【鈴木雅光の投信Now】投資信託の純資産が100兆円に

国内投資信託の純資産総額が、5月末の時点で100兆円に乗せました。ちなみに純資産総額は、ここ直近で、16カ月連続の増加です。

ということで、2014年1月以降、どのように数字が変化したのかを洗い直してみましょう。

・運用ファンド本数=674本の増加
・設定額=133兆8360億7600万円
・解約額=119兆5321億4400万円
・償還額=4942億5800万円
・資金増減額=13兆8096億7100万円
・運用等増減額=9兆7338億8400万円
・純資産増減額=23兆5435億5600万円

純資産総額が増加傾向を辿ったこの16カ月間の軌跡が、上記の数字と思って下さい。

一番、注目していただきたいのが、資金増減額と運用等増減額です。前者は、設定額から解約額と償還額を差し引いたもので、純粋に資金の出入りによる増減額を示しています。つまり13兆8096億7100万円のキャッシュが入ってきたことを意味します。

そして運用等増減額は、ファンドに組み入れられている資産の評価額の増減を示しています。この数字がプラスということは、この16カ月間の運用によって、9兆7338億8400万円の運用益が生じたということです。

両者の数字を足すと、この16カ月間における純資産総額の増加額である23兆5435億5600万円が算出されます。

確かに、純資産総額が100兆円に乗ったのは、エポックメイキングな出来事だと思います。何しろ、日本の投資信託市場がここまでの規模になったのは、初めてのことですから。

ただ、直近16カ月間における純資産総額の増加額のうち、41.3%は運用益で占められています。今も引き摺っているギリシャ問題のように、世界のマーケットに悪影響が及ぶ出来事が起これば、この運用益が運用損に転じる恐れがあります。その意味では、いささか脆弱な基盤の上に乗った100兆円ともいえそうです。(証券会社、公社債新聞社、金融データシステム勤務を経て2004年にJOYntを設立、代表取締役に就任、著書多数)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■国際特許分類や元素リストを用いて多様な解決策を自動生成  AGC<5201>(東証プライム)は1…
  2. ■Newton・GR00T・Cosmosを軸にロボット研究を高速化  NVIDIA(NASDAQ:…
  3. ■700億パラメータ規模の自社LLMを金融仕様に強化、オンプレ環境で利用可能  リコー<7752>…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  2. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…
  3. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  4. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  5. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  6. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る