【注目銘柄】ニチバンは年初来安値水準から底上げを窺う、粘着テープの値上げ実施で続伸業績の上ぶれ期待

注目銘柄

 ニチバン<4218>(東証プライム)は、安値水準からの底上げを窺っている。同社の今2023年3月期業績は、続伸が予想されているが、6月1日から各種粘着テープを10%以上値上げすることを発表しており、価格転嫁動向次第で業績の上ぶれる可能性があるとして売られ過ぎ修正期待の打診買いが入った。6月から高齢者などを中心に4回目の新型コロナワクチンの接種も開始され、ワクチン接種の際の止血製品「チューシャバン」などの需要が高まることも、合わせて期待材料となっている。

■「ケアリーヴ」のキャンペーン効果が続き止血製品も好環境

 同社の今2023年3月期業績は、売り上げ450億円(前期比4.3%増)、営業利益25億円(同2.0%増)、経常利益26億円(同1.5%増)、純利益30億円(同65.8%増)と続伸が予想されている。メディカル事業では、鎮痛消炎剤「ロイヒ」や高機能救急絆創膏「ケアリーヴ」のキャンペーン効果が継続し、テープ類では、行動規制の緩和で前期伸び悩んだオフィス需要が回復、工業品フィールドでは中食・内食向けの弁当・総菜の蓋を固定する「フードパック」が続伸、止血製品にもワクチン接種需要継続の好環境が想定されることなどが寄与するもので、純利益は、旧大阪工場を売却して特別利益が上乗せとなって大幅続伸となる。

 今期配当は、連結配当性向25%をメドとする基本方針に従って年間35円(前期実績30円)への増配を予定している。6月1日からの製品価格改定は、原材料価格、物流費、副資材価格が高騰し、急激なコスト増となっていることに対応するもので、この価格転嫁動向次第で業績が上ぶれ可能性もあり、その場合、純利益は、過去最高の31億9300万円(2019年3月期)を上回るかも注目される。

■PER11倍、PBR0.8倍の売られ過ぎ修正で年初来高値を目指す

 株価は、今年3月の旧大阪工場の譲渡益計上の発表で1800円台にリバウンドし、1600円台で下値を確認し、今期業績の続伸予想で1700円台にタッチしたものの、今期予想業績が市場コンセンサスを下回るとして再び年初来安値1607円まで下値を探り、底値固めを続けてきた。PERは11.1倍、PBRは0.85倍と売られ過ぎを示唆しており、底値買いから年初来高値1814円を目指す展開が有力となる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■東京大学発スタートアップが開発、19自由度のヒューマノイドロボット  東京大学発スタートアップH…
  2. ■売却面積は約1.6倍に、総額1,785億円超の譲渡価額  東京商工リサーチは6月30日、2024…
  3. ■従来の検索では見つけられなかった本との出会いを創出  富士通<6702>(東証プライム)傘下の富…
2025年8月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. ■株主還元強化が市場の安心材料に  東京エレクトロン<8035>は8月1日、2025年3月期の業績…
  2. ■市場の霧が晴れ始めた、個別銘柄の好調が投資家を惹きつける  前週31日の植田和男日銀総裁の記者会…
  3. ■利上げか、現状維持か?日銀総裁の決断で明暗分かれる8月相場  日銀の金融政策を巡る不確実性が続く…
  4. ■選挙惨敗の石破首相に退陣要求、政局混迷の行方  まるで狂言の『乳切木』(ちぎりき)を観るようであ…
  5. ■九州地盤銘柄に割安感、福証単独上場企業にも注目集まる  東京エレクトロンやアドバンテストなどの半…
  6. ■参院選で与党過半数割れ、石破政権の行方不透明に  7月20日投開票の参議院議員選挙は、大手メディ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る