エイトレッドは上値試す、22年3月期も2桁増益予想

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 エイトレッド<3969>(東1)はワークフローシステムを展開している。社内文書電子化のリーディングカンパニーである。21年3月期はクラウドサービスが牽引して計画を上回る大幅増収増益だった。22年3月期も増収・2桁増益・連続増配予想としている。テレワークやDXの流れも背景として収益拡大基調だろう。株価は急反発して戻り高値圏だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■ワークフローシステムの開発・販売

 ソフトクリエイトホールディングス<3371>の連結子会社で、ワークフローシステム(ソフトウェア)の開発・販売を展開している。

 ワークフローシステムとは、企業における稟議書、経費精算申請書、各種届け出書など、稟議・申請から承認・決裁に至る事務工程(ワークフロー)を電子化(システム化)するソフトウェア製品の総称である。

 多くの企業が紙(申請書類・帳票)を使用して稟議・申請から承認・決裁に至る事務を行っているが、ワークフローシステムを導入することによって、業務プロセスの効率化(作業工数削減や時間短縮)、ペーパーレス化によるコスト削減(用紙・印刷・郵送・保管に係るコストの削減)、内部統制の強化(意思決定プロセスや承認日時のデータ化・可視化)などのメリットが得られる。

 主力製品は、パッケージ型の小・中規模企業向けX-point、大手・中堅企業向けAgileWorks、クラウド型の小規模企業向けX-point Cloudである。

 21年3月期の製品別売上高は、パッケージソフトが20年3月期比13.7%増の13億23百万円(X-pointが3.2%減の4億30百万円、AgileWorksが24.1%増の8億93百万円)、クラウドサービスが30.9%増の6億円だった。X-pointはクラウドサービスへの移行で減少だが、AgileWorksとX-point Cloudが導入企業数の増加で大幅伸長している。導入企業数は累計3500社以上に達している。

■社内文書電子化のリーディングカンパニー

 社内文書(申請書・稟議書)電子化のリーディングカンパニーである。複数の市場調査レポートにおいて、X-point Cloudが2019年度の出荷金額・売上金額実績でシェア1位を獲得している。

 アイ・ティ・アールの「ITR Market View:RPA/OCR/BPM市場2020」において、X-point CloudがSaaS型ワークフロー市場ベンダー別売上金額およびシェアで5年連続シェア1位(2019年度のシェア22.4%)となった。

 富士キメラ総研の「ソフトウェアビジネス新市場2020年版」において、X-point CloudがSaaSワークフロー市場占有率推移(金額)で5年連続シェア1位(同23.0%)となった。

 ミック経済研究所の「コラボレーション・モバイル管理ソフトの市場展望2020年度版」において、X-point CloudがSaaS・ASP型ワークフロー市場シェア(出荷金額)で9年連続シェア1位(同34.3%)を獲得した。中堅中小企業向け(100人未満のSMB市場)での19年度シェアは55.9%だった。

 アイティクラウドの「ITreview Grid Award 2021 Spring」ワークフロー部門では、X-pointがLeader(7期連続)、X-point CloudがHigh Performer(4期連続)、AgileWorksがHigh Performer(3期連続)を受賞した。

■開発特化型企業

 事業戦略の基本は、日本型業務プロセスに適した製品によって他社製品との差別化を図る、導入企業ごとの個別カスタマイズを行わずに開発コストを抑制する、開発に特化して販売パートナー企業(販売代理店)を活用するとしている。販売パートナーは大手SIerなどで構成され、全国に営業網を構築している。

 20年9月にはインフォマート<2492>と、企業間取引文書と社内文書のペーパーレス化事業で協業開始した。また21年4月にはX-point Cloudのメジャーバージョンアップ版をリリースした。

■ワークフローシステム「デジタル申請・稟議書」市場は拡大基調

 同社が運営するワークフロー総研の調査(テレワークとワークフローの導入調査)によると、テレワークを行っている企業のワークフローシステム導入率は73.2%で、ワークフロー導入はテレワーク推進に必要であると回答した会社員が91.7%に達している。一方、テレワークを行っていない企業のワークフローシステム導入率は僅か23.2%にすぎない。

 電子文書を導入せずに、依然として紙・手書きベースで事務処理を行っている企業が多いが、今後は中堅・中小企業においても、業務効率化を実現するワークフローシステム「デジタル申請・稟議書」の導入が加速し、市場は拡大基調が予想される。

 こうした事業環境に対応し、他社サービスとの連携も強化して、AgileWorksやX-point Cloudの売上拡大を推進する方針だ。

■21年3月期は計画超の大幅増収増益、22年3月期も2桁増益予想

 21年3月期の業績(非連結)は、売上高が20年3月期比18.6%増の19億24百万円、営業利益が33.1%増の7億83百万円、経常利益が34.4%増の7億90百万円、当期純利益が29.8%増の5億35百万円だった。配当は4円増配の20円(第2四半期末10円、期末10円)とした。

 ワークフロー需要拡大を背景として導入企業数が増加し、計画を上回る大幅増収増益だった。特にクラウドサービスのX-point Cloudが30.9%増収と大幅伸長した。パッケージソフトも13.7%増収と順調(X-pointがクラウドサービスへの移行で3.2%減収だが、大手・中堅企業向けAgileWorksが24.1%増収と大幅伸長)だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高3億98百万円で営業利益1億33百万円、第2四半期は売上高4億76百万円で営業利益1億97百万円、第3四半期は売上高4億56百万円で営業利益1億71百万円、第4四半期は売上高5億94百万円で営業利益2億83百万円だった。

 22年3月期業績(非連結)予想は、売上高が20年3月期比9.1%増の21億円、営業利益が12.4%増の8億80百万円、経常利益が11.3%増の8億80百万円、当期純利益が13.9%増の6億10百万円としている。配当予想は2円増配の22円(第2四半期末11円、期末11円)としている。増収・2桁増益・連続増配予想である。

 X-pointは引き続きクラウドサービスへの移行で減収だが、AgileWorksとX-point Cloudが伸長する見込みだ。特にX-point Cloudは21年4月に行ったメジャーバージョンアップの効果も見込んでいる。テレワークやDXの流れも背景として収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は9月末と3月末の年2回

 株主優待制度は年2回、毎年9月末および3月末時点の株主を対象として、保有株式数に応じてオリジナルQuoカードを贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は上値試す

 株価は急反発して戻り高値圏だ。週足チャートで見ると26週移動平均線を回復した。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。5月7日の終値は2665円、今期予想PER(会社予想のEPS81円64銭で算出)は約33倍、今期予想配当利回り(会社予想の22円で算出)は約0.8%、前期実績PBR(前期実績のBPS412円08銭で算出)は約6.5倍、時価総額は約199億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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