朝日ラバーは売られ過ぎ感、23年3月期減益予想だが上振れ余地

 朝日ラバー<5162>(東証スタンダード)は自動車内装LED照明光源カラーキャップを主力として、医療・ライフサイエンスや通信分野の事業拡大も推進している。23年3月期は原材料価格や電力料金高騰の影響などを考慮して減益予想としている。ただし第2四半期累計の進捗率が順調だったことに加えて、原材料価格高騰に伴う販売価格転嫁や原価改善効果などで上振れ余地がありそうだ。さらに積極的な事業展開で24年3月期の収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化も影響して昨年来安値圏で軟調展開だが売られ過ぎ感を強めている。高配当利回りや低PBRなど指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。なお2月10日に23年3月期第3四半期決算発表を予定している。

■自動車内装LED照明の光源カラーキャップが主力

 シリコーンゴムや分子接着技術をコア技術として、自動車内装照明関連、卓球ラケット用ラバー、RFIDタグ用ゴム製品などの工業用ゴム事業、およびディスポーザブル用ゴム製品などの医療・衛生用ゴム事業を展開している。車載用LED照明の光源カラーキャップASA COLOR LEDなどを主力としている。

 22年3月期のセグメント別構成比は、売上高が工業用ゴム事業83%、医療・衛生用ゴム事業17%、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が工業用ゴム事業84%、医療・衛生用ゴム事業16%だった。

 主要製品の売上高は、ASA COLOR LEDが5.6%増の28億64百万円、ディスポーザブル用ゴム製品が3.7%増の11億80百万円、卓球ラケット用ラバーが36.2%増の4億21百万円、RFIDタグ用ゴム製品が34.5%減の3億12百万円だった。

■重点分野は光学、医療・ライフサイエンス、機能、通信

 2030年を見据えた長期ビジョンを「AR-2030VISION」として、SDGs・ESG経営を意識して経営基盤強化を目指している。

 中期事業分野を、光学事業(ASA COLOR LEDなど)、医療・ライフサイエンス事業(薬液混注用ゴム栓、プレフィルドシリンジ用ガスケットなど)、機能事業(車載スイッチ用ラバー、卓球ラケット用ラバーなど)、通信事業(RFIDタグ用ゴム製品、ビーコンなど)として、それぞれの製品群を成長させるコア技術や工場の役割を整理し、これまで整えてきた生産環境を最大限に生かす取り組みを推進する。

 22年3月期の中期事業分野別売上高は、光学事業が21年3月期比7.4%増の31億03百万円、医療・ライフサイエンス事業が2.1%増の12億32百万円、機能事業が22.5%増の21億55百万円、通信事業が15.7%減の5億32百万円だった。

 最初のステージとなる第13次三カ年中期経営計画では、数値目標に23年3月期売上高80~90億円、営業利益率8%以上を掲げ、設備投資額は約10億円としている。

 光学事業(23年3月期売上高計画約40億円)では、自動車の内装照明市場から外装照明、アンビエント照明に向けた技術開発を推進する。医療・ライフサイエンス事業(約15億円)では、診断・治療分野、理化学機器分野、介護・予防分野に向けて制御技術と感性技術を磨く。機能事業(約21億円)では、ビークル分野、エネルギー分野、環境発電分野、スポーツ分野において制御技術、触覚・熱・振動・光関連技術、感性技術を磨く。通信事業(約12億円)では、自動認識分野、通信機器分野、センシング分野において、センシング技術、触覚・熱・振動・光関連技術、感性技術を磨く。

 技術開発では、簡易睡眠ポリグラフ検査用着衣型ウェアラブルシステム、風車用プラズマ気流制御用電極、視認性に優れ疲労低減特性のある自動車内装照明用LED、超親水性シリコーンゴム、ウイルス不活性化のための深紫外線LEDシステムなどの開発を推進している。

 20年1月には、切り紙構造とゴムの複合により低応力で伸長し、耐久性に優れた新しい伸縮配線の開発を発表した。ゴムの復元力と立体的な構造によって生体センシング分野での活用が見込まれ、早稲田大学と北里大学の共同研究で発表されたウェアラブル筋電計測デバイスの一部に採用された。20年10月にはレンズの光学設計受託ビジネス開始を発表した。

 20年11月には独自の配合技術と表面改質およびマイクロ加工技術を活かして、シリコーンゴムに親水性に優れた処理を施す技術の開発を発表した。またウイルス不活性化のための深紫外線LEDシステムの研究開発および実証実験が、さいたま市令和2年度イノベーション技術創出支援補助金に採択された。

 また20年11月には、白河工場が自動車産業の国際的な品質マネジメントシステム規格であるIATF16949の認証を取得した。さらに22年7月には、白河第2工場で医療機器に関する国際的な品質マネジメントシステム規格であるISO13485の認証を取得した。品質を高めて事業拡大を加速させる方針だ。

■SDGsへの取り組みを強化

 21年8月には「サステナビリティビジョン2030」を策定した。SDGsへの取り組みを強化し、持続可能な社会の実現に貢献する。

 21年12月には、福島県にある生産4拠点の購入電力をCO2フリー電力に転換した。年間約3000tの温室効果ガス排出削減を見込んでいる。また、みずほ銀行のホームページに、SDGs推進サポートローン実行事例として、同社の取り組みが紹介された。

■23年3月期減益予想だが上振れ余地

 23年3月期の連結業績予想は、売上高が22年3月期比6.1%増の74億54百万円、営業利益が12.5%減の2億55百万円、経常利益が19.8%減の2億51百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が21.6%減の1億87百万円としている。配当予想は22年3月期と同額の20円(期末一括)としている。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比1.5%減の35億78百万円、営業利益が23.2%減の1億35百万円、経常利益が19.2%減の1億43百万円、親会社株主帰属四半期純利益が16.8%減の1億12百万円だった。

 前年同期比では自動車減産の影響で自動車向けゴム製品が減収となり、販管費の増加なども影響して減益だったが、前回予想(22年8月8日付で売上高を下方修正、各利益を上方修正)を上回って着地した。原材料価格高騰に伴う販売価格転嫁や原価改善効果などが寄与した。売上総利益率は24.8%で前年同期比1.0ポイント上昇、販管費比率は21.0%で2.0ポイント上昇した。

 工業用ゴム事業は売上高が5.2%減の28億83百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が19.3%減の2億29百万円だった。卓球ラケット用ラバーの好調(四半期ベースで見ると第2四半期売上高1億66百万円は過去最高)が続き、RFIDタグ用ゴム製品も最終ユーザーの北米市場において第2四半期から回復傾向となったが、主力のASA COLOR LEDやスイッチ製品などの自動車向けゴム製品が中国のロックダウンや自動車減産の影響で減収だった。

 医療・衛生用ゴム事業は売上高が17.5%増の6億95百万円、セグメント利益が27.9%増の71百万円だった。通常の医療活動が回復傾向となり、プレフィルドシリンジガスケット製品や採血用・薬液混注用ゴム栓の売上が増加した。四半期ベースで見ると第2四半期の売上高3億57百万円は過去最高となった。

 国内・海外別売上高は国内が0.3%増の27億69百万円、海外が7.0%減の8億09百万円(アジアが6.0%減の7億55百万円、北米が14.2%減の48百万円、ヨーロッパが47.5%減の4百万円)だった。主要製品の売上高は、ASA COLOR LEDが18.3%減の12億39百万円、ディスポーザブル用ゴム製品が17.5%増の6億88百万円、卓球ラケット用ラバーが71.8%増の3億16百万円、RFIDタグ用ゴム製品が3.6%減の1億88百万円だった。

 中期事業分野別売上高は光学事業が17.6%減の13億46百万円、医療・ライフサイエンス事業が20.5%増の7億26百万円、機能事業が7.7%増の11億72百万円、通信事業が8.3%増の3億32百万円だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が17億54百万円で営業利益が70百万円、第2四半期は売上高が18億24百万円で営業利益が65百万円だった。

 通期連結業績予想は据え置いている。売上面ではASA COLOR LEDが減収見込みだが、医療用ゴム製品や卓球ラケット用ラバーが好調に推移し、RFIDタグ用ゴム製品も回復に向かう見込みとしている。

 売上高の計画は、セグメント別には工業用ゴム事業が6.0%増の61億80百万円、医療・衛生用ゴム事業が6.7%増の12億74百万円としている。中期事業分野別には光学事業が11.8%減の27億36百万円、医療・ライフサイエンス事業が17.2%増の14億44百万円、機能事業が25.8%増の27億12百万円、通信事業が5.6%増の5億62百万円としている。

 第2四半期累計の進捗率は売上高が48.0%、営業利益が52.9%、経常利益が57.0%、親会社株主帰属当期純利益が59.9%と概ね順調である。下期のさらなる原材料価格や電力料金高騰などを考慮して通期会社予想を据え置いたが、原材料価格高騰に伴う販売価格転嫁や原価改善効果などで上振れ余地がありそうだ。さらに積極的な事業展開で24年3月期の収益拡大を期待したい。

■株価は売られ過ぎ感

 株価は地合い悪化も影響して昨年来安値圏で軟調だが売られ過ぎ感を強めている。高配当利回りや低PBRなど指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。1月10日の終値は512円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS41円22銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の20円で算出)は約3.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1030円86銭で算出)は約0.5倍、そして時価総額は約24億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1.  森永製菓<2201>(東証プライム)は2月5日、ソフトキャンディ「ハイチュウ」のブランドロゴを英語…
  2. ■1998年デビュー以来、初のブランド刷新  グンゼ<3002>(東証プライム)は2月5日、199…
  3. ■運転中の不安を解消する「イルヨ」  日産自動車<7201>(東証プライム)と赤ちゃん本舗は31日…
2024年3月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. ■配当利回りランキングで輝く、注目の増配株  今週の当コラムは、主力値がさ株の上値追いはともかく、…
  2. ■4万円台突入:エヌビディア祭りで日経平均が新境地へ  いよいよ3月、3月期決算会社の期末である。…
  3. ■新型コロナウイルス感染症や能登半島地震の影響で業績悪化した銘柄が反発  今週の当コラムでは、株価…
  4. ■34年ぶりの最高値更新から目が離せない敗者復活戦  3連休前の22日は、もちろん「金曜日の引けピ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る