【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アルファは収益改善基調、8月期末一括で2%台の配当利回りも注目点

銘柄分析

 アルファ<4760>(JQS)はPOP広告など店舗販促用品を企画・製作・販売する総合販売促進企業である。株価は200円~220円近辺でモミ合う展開で、第3四半期累計(9月~5月)の増益に対する反応も限定的のようだ。ただし8月期末一括で2%台の配当利回り、0.7倍近辺の低PBRも注目点であり、収益改善基調を評価してモミ合い上放れの展開が期待される。

■POP広告やイベント関連用品などの総合販売促進企業

 スーパーや家電量販店などの小売業者や、食品メーカー向けなどに、POP広告やイベント関連商品など、消費関連市場におけるセールスプロモーション(販売促進)に係るさまざまな販促用品を企画・製作・販売する総合販売促進企業である。14年8月期の商品別売上構成比は、自社企画製品15.4%、別注製品54.1%、商品30.5%だった。

 日本最大級の販促通販サイト「POP GALLERY」による自社企画製品の拡販、メーカー・小売のタイアップ企画である消費者向け販促キャンペーンの受注拡大、動画POPなどデジタルサイネージ(デジタル技術を活用した広告媒体)を組み込んだ新販促商品・サービスの企画・提案営業を強化している。五感を刺激して購買意欲を喚起させる新メニューとして、香りのプロモーションツール「かおるくん」が好調だ。

■中期成長に向けて「買い物コミュニケーション創造企業」を目指す

 中期的な収益力向上に向けては、ショッパー(買い物客)の購買行動やインサイト(深層心理)を捉えた「買い物コミュニケーション創造企業」を目指している。中期経営計画では目標数値として16年8月期の売上高78億円、経常利益2億円、純利益1億円を掲げている。

 なお7月23日にオーケー企画(東京都)の株式を取得して完全子会社化する基本合意書の締結を発表した。15年9月1日を目途として株式譲渡契約を締結および実行する予定だ。オーケー企画は全国のスーパーやコンビニ、特にホームセンター、ドラッグストアなどでの販売促進用器具・備品全般を扱う事業を展開している。今回の株式取得により、当社では比較的手薄な全国のホームセンターやドラッグストア向けの事業拡大が見込めるとしている。

■15年8月期は増収増益予想

 7月13日に発表した今期(15年8月期)第3四半期累計(9月~5月)の非連結業績は、売上高が前年同期比2.5%減の50億56百万円、営業利益が同10.7%増の2億12百万円、経常利益が同10.5%増の2億14百万円、純利益が同25.4%増の1億19百万円だった。

 減収だったが、利益面では粗利率の高い自社企画製品の売上構成比上昇、採算性を重視した取引選別の継続、さらに販管費の削減などの効果が寄与して増益だった。純利益は前期計上した過年度法人税等の一巡も寄与した。

 製品別売上高を見ると、自社企画製品はeコマース(オンラインショップ)売上が堅調だったが、中小スーパーの販促費削減傾向が継続して同1.5%減の8億17百万円、別注製品は大口スポット案件獲得が寄与したが、採算性を重視した取引選別を継続して同0.1%減の27億44百万円、商品はイベント関連が堅調だったが、全体として消費増税の影響が残り同7.0%減の14億93百万円だった。

 四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(9月~11月)18億35百万円、第2四半期(12月~2月)15億78百万円、第3四半期(3月~5月)16億43百万円で、営業利益は第1四半期1億03百万円、第2四半期92百万円、第3四半期17百万円だった。クリスマス・年末・年始商戦などで上半期(9月~2月)の構成比が高い収益構造である。

 通期の非連結業績予想は前回予想(10月14日公表)を据え置いて売上高が前期比4.5%増の70億円、営業利益が同8.8%増の1億70百万円、経常利益が同2.9%増の1億65百万円、純利益が同0.6%増の70百万円としている。配当予想は前期と同額の年間5円(期末一括)で、予想配当性向は57.5%となる。

 自社企画製品ではeコマースを利用した受注増加、別注製品では企画提案強化による消費者向け販促キャンペーンの受注増加、メーカーからの企画料・デザイン料など役務売上の増加、商品ではイベント関連の受注増加を見込み、採算性を重視した選別受注による粗利率改善や、販管費圧縮なども寄与して増収増益見通しだ。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が72.2%、営業利益が124.7%、経常利益が129.7%、純利益が170.0%である。上半期(9月~2月)の構成比が高い収益構造だが、粗利率の改善も寄与して通期の利益予想は上振れ余地があるだろう。

 さらに来期(16年8月期)はオーケー企画を子会社化する効果も期待される。収益は改善基調だろう。

■株価はモミ合い上放れ期待

 株価の動きを見ると、6月15日に243円まで急伸する場面があったが買いが続かず、概ね200円~220円近辺でモミ合う展開だ。第3四半期累計の増益に対する反応も限定的のようだ。

 7月24日の終値214円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS8円70銭で算出)は24~25倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間5円で算出)は2.3%近辺、そして前期実績PBR(前期実績のBPS285円53銭で算出)は0.7倍近辺である。

 週足チャートで見ると上値を切り下げたが、下値は26週移動平均線がサポートラインとなって13週移動平均線を回復した。8月期末一括で2%台の配当利回り、0.7倍近辺の低PBRも評価材料であり、収益改善基調を評価してモミ合い上放れの展開が期待される。

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