マーケットエンタープライズは調整一巡、24年6月期大幅増収増益予想

 マーケットエンタープライズ<3135>(東証プライム)は、持続可能な社会を実現する最適化商社を目指してネット型リユース事業、メディア事業、モバイル通信事業を展開している。新中期経営計画では、主に個人向けリユース分野における投資を拡大し、リユース市場でのプレゼンス確立を推進する方針としている。24年6月期第1四半期は個人リユース事業における成長投資を継続しているため赤字拡大したが、売上面は四半期ベースで過去最高と順調だった。そして通期の大幅増収増益予想を据え置いている。人員採用・新規拠点開設などの成長投資が第1四半期で一巡し、第2四半期以降は生産性向上に注力するとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。株価は上値を切り下げる形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。

■持続可能な社会を実現する最適化商社

 持続可能な社会を実現する最適化商社を目指し、ITとリアルを融合させたリユース事業を中心に事業領域拡大戦略を推進している。セグメント区分はインターネットに特化してリユース品を買取・販売するネット型リユース事業、消費者に対して有益な情報をインターネットメディアで提供するメディア事業、低価格通信サービスのモバイル通信事業としている。

 23年6月期セグメント別売上構成比(調整前)はネット型リユース事業55%、メディア事業5%、モバイル通信事業40%、営業利益構成比(調整前)はネット型リユース事業27%、メディア事業36%、モバイル通信事業37%だった。23年6月期は全事業とも大幅増益だった。

 なお、大株主だったYJ1号投資事業組合から信託期間満了により保有株式売却の意向が寄せられたことに伴い、市場売却による株価形成への影響を避けるため、22年9月14日付でSBI証券と差金決済型自社株価先渡取引に係る契約を締結した。そして22年9月15日付の立会外終値取引(ToSTNeT―2)によって、YJ1号投資事業組合が保有していた同社株式40万株をSBI証券が取得した。今後の会計上の取り扱いとしては、各四半期末時点で時価評価を実施し、前四半期末との差額を営業外収益または費用に計上する。

■「高く売れるドットコム」と「おいくら」

 ネット型リユース事業は販売店舗を保有せずに、インターネットに特化して買取・販売サービスを展開している。買取総合窓口サイト「高く売れるドットコム」をフラッグシップサイトとして、商材別に分類された30カテゴリーに及ぶ幅広い対応で自社WEB買取サイトを運営し、コンタクトセンターにおける事前査定、リユースセンターにおける買取・在庫一括管理・商品化、複数の主要Eマーケットプレイス(ヤフオク、楽天市場、Amazon、Ebayなど)に出店した自社運営サイトでの販売という、一気通貫のオペレーションシステムを特徴としている。

 20年7月には「高く売れるドットコム」と、19年2月に事業を譲り受けた日本最大級のリユースプラットフォーム「おいくら」のシステム連携・送客を開始した。21年6月には内閣府が運営する「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」に参画した。なお買取・物流拠点のリユースセンターについては、23年9月に広島リユースセンター、大阪リユースセンター東住吉店(大阪府内としては吹田市に続く2拠点目)を開設し、全国16拠点となった。23年9月には買取商材拡充に向けて車買取を開始した。

 地域社会における課題解決を目的として地方自治体との取り組みを推進しており、リユースプラットフォーム「おいくら」を導入した自治体の不用品リユース事業は、23年11月には愛知県稲沢市、沖縄県嘉手納町、静岡県富士宮市、兵庫県三田市、東京都江東区、埼玉県ふじみ野市、愛知県岡崎市、福島県郡山市、岐阜県大垣市、兵庫県宝塚市で導入され、導入自治体が全国で83となった。

■中古農機具

 中古農機具、中古建機、中古医療機器など法人向け大型商材の取り扱いを拡大している。子会社MEトレーディングは20年5月に中古農機具事業を譲り受けて、中古農機具の買取代行、国内および海外販売・輸出代行を展開している。

 21年10月にマシナリー(中古農機具)ビジネス加速に向けて北関東リユースセンター(茨城県結城市)を開設、21年11月に北関東リユースセンターから中古農機具のEU向け輸出を開始し、中古農機具の取扱量拡大・EUへの輸出強化、拠点での対面販売による新規就農者支援などを推進している。22年4月にはファーマリーが展開する中古農機具の買取・販売事業を譲り受けた。

 なお販売商流の多様化を目指し、カーチスホールディングス<7602>のグループ会社で中古車輸出のアガスタと業務提携した。そして22年12月には、海外向け中古車販売サイト「PicknBuy24.com」を通じて、アフリカへの販路開拓を目的とした中古農機具のテスト販売を開始した。

 23年3月には就農者支援と新規就農促進を目的として中古農機具を用いたリユース連携を開始すると発表した。第1弾として福島市と連携した。中古農機具市場の活性化を促進することで、農業の観点からも持続可能な社会形成を目指すとしている。

■メディア事業とモバイル通信事業

 メディア事業は賢い消費を求める消費者に対して、その消費行動に資する有益な情報をインターネットメディアで提供するサービスを展開している。広告収入が収益柱となる。

 モバイル通信関連のメディア「iPhone格安SIM通信」「SIMチェンジ」、モノ売却・処分関連のメディア「高く売れるドットコムMAGAZINE」「おいくらマガジン」、モノ修理関連のメディア「最安修理ドットコム」、中古農機具買取・販売プラットフォーム「中古農機市場UMM」、農業に特化した「農業とつながる情報メディアUMM」などを運営している。

 なお「中古農機市場UMM」は、20年4月設立した子会社UMMが、20年5月国内最大級のインターネット中古農機具売買事業「JUM全国中古農機市場」を譲り受け、20年6月に名称を「中古農機市場UMM」に変更した。

 モバイル通信事業は、子会社のMEモバイルがMVNO事業者として、通信費の削減に資する低価格かつシンプルで分かりやすい通信サービスを展開している。主力は「カシモ」ブランドのモバイルデータ通信サービスである。

 23年2月には「カシモWiMAX」が、カカクコムの「価格.com」内の「モバイル回線プロバイダ 人気ランキング2022年」において、モバイルルーター部門・ホームルータ部門でともに年間1位となり、総合ランキング1位を獲得したと発表している。

■プライム市場上場維持基準適合に向けた計画書

 22年4月に実施された東京証券取引所の市場再編ではプライム市場を選択し、プライム市場上場維持基準適合に向けた計画書を作成・開示した。中期経営計画に掲げた積極投資を経て、目標値を達成して安定的な収益基盤を構築した後、26年6月期までにプライム市場上場維持基準に適合できる体制の構築に取り組むとしている。

 なお中期経営計画については、23年6月期の業績を踏まえて、23年8月14日付で新3ヶ年中期経営計画(ローリング方式により見直し、24年6月期~26年6月期)を公表した。そして目標値に26年6月期売上高300億円、営業利益20億円を掲げた。主に個人向けリユース分野における投資を拡大し、リユース市場でのプレゼンス確立を推進する方針としている。

■24年6月期1Q赤字拡大だが通期大幅増収増益予想据え置き

 24年6月期の連結業績予想は、売上高が23年6月期比31.1%増の200億円、営業利益が745.3%増の8億円、経常利益が167.5%増の7億45百万円、親会社株主帰属当期純利益が27.4%増の3億70百万円としている。全セグメントが伸長して大幅増収増益予想としている。

 第1四半期は売上高が前年同期比11.9%増の41億06百万円、営業利益が1億54百万円の損失(前年同期は57百万円の損失)、経常利益が2億63百万円の損失(同70百万円の損失)、親会社株主帰属四半期純利益が3億25百万円の損失(同1億01百万円の損失)だった。

 個人リユース事業における成長投資(人員採用、新規拠点開設)を継続しているため赤字拡大して着地した。経常利益と親会社株主帰属四半期純利益については営業外費用で計上したデリバティブ評価損1億04百万円も影響した。ただし売上面は四半期ベースで過去最高と順調だった。

 なお営業利益▲97百万円の要因分析は、増益要因として増収要因+1億58百万円、粗利益率改善(0.6ポイント改善)+25百万円、モバイル事業他における広告宣伝費の減少+68百万円、減益要因として人件費・採用費増加▲1億73百万円、拠点関連費用増加▲78百万円、その他販管費増加(業容拡大に伴う荷造運賃・販売手数料の増加)▲97百万円だった。

 ネット型リユース事業は、売上高が24.2%増の24億05百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が78.7%減の10百万円だった。このうち個人向けリユースは売上高が18.7%増の17億26百万円で粗利益が21.7%増の8億04百万円だった。ニーズ掘り起こしに注力し、生産性向上も推進した。マシナリー(農機具)は売上高が43.1%増の6億36百万円で粗利益が17百万円(前年同期は44百万円の損失)だった。国内、海外とも販売が好調に推移し、粗利益率の改善も進展した。おいくらは売上高が13.1%増の41百万円だった。前期の月額課金体系への変更後も加盟店が順調に増加した。

 メディア事業は、売上高が16.0%減の1億75百万円で、利益が36.5%減の81百万円だった。主にGoogle社が実施した検索エンジンのコアアルゴリズム変更の影響を受け、収益性の高いキーワードにおける検索ランキングが変動し、全体としてPV(ページビュー)数が低調に推移した。

 モバイル通信事業は、売上高が2.1%減の15億44百万円で利益が126.4%増の64百万円だった。獲得収入と広告宣伝費のバランスを図ったことにより、収益性が改善した。

 通期の連結業績予想は据え置いている。全セグメントとも伸長して大幅増収増益予想としている。なお、前期計上したSBI証券との差金決済型自社株価先渡取引契約により発生したデリバティブ評価益については、23年6月末現在と同等の株価水準を前提としている。また、特別利益では前期計上した投資有価証券売却益(3億45百万円)が剥落する見込みだ。

 セグメント別売上高の計画は、ネット型リユース事業が45.4%増の122億円(個人向けリユースが46.4%増の90億円、マシナリーが42.6%増の30億円、おいくらが41.2%増の8億円)、メディア事業が3.1%増の8億円、モバイル通信事業が12.8%増の70億円としている。

 第1四半期は費用が先行して赤字拡大したが、売上面は四半期ベースで過去最高と順調だった。そして人員採用・新規拠点開設などの成長投資が第1四半期で一巡し、第2四半期以降は生産性向上に注力するとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は上値を切り下げる形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。12月5日の終値は1190円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS69円50銭で算出)は約17倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS253円92銭で算出)は約4.7倍、そして時価総額は約63億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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