【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ネットワークバリューコンポネンツは15年12月期の収益改善基調やサイバーセキュリティ関連を評価

銘柄分析

 ネットワークバリューコンポネンツ<3394>(東マ)はネットワーク関連製品の輸入販売・運用・保守事業を展開している。株価は下値固めが完了して戻り歩調の展開だ。全般地合い悪化も影響した7月9日の直近安値3045円から切り返して21日の年初来高値4780円まで上伸した。15年12月期の収益改善基調やサイバーセキュリティ関連を評価して続伸展開だろう。

■情報通信ネットワーク関連製品の輸入販売・運用・保守事業を展開

 情報通信ネットワーク関連製品の輸入販売・運用・保守事業(ネットワークソリューション事業およびネットワークサービス事業)を展開している。

 クラウド関連、モバイル関連、セキュリティ関連、サービス関連などを重点分野として海外の先端技術を開拓し、国内を代表するIT先進企業へ最適なソリューションとして提供している。

 企業内セキュリティ対策チームをバックアップするNVCプライベートSOC運用支援サービスも提供している。ライセンス収入や保守・運用収入などの売上構成比が高く、ストック型の収益構造であることも特徴だ。

 15年1月にはユニファイド・セキュリティー・サービス部門を新設した。セキュリティ商材の販売・設計・構築・保守サービス・マネージドサービスなど、従来各部門で個別に行ってきた各種セキュリティサービスを統合し、より質の高いサービスの提供を目指す方針だ。

■中期成長に向けてパートナー企業との協業も推進

 中期成長に向けて先端的ネットワーク関連商品の投入、パートナー企業との協業推進などで、プロジェクト単位での受注拡大を目指している。13年5月には新日鉄住金ソリューションズ<2327>と資本・業務提携した。

 13年8月には米ニクサン社のネットワーク監視ソリューション製品に関する販売代理店契約、13年10月にはカナダのノビフロー社が開発したオープンフロー関連製品の国内独占販売代理店契約を締結した。

 14年9月には米スレットストップ社のリアルタイムIPおよびドメインレピュテーションサービスに係る国内販売代理店契約を締結、15年2月にはネットワークセキュリティ専業メーカーであるNSFOCUS社の日本法人NSFOCUSジャパンと国内販売代理店契約を締結した。

 15年4月にはファイア・アイ社と、同社の標準型マルウェア防御システム製品についてゴールドパートナー契約を締結した。また15年5月には、標準型サイバー攻撃を強力にストップする米スレットストップ社のIPレピュテーションサービス「ThreatSTOP」を運用支援する「NVC ThreatSTOPサービス」の提供を開始した。

 15年6月にはNSFOCUS社が提供するWebサイトの脆弱性をスキャニングするソリューション「WVSS」の国内販売を開始すると発表した。

 7月2日にはWebサーバ脆弱性診断サービスWVDSを開始すると発表した。Webの脆弱性を利用した悪意のある攻撃に対して「Webサイトの健康診断」を実施するサービスで、セキュリティに対する耐性がいち早く明確化・可視化され、具体的な対応策を素早く検討することが可能になる。

■15年12月期は大幅増益予想で収益改善基調

 今期(15年12月期)の連結業績予想(2月13日公表)は売上高が前期比6.9%増の30億81百万円、営業利益が同6.1倍の1億76百万円、経常利益が同19.6倍の1億57百万円、純利益が同36.0%増の89百万円としている。配当予想は無配継続としている。

 第1四半期(1月~3月)は、売上高が前年同期比18.6%増の9億39百万円、営業利益が同12.4%増の48百万円、経常利益が同2.2%減の43百万円、純利益が同29.3%減の20百万円だった。

 ネットワークソリューション事業でセキュリティ関連や無線LAN関連、ネットワークサービス事業で保守やマネージドVPNなどの自社サービスが好調に推移して大幅増収だった。

 利益面では、低採算大型案件による売上総利益率の低下や、子会社イノコスの不振があったが、増収効果やのれん償却の減少で吸収して2桁営業増益だった。経常利益については支払手数料の増加で減益、純利益については繰延税金資産取崩の増加で減益だった。

 通期予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が30.5%、営業利益が27.3%、経常利益が27.4%、純利益が22.5%と概ね順調な水準である。通期ベースでも収益改善基調だろう。

 先端的なネットワーク関連商品の投入、パートナーとの協業強化、自社サービスの強化に取り組み、セキュリティ、モバイル、クラウドの重点3分野での事業展開に注力するとしている。子会社イノコスの収益改善が課題だが、中期的に収益拡大が期待される。

■株価は下値固め完了して戻り歩調

 株価の動きを見ると、6月23日の4710円から利益確定売りで一旦反落したが、全般地合い悪化も影響した7月9日の直近安値3045円から切り返して7月21日の年初来高値4780円まで上伸した。下値固めが完了して戻り歩調の展開だ。

 7月29日の終値4265円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS95円06銭で算出)は45倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS218円52銭で算出)は20倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線がサポートラインとなって切り返した。強基調を確認した形のようだ。15年12月期の収益改善基調やサイバーセキュリティ関連を評価して続伸展開だろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■9割超が対策を実施も、「WBGT」の認知は依然として低調  帝国データバンクの調査により、「熱中…
  2. ■「変身と成長」掲げ1300億円の積極投資、収益構造の転換図る  吉野家ホールディングス<9861…
  3. ■人手不足を補いながら顧客満足度の向上に貢献  シャープ<6753>(東証プライム)は5月20日、…
2025年6月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

ピックアップ記事

  1. ■選挙関連の「新三羽烏」の株価動向をウオッチ  足元では野党が石破内閣への内閣不信認決議案提出を見…
  2. どう見るこの相場
    ■米、イラン核施設を電撃空爆、緊張激化へ  「2週間以内」と言っていたのが、わずか「2日」である。…
  3. ■イスラエル・イラン衝突でリスク回避売りが優勢に  イスラエルのイラン攻撃を受け、13日の日経平均…
  4. ■ホルムズ海峡封鎖なら「油の一滴は血の一滴」、日本経済は瀬戸際へ  コメ価格が高騰する「食料安全保…
  5. ■トランプリスク回避へ、大谷・藤井・大の里株が浮上  『おーいお茶』を展開する伊藤園<2593>は…
  6. ■昭和の象徴、長嶋茂雄さん死去  またまた「昭和は遠くなりにけり」である。プロ野球のスパースター選…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る