【どう見るこの株】ソラコムは連続最高純利益を手掛かりに直近IPO買いが交錯

 ソラコム<147A>(東証グロース)は、前日1日に31円安の1499円と続落して引けた。東証グロース市場指数が、前週末比1.58%安と続落したことから、今年5月30日につけた上場来安値1230円から300円幅の底上げをした同社株にも目先の利益を確定する売り物が増勢となった。ただ前場の取引時間中につけた安値1485円から1506円まで切り返す場面もあり、下げ渋る動きも交錯した。今年3月26日の新規株式公開(IPO)後の初決算として発表した3月期業績で、今2025年3月期の純利益が、前期比41.3%増益予想と高成長し、連続して過去最高を更新することを見直し手掛かりとなった。米経済誌「Forbes JAPAN」の8月号で、同社のIPOが、大企業の参加で高成長しながら上場を実現した「スイングバイIPO」の成功例として取り上げられたことも、フォローの材料視されている。

■リカーリング収益は今期も27%増と高成長し大幅増益に拍車

 同社の今2025年3月期業績は、売り上げ99億1200万円(前期比25.0%増)、営業利益9億2500万円(同27.2%増)、経常利益9億1300万円(同43.0%増)、純利益6億8600万円(同41.3%増)と大幅続伸が予想され、純利益は、前期の過去最高(4億8500万円)を連続更新する。同社は、MVNO(仮想移動体通信事業者)として業界横断的なIoTプラットフォーム「SORACOM」を運営し、契約回線は600万回線を超え、世界392の通信キャリアにより180カ国・地域にグローバル展開し、課金アカウント数は8000件を上回っており、プラットフォームの利用料であるリカーリング収益が、前期の53億8277万円(前々期比24.4%増)から今期はさらに27.7%増の68億7300万円に高成長することなどが寄与する。

 なお同社は、2014年11月に設立され2017年8月にはKDDI<9433>(東証プライム)グループに参画し、2021年6月にはセコム<9735>(東証プライム)、ソースネクスト<4344>(東証プライム)、ソニーグループ<6758>(東証プライム)、日本瓦斯<8174>(東証プライム)、日立製作所<6501>(東証プライム)など6社とパートナー契約を締結し、この大企業が大株主に名を連ねて高成長を続けており、「Forbes JAPAN」の8月号で、「スイングバイIPO」の成功例として紹介された。

■ミニGC示現で上昇トレンド転換しまず最高値調整幅の半値戻し目指す

 株価は、公開価格870円でIPOされ1563円で初値をつけ上場来高値2460円まで買い進まれたが、高人気の反動やIPOラッシュのなか下値を探り、IPO後の初決算となった3月期業績の発表では今期高成長予想が市場コンセンサス予想を下回るとして上場来安値1230円まで調整した。同安値からは、売られ過ぎとして底上げ、初値水準まで持ち直して5日移動平均線が25日移動平均線を上抜くミニ・ゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を示唆した。まず上場来高値から上場来安値への調整幅の3分の1戻し水準の1600円台を奪回し、次の上値メドとして同調整幅の半値戻しの1800円台へのリバウンドが意識されよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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