【編集長の視点】ラクト・ジャパンは減益予想業績を織り込み下げ過ぎ訂正買いが膨らみ続伸

編集長の視点

 ラクト・ジャパン<3139>(東2)は、15円高の1118円と続伸して始まり、今年2月12日につけた上場来安値971円からの底上げ幅を拡大させている。同社株は、今年1月に開示した今2016年11月期業績が、2ケタ減収減益と予想され、全般相場の急落も重なって上場来安値に突っ込んだが、今年2月に発表した株主優待制度の導入をキッカケに織り込み済みとの評価を強めて下げ過ぎ訂正買いが増勢となっている。環太平洋経済連携協定(TPP)関連法案が、今年3月8日に閣議決定され、国会に提出されたことも中期的な業績期待を高めている。

■中期経営計画を勘案して今期配当を31円に増配し株主優待制度も導入

 同社の今11月期業績は、売り上げ851億4000万円(前期比13.1%減)、経常利益10億8000万円(同19.6%減)、純利益7億円(同15.8%減)と予想されている。前期業績は、乳原料・チーズ事業が、国際乳製品価格の軟調推移のなか、国内乳原料の供給不足に対応して独立行政法人農畜産業振興機構(ALIC)が実施した入札で高いシェアを獲得するなどで増収増益となり、豚の疾病や米国西海岸の港湾労働争議の影響で伸び悩んだ食肉加工事業をカバーし、昨年8月のIPO(新規株式公開)時の予想を上ぶれて着地した。ただ、今期は、乳製品価格が記録的な安値を続けており、競争激化による利益率低迷も予想、新規商材や販売先の開拓や多様化を図り取扱量を着実に増加させるが、業績自体は減収減益となる。

 今期配当は、中期経営計画などを勘案して31円(前期実績30円)に増配する。また株主優待制度も初導入、同社株式の魅力を高め中長期に保有してもらう目的で1単元(100株)以上を保有している株主にQUOカード1000円相当分を贈呈する。

■PER7倍台、PBR0.5倍、実質配当利回り3.6%の修正でまず公開価格奪回へ

 株価は、公開価格1400円と同値で初値をつけ、昨年10月のTPP合意では上場来高値1713円まで買い進まれたが、その後は公開価格を下値抵抗線に200円幅のボックス往来を続け、今期業績の減収減益予想に全般急落相場の急落が重なって上場来安値971円へ突っ込んだ。同安値から株主優待制度導入を評価して底上げ、25日移動平均線水準での三角保ち合いに煮詰まり感を強めている。PERは7倍台、PBRは0.5倍、優待制度込みに実質配当利回りは3.66%と下げ過ぎを示唆しており、公開価格奪回で弾みをつけて上場来高値を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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