マーケットエンタープライズは23年6月期3Q累計営業・経常黒字転換、通期も黒字転換予想で収益回復基調

(決算速報)
マーケットエンタープライズ<3135>(東証プライム)は5月15日に23年6月期第3四半期累計連結業績を発表した。全セグメントが大幅増収となり、成長に向けた先行投資による費用の増加を吸収して営業・経常黒字転換した。そして通期の黒字転換予想を据え置いた。なお第4四半期に投資有価証券売却に伴う特別利益を計上(約3億円)する見込みで、業績予想の修正が必要となった場合は速やかに公表するとしている。積極的な事業展開で中期経営計画が順調に進捗し、収益回復基調を期待したい。株価は自律調整を交えながら順調に水準を切り上げて年初来高値圏だ。決算発表に対してややネガティブ反応となったが、目先的な売りが一巡して上値を試す展開を期待したい。

■23年6月期3Q累計営業・経常黒字転換、通期も黒字転換予想

23年6月期第3四半期累計(22年7月~23年3月)の連結業績は、売上高が前年同期比30.8%増の111億63百万円、営業利益が39百万円の黒字(前年同期は2億23百万円の赤字)、経常利益が89百万円の黒字(同2億40百万円の赤字)、そして親会社株主帰属四半期純利益が1億06百万円の赤字(同2億13百万円の赤字)だった。

全セグメントが大幅増収となり、成長に向けた先行投資(広告展開、人員拡充、新規拠点開設など)による費用の増加を吸収して営業・経常黒字転換した。連結売上高は第3四半期累計として過去最高だった。

ネット型リユース事業は売上高が29.7%増の61億37百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が171.9%増の2億17百万円だった。各種リソース拡充の成果で3事業領域(個人向けリユース、マシナリー、おいくら)とも増収となり、増収効果で営業損益が改善した。個

メディア事業は、主力のモバイル通信分野が堅調に推移し、売上高が38.1%増の5億74百万円、利益が38.0%増の3億30百万円だった。新たな領域へのメディア展開など収益基盤の多様化も寄与した。

モバイル通信事業は、メディア事業との連携強化や新規回線獲得数の増加などにより、売上高が31.6%増の45億42百万円、利益が104.7%増の2億67百万円だった。

四半期別に見ると、第1四半期は売上高が36億71百万円で営業利益が57百万円の赤字、第2四半期は売上高が37億15百万円で営業利益が14百万円の黒字、第3四半期は売上高が37億76百万円で営業利益が83百万円の黒字だった。第2四半期から営業黒字基調となった。

通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が22年6月期比25.1%増の150億円、営業利益が3億円の黒字(22年6月期は3億19百万円の赤字)、経常利益が2億75百万円の黒字(同3億28百万円の赤字)、そして親会社株主帰属当期純利益が1億67百万円の黒字(同4億04百万円の赤字)としている。なお第4四半期に投資有価証券売却に伴う特別利益を計上(約3億円)する見込みで、業績予想の修正が必要となった場合は速やかに公表するとしている。

部門別売上高(調整前)の計画は、ネット型リユース事業が47.9%増の98億04百万円(個人向けリユースが45.9%増の75億円、マシナリーが46.5%増の20億円、おいくらが2.4倍の3億04百万円)、メディア事業が16.9%増の7億円、モバイル通信事業が2.9%増の50億円としている。

個人向けリユースを中心に成長戦略を加速するため、広告・採用等の先行投資を継続するが、事業を譲り受けたファミリーの中古農機具買取・販売事業とのシナジー効果なども寄与して大幅増収・黒字転換予想としている。そして、中期経営計画の最終年度24年6月期の目標値である売上高200億円、営業利益12億円の達成に向けて、成長戦略再構築の進捗は順調としている。

通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74%、営業利益が13%、経常利益が32%である。利益進捗率が低水準の形だが、第2四半期から営業黒字基調となっていることを勘案すれば、通期会社予想の達成は可能だろう。積極的な事業展開で中期経営計画が順調に進捗し、収益回復基調を期待したい。

■株価は上値試す

株価は自律調整を交えながら順調に水準を切り上げて年初来高値圏だ。決算発表に対してややネガティブ反応となったが、目先的な売りが一巡して上値を試す展開を期待したい。5月17日の終値は1260円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS31円39銭で算出)は約40倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS197円95銭で算出)は約6.4倍、そして時価総額は約67億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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