている。医療機関向けSPD(病院医療材料管理業務)の契約施設数増加に対応するため、13年7月に福岡SPDセンター(福岡県福岡市)を新設し、鳥栖SPDセンター(佐賀県鳥栖市)との2拠点体制とした。

 13年12月に判明した従業員による不正行為に関して、14年2月28日に独立行政法人国立病院機構から指名停止(14年2月28日~14年11月27日)および一般競争参加資格降格(14年11月28日~15年8月27日)の処分を受けた。当該処分の対象となる施設の13年5月期売上高は全社売上高の1割強としている。

 不正行為の再発防止策に関して4月17日再発防止策実施状況その1、5月16日再発防止策実施状況その2、6月13日再発防止策実施状況その3、8月18日再発防止策実施状況その4を発表している。再発防止と信頼回復に向けて今後も実施状況を随時報告する方針だ。

 なお12月1日には、11月27日を以って指名停止期間満了となり、11月28日から一般競争参加資格の降格措置期間(14年11月28日~15年8月27日)に入ったと発表している。

 今期(15年5月期)の連結業績見通し(7月11日公表)は、売上高が前期比9.2%減の463億48百万円、営業利益が同73.0%減の2億26百万円、経常利益が同62.3%減の3億11百万円、純利益が同68.9%減の1億71百万円、配当予想が同36円減配の年間20円(期末一括)としている。

 第1四半期(6月~8月)は前年同期比8.4%減収で、営業利益、経常利益、純利益とも赤字となった。SPD契約施設数は増加したが、診療報酬改定に伴う償還価格の下落、消費増税の影響、大型設備案件の減少、国立病院機構の指名停止などが影響した。

 通期ベースでも償還価格の下落、主要取引先である急性期病院の建替えや設備更新など大型設備案件の減少、消費増税の影響、国立病院機構の指名停止措置および一般競争参加資格の降格措置の影響などを考慮して、減収減益見通しとしている。ただしSPD契約施設数の増加などで一般消耗品の売上は堅調でのようだ。期初時点では入札案件などを見込まず保守的な会社見通しを公表する傾向も強い。物流費などのコスト削減効果も寄与して通期ベースでの挽回が期待される。

 株価の動きを見ると、1700円近辺でのモミ合いから下放れて11月26日に1625円、12月2日に1626円まで調整した。しかし8月の安値圏1600円台割れ水準まで下押すことなく、その後は1600円台で下げ止まりの動きを強めている。

 12月8日の終値1646円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS67円37銭で算出)は24~25倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は1.2%近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS2191円36銭で算出)は0.8倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、今期減収減益見通しは織り込み済みであり、1600円台で下値を固めて反発局面だろう。

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