巴工業は戻り試す、22年10月期も収益拡大基調

 巴工業<6309>(東1)は遠心分離機械などの機械製造販売事業、および合成樹脂などの化学工業製品販売事業を展開している。21年10月期は需要回復で大幅増収増益予想(9月10日に2回目の上方修正)としている。各利益は中期経営計画の22年10月期目標値を1期前倒しで達成する見込みだ。さらに22年10月期も需要が高水準に推移して収益拡大基調だろう。株価は期末の権利落ちも影響して反落したが、利益確定売りが一巡して戻りを試す展開を期待したい。

■機械製造販売事業と化学工業製品販売事業を展開

 遠心分離機械などを中心とする機械製造販売事業、および合成樹脂や化学工業薬品などを中心とする化学工業製品販売事業を展開している。

 20年10月期のセグメント別売上構成比は機械製造販売事業が29%、化学工業製品販売事業が71%、営業利益構成比は機械製造販売事業が41%、化学工業製品販売事業が59%だった。機械製造販売事業は設備投資関連のため、第2四半期(2月~4月)および第4四半期(8月~10月)の構成比が高い特性がある。

■22年10月期営業利益26億円目標

 中期経営計画では目標値として、22年10月期の売上高490億円(機械140億円、化学品350億円)、営業利益26億円(機械9億円、化学品17億円)、経常利益26億円、EBITDA30億円、純利益17億円、そしてROE(純資産利益率)5.7%を掲げている。

 重点施策として、海外事業拡大の継続、さらなる収益性向上、環境負荷軽減、資本効率改善、成長に向けた積極投資、働き甲斐のある職場環境の構築と人材育成を推進する方針だ。

 21年7月には、AIが自律的に遠心分離機の運転制御を行う新しいデカンタ自動運転制御システム「セントニオ(CentNIO)」の販売を開始した。また10月7日にはHP上で「セントニオ」のプロモーション映像を公開している。

■21年10月期大幅増収増益予想、22年10月期も収益拡大基調

 21年10月期連結業績予想(6月4日に上方修正、9月10日に2回目の上方修正)は、売上高が20年10月期比14.7%増の450億円、営業利益が23.9%増の28億円、経常利益が23.3%増の28億30百万円、親会社株主帰属当期純利益が39.0%増の21億30百万円としている。各利益は中期経営計画の22年10月期目標値を1期前倒しで達成する見込みだ。配当予想は20年10月期比2円増配の50円(第2四半期末25円、期末25円)としている。

 機械製造販売事業の重点取り組み施策として、海外では遠心分離機や炭化装置、国内では遠心分離機や回転加圧脱水機などの拡販を強化する。また20年4月に新設した新事業開発部において、遠心分離機以外の分野の開拓を強化する。化学工業製品販売事業の重点取り組み施策として、化成品関連の高機能商材、半導体製造装置向けや5G基地局用電子分向けの機能材料、および電子材料の拡販を強化する。また合成樹脂関連では、SDGsへの対応として環境対応商材の拡販に注力する。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比17.6%増の334億16百万円、営業利益が34.6%増の21億90百万円、経常利益が35.5%増の22億35百万円、親会社株主帰属四半期純利益が55.4%増の16億70百万円だった。中国向けを中心とする海外の好調が牽引して大幅増収増益だった。

 機械製造販売は売上高が24.0%増の92億26百万円、営業利益が11.3%増の6億48百万円だった。国内はやや伸び悩んだが、中国を中心とする海外向けが84.5%増収と好調だった。化学工業製品販売は売上高が15.3%増の241億89百万円、営業利益が47.6%増の15億42百万円だった。自動車分野を中心に需要が回復し、収益性の高い工業材料・鉱産分野の増収が牽引した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高106億06百万円で営業利益6億49百万円、第2四半期は売上高124億42百万円で営業利益12億85百万円、第3四半期は売上高が103億68百万円で営業利益2億56百万円だった。

 通期ベースでも化学工業製品販売の需要回復などが牽引する見込みだ。セグメント別の計画は、機械製造販売事業の売上高が8.6%増の125億50百万円で営業利益が5.6%減の8億75百万円、化学工業製品販売事業の売上高が17.3%増の324億60百万円で営業利益が44.3%増の19億25百万円としている。

 修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74.3%、営業利益78.2%、経常利益79.0%、純利益78.4%と順調だった。通期ベースでも好業績を期待したい。さらに22年10月期も需要が高水準に推移して収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は10月末の株主対象

 株主優待制度は、毎年10月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して、ワイン(当社関連会社取扱商品)1本を贈呈する。

■株価は戻り試す

 22年4月4日移行予定の新市場区分への移行については、新市場区分における上場維持基準への適合状況に関する一次判定結果でプライム市場適合を確認している。この結果に基づいて21年10月22日付で、東京証券取引所に対してプライム市場選択・申請を行った。

 株価は期末配当・株主優待の権利落ちも影響して反落したが、週足チャートで見ると26週移動平均線近辺で下げ渋る形だ。利益確定売りが一巡して戻りを試す展開を期待したい。11月1日の終値は2318円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS213円46銭で算出)は約11倍、前期推定配当利回り(会社予想の50円で算出)は約2.2%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS2973円31銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約244億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■海外展開を加速  トリドールホールディングス<3397>(東証プライム)は3月25日、カナダ・バ…
  2. ■モビリティカンパニーへの変革を加速  トヨタ自動車<7203>(東証プライム)は3月22日、20…
  3. ■イネの生育を最大4倍に  シャープ<6753>(東証プライム)は3月21日、プラズマクラスター技…
2024年5月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ピックアップ記事

  1. ■藤田観光など上方修正済み銘柄が狙い目、決算発表前に高値予約しておくのも有効  大型連休の好調な需…
  2. ■GW市場動向と投資家心理  『目出度さも 中くらいなり おらが春』と詠んだのは小林一茶である。季…
  3. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  4. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る