冨士ダイスは24年3月期予想を下方修正、25年3月期収益回復期待

(決算速報)
 冨士ダイス<6167>(東証プライム)は2月14日の取引時間終了後に24年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。減収減益だった。自動車部品関連金型などの需要が低調に推移し、熊本工場冶金棟建設に伴う一時的費用なども影響した。そして通期予想を下方修正した。生産性向上や価格改定等に一定の成果があるものの、自動車部品関連金型の需要回復が遅れる見込みだ。積極的な事業展開で25年3月期の収益回復を期待したい。株価は下値固め完了してモミ合いから上放れの動きを強めている。目先的には下方修正を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、24年3月期の業績悪化懸念はある程度織り込み済みであり、高配当利回りや1倍割れの低PBRなども評価材料であることを勘案すれば下値限定的だろう。

■24年3月期3Q累計減益、通期下方修正、25年3月期収益回復期待

 24年3月期第3四半期累計の連結業績は売上高が前年同期比2.9%減の123億23百万円、営業利益が34.0%減の5億90百万円、経常利益が32.1%減の6億49百万円、親会社株主帰属四半期純利益が27.4%減の4億77百万円だった。自動車部品関連金型などの需要が低調に推移し、熊本工場冶金棟建設に伴う一時的費用なども影響した。

 製品別売上高は、超硬製工具類が5.2%増の35億09百万円、超硬製金型類が6.1%減の28億83百万円、その他超硬製品が6.8%減の29億89百万円、超硬以外の製品が4.4%減の29億40百万円だった。超硬製工具類は海外向け溝付きロールや一部の鋼管用引抜工具が好調だった。超硬製金型類は光学素子成型用金型やモーターコア用金型が好調だったが、二次電池向け金型が顧客の生産地変更の影響で減少したほか、自動車部品関連金型が部品メーカーの在庫調整の影響で低調だった。その他超硬製品は半導体製造装置向けが堅調だったが、中国市場の景気低迷の影響で中国向け素材販売が低調だった。超硬以外の製品は、一部の鋼製自動車部品用工具・金型が堅調だったが、引抜鋼管が低調だった。

 なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が41億07百万円で営業利益が2億90百万円、第2四半期は売上高が41億03百万円で営業利益が1億51百万円、第3四半期は売上高が41億13百万円で営業利益が1億49百万円だった。

 通期連結業績予想は2月14日付で下方修正し、売上高が23年3月期比4.0%減の165億円、営業利益が27.9%減の8億30百万円、経常利益が27.4%減の8億90百万円、親会社株主帰属当期純利益が48.2%減の6億70百万円としている。なお特別利益では前期計上の固定資産売却6億32百万円が剥落する見込みだ。

 前回予想に対して売上高を13億円、営業利益を3億40百万円、経常利益を3億40百万円、親会社株主帰属当期純利益を2億20百万円それぞれ下方修正し、従来の営業・経常増益予想から一転して減益予想とした。生産性向上や価格改定等に一定の成果があるものの、自動車部品関連金型の需要回復が遅れる見込みだ。積極的な事業展開で25年3月期の収益回復を期待したい。

 24年3月期の配当予想は据え置いて23年3月期比10円減配の22円(期末一括)としている。23年3月期は特別利益計上に伴ってEPS(1株当たり純利益)が65円19銭となったため、株主還元の基本方針としている配当性向50%目途に基づいて32円としたが、24年3月期は特別利益計上を見込まず、例年並みの22円の予想としている。なお修正後の業績予想(EPS33円73銭)による予想配当性向は65.2%となる。

■株価は下値限定的

 株価は下値固め完了してモミ合いから上放れの動きを強めている。目先的には下方修正を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、24年3月期の業績悪化懸念はある程度織り込み済みであり、高配当利回りや1倍割れの低PBRなども評価材料であることを勘案すれば下値限定的だろう。2月14日の終値は693円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS33円73銭で算出)は約21倍、今期予想配当利回り(会社予想の22円で算出)は約3.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1028円11銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約139億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■9割超が対策を実施も、「WBGT」の認知は依然として低調  帝国データバンクの調査により、「熱中…
  2. ■「変身と成長」掲げ1300億円の積極投資、収益構造の転換図る  吉野家ホールディングス<9861…
  3. ■人手不足を補いながら顧客満足度の向上に貢献  シャープ<6753>(東証プライム)は5月20日、…
2025年7月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

ピックアップ記事

  1. ■祝日と金融政策が交錯する7月  7月は、7月21日が「海の日」が国民の祝日に制定されてからフシ目…
  2. ■「MMGA」効果の造船株・海運株は「海の日」月間キャンペーン相場も加わり一段高を期待  あと1カ…
  3. ■選挙関連の「新三羽烏」の株価動向をウオッチ  足元では野党が石破内閣への内閣不信認決議案提出を見…
  4. どう見るこの相場
    ■米、イラン核施設を電撃空爆、緊張激化へ  「2週間以内」と言っていたのが、わずか「2日」である。…
  5. ■イスラエル・イラン衝突でリスク回避売りが優勢に  イスラエルのイラン攻撃を受け、13日の日経平均…
  6. ■ホルムズ海峡封鎖なら「油の一滴は血の一滴」、日本経済は瀬戸際へ  コメ価格が高騰する「食料安全保…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る