【アナリスト水田雅展の銘柄分析】メディアスHDは下値固め完了して出直り、3%台の高配当利回りも支援材料

銘柄分析

医療機器販売のメディアスホールディングス<3154>(JQS)の株価は、8月中旬~10月中旬の2700円~2800円近辺でのモミ合いから下放れて11月19日の2380円まで調整した。10月の公募増資による希薄化や第1四半期(7月~9月)の営業赤字が嫌気されたようだ。ただしその後は2400円台で下値固め完了感を強めている。3%台の高配当利回りも支援材料として出直り展開だろう。

医療機器・医療材料の販売・メンテナンス事業を主力として、介護・福祉機器の販売・レンタル事業も展開している。商品戦略では、医療機関への医療機器・医療材料の販売に加えて、手術室運営支援ソフトウェア、医療材料データベース、プライベートブランド商品などの販売も促進し、複合的サービスを強化している。

手術室業務支援ソフトウェア「サージレーン」は、効率の良い病院手術室運営を提案して機器・備品売上の拡大に繋げるもので、導入施設数は大病院を中心に8施設となっている。医療材料データベース・医療材料分析サービス「メッカル」は、医療材料価格の最適化を支援するツールで78施設に導入している。

静岡県・神奈川県を地盤とする協和医科器械およびオズの首都圏・愛知県エリアへの営業強化策に加えて、M&Aを積極活用して営業エリアと規模の拡大戦略を推進している。10年7月に栗原医療器械店(群馬県太田市)、12年7月にネットワーク(東京都新宿区)、13年7月に秋田医科器械店(秋田県秋田市)、14年7月にジオット(福島県郡山市)を完全子会社化し、14年10月には福井県内でトップシェアを誇る福井医療(福井県福井市)と資本業務提携した。

また14年10月には100%子会社ケアフォースを設立した。医療・介護用移乗機器および電動ベッドなどの輸入・販売事業を展開する。海外はインドにおける鴻池運輸<9025>との医療データベース合弁会社CARNA MEDICAL DATABASEで、医療物流プラットフォームを構築する戦略だ。

今期(15年6月期)の連結業績見通しは前回予想(8月11日公表)を据え置いて、売上高が前期比6.6%増の1556億60百万円、営業利益が同12.5%減の14億円、経常利益が同11.8%減の18億円、純利益が同1.7%増の9億85百万円、配当予想が配当性向25~30%を基本方針として前期と同額の年間80円(期末一括)としている。

第1四半期(7月~9月)は前年同期比3.9%増収ながら、営業利益、経常利益、純利益とも赤字だった。積極的な営業活動やSPD事業の拡大などで増収だったが、人件費の増加などで営業損益が悪化した。

通期ベースでも、営業強化やジオットの新規連結などで増収だが、償還価格引き下げの影響や、営業強化に向けた人材増強の影響などで営業減益見通しとしている。また福井医療との資本業務提携が今期業績に与える影響は軽微としている。

ただし期初時点では保守的な会社見通しを公表する傾向があり、首都圏および愛知県エリアなどでの営業強化、新規取引先の獲得、SPD(病院医療材料管理業務)やサージレーン事業の推進、大量購買による仕入価格低減、業務効率改善などの効果も寄与するため上振れ余地があり、中期的にも収益拡大基調だろう。

株価の動きを見ると、8月中旬~10月中旬の2700円~2800円近辺でのモミ合いから下放れて11月19日の2380円まで調整した。10月の公募増資による希薄化や第1四半期の営業赤字が嫌気されたようだ。ただしその後は2400円台で下値固め完了感を強めている。12月10日は全般地合いが悪化する中で前日比70円(2.90%)高と堅調だった。

12月10日の終値2480円を指標面(予想EPSおよび実績BPSは増資後の発行済株式総数324万2256株を考慮して算出)で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS303円80銭で算出)は8~9倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間80円で算出)は3.2%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS2253円06銭で算出)は1.1倍近辺である。

週足チャートで見ると13週移動平均線を割り込んで調整局面だが、日足チャートで見ると25日移動平均線突破の動きを強めている。3%台の高配当利回りも支援材料であり、下値固めが完了して出直り展開だろう。

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