【アナリスト水田雅展の銘柄分析】パシフィックネットは12月11日に第2四半期累計業績を増額修正、通期上ブレ余地も評価してモミ合い上放れ

銘柄分析

 中古パソコン・モバイル機器などのリユース事業を展開するパシフィックネット<3021>(東マ)は12月11日、第2四半期累計(6月~11月)業績見通しの増額修正を発表した。株価は概ね600円近辺でモミ合う展開だったが、12月11日には第2四半期累計の増額修正を好感して一時、前日比74円(12.63%)高の660円まで急伸する場面があった。通期見通しの上ブレ余地も評価してモミ合い上放れの展開だろう。

 パソコン、タブレット端末、スマートフォンなど中古情報機器の引取回収・販売事業を主力として、レンタル事業も展開している。13年10月に旗艦店としてオープンした「PC-NETアキバ本店」など全国主要都市に9店舗を展開し、主要仕入先のリース・レンタル会社や一般企業からの引取回収を強化するとともに、生産性向上や業務プロセス効率化などで収益力を高めている。

 ISO27001(ISMS)およびプライバシーマークに準拠した情報漏洩防止のためのセキュリティ体制に強みを持ち、企業や官公庁のセキュリティ意識やコンプライアンス意識の向上に伴って中古情報機器の入荷台数が大幅に増加している。データ消去サービスなどで顧客カバー率が一段と広がり、大手金融機関からの中古情報機器引取回収もスタートしたようだ。

 新サービスとして14年8月に、レカム<3323>およびリステック(東京都中央区)との3社協業での中小企業向けサーバー機器レンタルサービスを開始し、法人向け格安スマートフォンのサービスも開始した。

 14年10月には企業・官公庁・自治体での使用済みIT機器の回収からデータ消去までの一連の作業を大幅に効率化する日本初のWebサービス「P-Bridge」の無償提供を開始した。IT資産管理ソフト大手エムオーテックス社とデータ連携し、当社の引取回収サービスの提供価値を高める。中期的にはソリューション・プラットフォームと位置付けて、リサーチ結果の提供やユーザー間の情報交換など、さまざまなサービスを新たに投入する方針だ。

 また11月には、Windowsクラスルーム協議会の「Windowsクラスルーム包括プログラム」のサービスメニューとして「教育機関のお客様向けECOサービス」を展開すると発表した。教育現場におけるICT機器導入時・処分時のコスト削減サービスや、ICT機器処分時の情報漏洩などセキュリティリスクを軽減するサービスを教育機関向けに提供する。

 12月11日、今期(15年5月期)第2四半期累計(6月~11月)の連結業績見通しについて増額修正を発表した。前回予想(7月15日公表)に対して、売上高は2億05百万円増額して前年同期比23.1%増の22億36百万円、営業利益は48百万円増額して同15.9%増の1億46百万円、経常利益は51百万円増額して同11.6%増の1億54百万円、純利益は7百万円増額して同8.7%増の88百万円とした。減益見通しから一転して増益見通しとなった。

 米マイクロソフトのOS「ウインドウズXP」サポート終了に伴う入れ替え需要の一巡や、4月の消費増税の反動といったマイナス影響が想定よりも限定的だった。一方では、スマートフォンやタブレットなど中古モバイル市場が拡大傾向を強め、収益基盤強化に向けた顧客拡大や生産性向上などの諸施策も奏功したようだ。なお純利益については、税金費用の軽減が第3四半期(12月~2月)以降に変更となったため小幅増額にとどまった。

 通期の連結業績見通しは前回予想(7月15日公表)を据え置いて売上高が前期比4.8%増の42億53百万円、営業利益が同5.4%増の3億円、経常利益が同1.2%増の3億11百万円、純利益が同6.3%減の1億71百万円、配当予想が前期と同額の年間16円(期末一括)としている。

 不透明要因が多いとして通期見通しを据え置いたが、通期見通しに対する修正後の第2四半期累計の進捗率は売上高が52.6%、営業利益が48.7%、経常利益が49.5%、純利益が51.5%と順調な水準である。顧客対応強化の効果でリース会社・一般企業などからの中古情報機器の引取回収が順調に増加し、保守・サポートなど付帯サービス関連も拡大する。格安スマホやSIMフリーの流れも追い風となって中古モバイル市場が拡大基調であり、通期見通しにも上ブレ余地があるだろう。

 株価の動き(14年3月1日付で株式2分割)を見ると、10月の直近安値493円から切り返し、11月以降は概ね600円を挟むレンジで推移している。12月11日には取引時間中に発表した第2四半期累計業績見通しの増額修正を好感して一時、前日比74円(12.63%)高の660円まで急伸する場面があった。

 12月11日の終値595円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS33円23銭で算出)は18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は2.7%近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS352円83銭で算出)は1.7倍近辺である。

 日足チャートで見ると12月11日の急伸は買いが続かず長い上ヒゲを付けたが、週足チャートで見ると10月の直近安値から反発後は26週移動平均線がサポートラインの形だ。下値を確認して強基調に転換した形であり、第2四半期累計の増額修正、および通期見通しの上ブレ余地も評価してモミ合い上放れの展開だろう。

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