【注目銘柄】中国塗料は年初来安値から3連騰、減益転換予想業績を織り込み環境株人気再燃を期待

注目銘柄

 中国塗料<4617>(東1)は、前日18日に27円高の903円と3営業日続伸して引け、5月14日に突っ込んだ年初来安値844円からの戻りを試して底上げした。同社株は、今年5月11日の3月期決算発表で、今2022年3月期業績を減収減益転換と予想して市場予想を下回り、さらに新設したミャンマーの新工場も、軍事ク―データにより稼働開始の見込みが立たないことなどが響き、窓を開けて年初来安値まで急落した。ただ決算と同時に発表した自己株式取得や今治造船(愛媛県今治市)と正栄汽船(同)との外航船舶用の低燃費・低環境負荷塗料の共同開発提携を見直し、悪業績は織り込み済みとして下げ過ぎ訂正買いが増勢となった。

■塗料原料高騰で減益転換も配当は増配し自己株式取得も連続実施

 同社の今2022年3月期業績は、売り上げ800億円(前期比3.0%減)、営業利益30億円(同54.3%減)、経常利益33億円(48.7%減)、純利益21億円(同36.9%減)と予想、前期業績が、期中の再上方修正値を上ぶれて着地したのとは対照的に減収減益転換する。同社は、船舶塗料では国内シェア6割、世界シェア2割、洋上風力発電向けでも国内シェア8割超のトップメーカーで、新造船市場では受注が回復しコンテナ船向けのコンテナ塗料も高水準を維持するが、塗料原料が上昇し、とくにエポキシ樹脂が、世界各国のメーカーで事故や製造トラブルが相次ぎ需給がタイト化、今年4月時点で昨年同月に比べて2倍以上に高騰、このコスト増懸念から慎重に業績を予想、市場コンセンサスを下回る。

 ただ今期配当は、新中期経営計画で株主還元政策として連結自己資本総還元率を5%以上、配当性向を40%以上としたことから年間35円(前期実績34円)に増配する。また自己株式取得も継続実施、上限の買い付け株式数を420万株(発行済み株式総数の7.7%)、取得総額を40億円、買い付け期間を5月12日から来年5月11日までと予定している。なお今治造船と正栄汽船との業務提携では、両社が中国塗料株式を各2%超取得し、最大10%程度まで追加取得する。

■PBR0.8倍、配当利回り3.8%と割り負け大台回復から昨年1月高値目指す

 株価は、昨年7月発表の前期業績の上方修正と自己株式取得をテコにストップ高して1065円高値をつけ、前期業績の再上方修正では織り込み済みとして1000円大台固めが続き、今期業績の減益転換予想が響いて年初来安値844円へ急落、底上げ途上にある。PERは23倍台と市場平均より割高だが、PBRは0.84倍、配当利回りは3・87%と割り負け、テクニカル的にも25日移動平均線からなお7%超の下方かい離と下げ過ぎを示唆しており、1000円大台回復から昨年1月高値1123円を目指そう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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