バルクホールディングスは22年3月期1Q黒字転換、通期も黒字化予想で収益改善基調

日インタビュ新聞ロゴ

 バルクホールディングス<2467>(名セ)は、コンサルティング事業およびマーケティング事業を展開し、新規事業のサイバーセキュリティ分野を強化している。22年3月期第1四半期は大幅増収で黒字転換した。通期もサイバーセキュリティ分野が拡大して黒字化予想としている。通期予想に上振れ余地があり、収益改善基調を期待したい。株価は徐々に下値を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。

■セキュリティ事業とマーケティング事業を展開

 セキュリティ事業およびマーケティング事業を展開する純粋持株会社である。新規事業としてサイバーセキュリティトレーニングのサイバーセキュリティ分野を強化している。

 セキュリティ事業は、情報セキュリティ規格コンサルティング(プライバシーマーク認定取得支援、ISO27001(ISMS)認証取得支援、および運用支援)分野、およびサイバーセキュリティ分野を展開している。

 マーケティング事業は、マーケティングリサーチ(大手メーカーの新製品開発時モニター調査)分野、およびセールスプロモーション(スーパーなど食品流通事業者のフリーペーパー、食品・飲料メーカーのSPツール・ノベルティの制作)分野を展開している。またアトラス・コンサルティングを持分法適用関連会社としている。

■サイバーセキュリティ分野を強化

 サイバーセキュリティ分野は18年1月に、イスラエルのサイバージム社と共同で米国SCH社を設立して参入した。日本と米国において、サイバージムが開発した実践型サイバーセキュリティトレーニングアリーナを運営し、電力や金融など重要インフラストラクチャーセクターの民間企業・政府機関等に対して、サイバーセキュリティトレーニング等のサービスやソリューションを提供している

 18年7月米国ニューヨークにコマーシャルアリーナ(フルパッケージサービスを提供する大型トレーニング施設)のCyberGym NYCを開設、18年8月ハイブリッドアリーナ(小型トレーニング施設)のCyberGym Tokyoを開設、18年8月サイバージム社に出資、18年9月サイバーセキュリティコンサルティングの子会社CELを設立した。

 なおサイバージム社との共同事業の枠組みを見直して、21年3月に米国SCH社が米国でのセキュリティトレーニング事業展開のために保有するライセンス・設備(NYコマーシャルアリーナ)一式をサイバージム社に譲渡した。これによって米国SCH社の固定費が大幅に削減された。今後のグローバル戦略として、日本国内および近隣のアジア地域では当社グループ、米国ではサイバージム社が主導して展開する。またサイバージム社に対する出資比率を高める。

 国内のサイバーアリーナの展開は、19年8月CYBERGYM新宿アリーナ(運営主体はインターネット総合研究所)を開設、20年11月CYBERGYM八重洲アリーナ(クロスポイントソリューションとの合弁会社クロスポイントセキュリティジムが運営、持分法適用関連会社)を開設した。

 21年6月にはATマーケティングとサイバーアリーナにかかる提供・運用サポート・ライセンス契約を締結し、21年7月にCYBERGYM名古屋を開設した。なおCYBERGYM大阪については運営主体を変更し、DXHR社が主体となって運営会社サイバーコマンドを設立して21年7月に開設した。

■22年3月期1Q黒字転換、通期も黒字化予想で収益改善基調

 22年3月期の連結業績予想は売上高が21年3月期比24.9%増の18億34百万円、営業利益が33百万円の黒字(21年3月期は3億04百万円の赤字)、経常利益が12百万円の黒字(同3億25百万円の赤字)、親会社株主帰属当期純利益が8百万円の黒字(同4億34百万円の赤字)としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比35.0%増の4億27百万円で、営業利益が27百万円の黒字(前年同期は1億13百万円の赤字)、経常利益が24百万円の黒字(同1億18百万円の赤字)、親会社株主帰属四半期純利益が13百万円の黒字(同1億24百万円赤字)だった。

 セキュリティ事業は売上高が76.8%増の2億18百万円で、利益(調整前)が53百万円(前年同期は48百万円の赤字)だった。情報セキュリティ規格コンサルティングサービスが堅調に推移し、前期から期ズレしたアリーナ販売も寄与した。利益面では米国SCH社の固定費削減も寄与して黒字転換した。マーケティング事業は売上高が8.3%増の2億12百万円で、利益が21百万円の黒字(同4百万円の赤字)だった。セールスプロモーションの一部で新型コロナ影響を受けたが、リサーチ業務を中心に全体として堅調に推移した。

 通期ベースでもサイバーセキュリティ分野が拡大し、海外事業で計上していた経費がなくなることも寄与して黒字化予想としている。通期予想を据え置いたが、CYBERGYM大阪やCYBERGYM名古屋も寄与して上振れ余地がありそうだ。収益改善基調を期待したい。

■株価は戻り試す

 なお第三者割当によって発行した行使価格固定型第7回新株予約権については21年7月に払い込みが完了した。

 株価は5月の年初来安値圏から切り返して徐々に下値を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。8月30日の終値は282円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS72銭で算出)は約392倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS11円72銭で算出)は約24倍、時価総額は約33億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■昔ながらの味わいを現代風にアレンジ、全国スーパーなどで展開  第一屋製パン<2215>(東証スタ…
  2.  日清食品ホールディングス<2897>(東証プライム)傘下の日清食品は8月18日、「カップヌードル…
  3. ■世界が注目する学問を豊富な事例とイラストで紹介  学研ホールディングス<9470>(東証プライム…
2025年10月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ピックアップ記事

  1. ■全市場のわずか1.4%、希少な高配当利回り銘柄が浮上  株式市場では、高配当利回りを持つ10月決…
  2. ■「高市祭り」への期待と警戒交錯、資金は安定配当株へシフト  10月終盤相場は、「高市祭り」か「高…
  3. ■自民党総裁選と連立問題が相場を左右、短期急伸と急落を交錯  高市トレードは、まるで「超高速エレベ…
  4. ■東京市場、リスクオンとリスクオフが交錯、安全資産関連株に注目  週明けの東京市場は、米国株反発に…
  5. ■公明党離脱ショック一服、臨時国会控え市場は模索  またまた「TACO(トランプはいつも尻込みして…
  6. ■自民党人事でハト派ムード先行、逆張りで妙味狙う投資戦略も  今週の当コラムは、ハト派総裁とタカ派…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る