【編集長の視点】Enjinは連続減益業績を織り込み売られ過ぎ修正買いが再燃

■東証グロース市場の高配当株として注目集める

 Enjin<7370>(東証グロース)は、前日9日に3円高の777円と小反発して引け、今年8月5日に突っ込んだ上場来安値626円からの底上げ幅を拡大させた。同社株は、今年7月12日に発表した5月期決算で、今2025年5月期業績を連続減益と予想して一段下げ、さらに日経平均株価が過去最高の下落幅となる全般相場急落に巻き込まれて上場来安値へ二段下げとなったが、織り込み済みとして売られ過ぎ修正買いが再燃した。バリュエーション的にも年間配当36.8円の継続で配当利回りが、4.73%と東証グロース市場の高配当利回りランキングの第9位にランクインし、テクニカル的にも5日移動平均線が25日移動平均線を上抜くミニ・ゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を示唆していることも、側面支援材料視されている。

■ストック型ビジネスモデルに移行し人員増強も再活性化

 同社の5月期業績は、前2024年5月期業績が、期初予想を上ぶれて着地したものの前々期に比べ減収減益で着地し、今2025年5月期も、連続の減収減益を見込んでいる。同社は、中小企業や医療機関を中心に企業PRの支援サービスやコンサルティング事業、企業とメディアをマッチングさせるプラットフォーム事業を展開しているが、旧来型の単発のPRサービスから独自の事業ポートフォリオを組み合わせてストック型ビジネスモデルへの移行期にあり、このため収益が一過性的に低下し、さらに計画した人員増強がやや未達となったことなどが響き、前期業績は、売り上げ32億6700万円(前々期比6.2%減)、営業利益10億4500万円(同47.5%減)、経常利益10億7800万円(同18.2%減)、純利益7億4900万円(同14.8%減)となった。

 今5月期業績は、売り上げ27億100万円(前期比17.3%減)、営業利益5億4800万円(同47.5%減)、経常利益5億4800万円(同49.1%減)、純利益3億8000万円(同49.2%減)と予想している。ただこのなかで前期21名にとどまった新卒入社を25名に増員し、中途採用15名を含めて期末社員数を190名と計画し、2023年5月期の204名から前2024年5月期に168名に減少した社員数を増強し人材の確保を進める。またこうした事業進捗をアピールするために、今期第1四半期以降に月次決算を開示することも進める。なお今期配当は、前期に増配した年間36.8円を今期も継続することを予定している。

■ミニGCのサポートでPER14倍、配当利回り4.7%の修正に再発進

 株価は、自己株式取得と前期第2四半期業績の順調推移などで年初来高値1200円をつけ、1000円大台出没を続け、今5月期業績の連続減収減益予想で807円まで一段下げとなり、次いで全般相場の波及で上場来安値626円まで二段下げした。同安値からはPBR1倍水準は売られ過ぎとしてリバウンドし、5日線が25日線を上抜くミニGCを示現して上昇トレンド転換を示唆した。PERは14.5倍、配当利回りは4.73%と割安であり、まず二段下げ前の1000円大台奪回を目指そう。(情報提供:日本インタビュ新聞・株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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