【株式市場特集】師走相場の「堅守速攻」戦術とは?上方修正・増配銘柄がもたらす投資チャンス

■低位株と割安銘柄で挑む12月決算市場

 12月期決算銘柄の師走相場では、業績を上方修正し増配を発表する銘柄が続出している。この中で低PER・高配当銘柄を厳選することで、堅守速攻型の投資戦術が有効とされる。また、低位株への注目も高まっており、短期売買を繰り返す需給優先型の動きが見られる。ただし、ユニチカが繊維業撤退や優先株発行を発表したことで株価が急落したように、安定性を求める投資家が「ご意見有用」銘柄を選好する展開も想定される。割り負け修正と低位株の値幅狙いという二刀流戦略を駆使し、守りと攻めのバランスを取ることで、師走相場を乗り切る投資チャンスが広がるだろう。

■トリプルセット・ダブルセット株揃いでPER4倍、配当利回り5%超銘柄も

 12月期決算会社で業績の上方修正と増配を同時に発表したダブルセットの割安株は、発表の時系列的にムゲンエステート<3299>(東証スタンダード)、GMOメディア<6180>(東証グロース)、GMOペパボ<3633>(東証スタンダード)、コロンビア・ワークス<146A>(東証スタンダード)、地主<3252>(東証プライム)、TOYO TIRE<5105>(東証プライム)、イメージ・マジック<7793>(東証グロース)、ビズメイツ<9345>(東証グロ-ス)、グローバル・リンク・マネジメント<3486>(東証プライム)、STIフードホールディングス<2932>(東証スタンダード)、アップルインターナショナル<2788>(東証スタンダード)と続く。

 このうちTOYO TIRE、STIフードHD、アップルインターナショナルの業績上方修正は2回目で、イメージ・マジックとビズメイツの今期配当は、揃って初配当であり、STIフードHDは、12月31日を基準日に株式分割(1株を3株に分割)を予定し、GMOメディアは自己株式取得を予定するトリプルセット銘柄である。このほかINPEX<1605>(東証プライム)は、今期純利益の2回目の上方修正を発表している。この12銘柄のPERは4倍~14倍台と市場平均を下回り、配当利回りはTOYO TIREの4・72%、グローバル・リンクの4.58%、INPEXの4.35%、GMOメディアの4.30%、ムゲンエステートの4.21%がベスト5で、JTの4.59%と比べても遜色がない。

■番外編の大幅上方修正の値ごろ銘柄にはPERがわずか1倍台の割り負け株も

 一方、番外編の値ごろ妙味があってなおかつ今期業績の上方修正幅が大きい銘柄の代表は、ダイドーリミテッド<3205>(東証スタンダード)だろう。今3月期の純利益が、固定資産の売却益の寄与で3000万円から10億5000万円(前期比3.4倍)に引き上げられたこともさることながら、今期配当が大株主の投資ファンドとの合意で年間100円に大幅増配され、この配当利回りは11.4%と全市場ベースの高配当利回りランキングの第2位に位置し折にふれ株価材料視されるからだ。同様に業績上方修正幅が大幅で配当異動を伴った低位株は、中外鉱業<1491>(東証スタンダード)、鶴弥<5386>(東証スタンダード)、エヌアイシ・オートテック<5742>(スタンダード)、光陽社<7946>(東証スタンダード)、さらに固定資産(船舶)譲渡益が大幅上方修正要因となった海運株の玉井商船<9127>(東証スタンダード)、東京汽船<9193>(東証スタンダード)、乾汽船<9308>(東証スタンダード)と続く。海運3社のPERは、玉井商船のわずか1倍台を筆頭に3倍~5倍、配当利回りは5%~7%に達する。

 このほか進学会ホールディングス<9760>(東証スタンダード)は、純利益の上方修正幅が倍となるうえに自己株式取得がオンし、同じく純利益の上方修正幅が3.7倍となる駒井ハルテック<5915>(東証プライム)のPERはわずか5倍台、水準は低いものの純利益の上方修正幅が5倍となったヤマザキ<6147>(東証スタンダード)の配当利回りは3.4%、中間期純利益の上方修正幅が2.6倍の島根銀行<7150>(東証スタンダード)のPERは9倍台となることなども「掉尾の一振」銘柄期待を高めそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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