【銘柄診断】ヤマハ発動機は円安再進行で業績再上ぶれ期待を強め割安株買いが再燃

銘柄診断

 ヤマハ発動機<7272>(東証プライム)は、23円高の3848円と4営業日ぶりに反発して引け、25日移動平均線での目先調整一巡感を強めた。同社株は、9月11日に為替相場が、1ドル=146円台前半とやや円高・ドル高へ振れたことで3812円と下ぶれたが、この日は、1ドル=146円台後半と円安・ドル高に巻き戻したことから業績期待を高め下値で割安株買いが再燃した。今2023年12月期業績は、今年8月8日の今2023年12月期第2四半期(2023年1月~6月期、2Q)累計の決算開示に合わせて上方修正され、連続の過去最高業績を伸ばすが、その際に見直した想定為替レートよりも足元の為替相場がさらに円安・ドル高となっていることから業績の再上ぶれ期待を高めている。業績の上方修正とともに今期配当も増配しており、年間配当利回りが3%超と高水準にあることも、側面支援材料視されている。

■二輪車・マリン事業が続伸し円安・ドル高の為替差益も上乗せ

 同社の今12月期業績は、期初予想より売り上げを500億円、営業利益、経常利益、純利益を各200億円引き上げ売り上げ2兆5000億円(前期比11.2%増)、営業利益2500億円(同11.2%増)、経常利益2500億円(同4.5%増)、純利益1800億円(同3.2%増)と見込み、経常利益と純利益は期初の減益転換予想が続伸し、前期の過去最高業績を連続更新する。二輪車事業とマリン事業の需要が堅調に推移し販売台数が好調に推移し、二輪車事業の売り上げが期初予想の1兆3910億円から1兆4680億円(前期比13.6%増)、営業利益が670億円から1030億円(同21.6%増)、マリン事業も同じく5410億円から5400億円(同4.4%増)、1180億円から1200億円(同9.9%増)と上ぶれと想定し、円安・ドル高による為替差益を2Q業績で111億円計上したことなどが要因となった。

 今12月期通期の想定為替レートは、期初予想の1ドル=125円から1ドル=135、1ユーロ=135円から145円へ円安方向に見直したが、足元では1ドル=146円台、1ユーロ=157円台とさらに円安となっており、同社の為替感応度は、1ドル=1円の円安で営業利益が21億円、1ユーロ=1円の円安で13億円と各変動することから業績再上ぶれ期待につながっている。業績の上方修正とともに総還元性向を40%とする株主還元政策に従って、年間配当を期初予想の130円(前期実績125円)から145円へ増配を予定、連続増配する。

■PER7倍、配当利回り3.7%の割安修正で最高値を奪回し上値チャレンジ

 株価は、前期業績の上方修正でつけた昨年11月の3575円高値から前期配当の権利落ちで年初来安値2913円に調整し、今期業績続伸・連続増配予想に自己株式取得が加わり3680円へリバウンドし、3290円まで再調整したが、円高・ドル安の進行とともに上場来高値4279円まで買い進まれた。今期業績の上方修正では、上方修正業績が市場コンセンサスをやや下回り、自己株式取得も終了したことから3671円まで調整し、一段の円安・ドル高を手掛かりに3900円台まで戻し高値調整を続けてきた。PERは7.1倍、配当利回りは3.76%となお割安であり、上場来高値奪回から上値チャレンジが続こう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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