【株式市場特集】割安感と高配当利回りで注目の食品卸株、業績上方修正や増配でジャイキリの可能性

■高利益進捗率を示した割安な食品卸株を狙うのも一法

 福島原発の処理水の海洋放出で中国が日本産水産物で全面輸入禁止により水産卸市場の水産物価格急落が伝えられ、岸田内閣が水産事業者への支援策や国内新販路開拓を訴え、また9月からは食品メーカーの値上げも相次ぐ厳しい経営環境にある。そうしたなかで「アフター・コロナ」のリベンジ消費やインバウンド需要の回復などで業績を上方修正し、高利益進捗率を示した割安な食品卸株などに「ジャイキリ」(ジャイアントキリング)を狙ってみるのも一法となりそうだ。

■業績上方修正で割安感を強め合わせて発表した増配で高配当利回り

 食品卸会社は、決算期や所属市場もマチマチで業績上方修正時期もさまざまだが、業績を上方修正した割安株を時系列的にあげると次の通りとなる。木徳神糧<2700>(東証スタンダード)、加藤産業<9869>(東証プライム)、トーホー<8142>(東証プライム)、久世<2708>(東証スタンダード)、尾家産業<7481>(東証スタンダード)、西本Wismettacホールディングス<9260>(東証プライム)、やまや<9994>(東証スタンダード)となる。

 このうちトーホーは、前週末1日も上場来高値を更新しPERは16.3倍とプライム市場の全銘柄平均の15.8倍をやや上回るが、そのほかは久世の6.4倍を最割安株に西本Wismettacの8.6倍、尾家産業の9.1倍、木徳神糧の11.8倍、加藤産業の12.6倍、やまやの14.6倍などと割安株が続く。また木徳神糧、加藤産業、西本Wismettacは、業績上方修正とともに増配も合わせて発表しており、西本Wismettacの年間配当利回りは、3.53%と市場平均の2.18%を上回る。

■四半期業績が対通期業績で高進捗した13銘柄も低PER・インカムゲイン妙味

 さらに業績の上方修正はなかったものの、四半期業績が通期予想業績対比で高進捗し、今後の情勢次第で業績上ぶれ含みとなる割安株も多い。コード番号順に列挙すると石光商事<2750>(東証スタンダード)、大冷<2883>(東証スタンダード)、ラクト・ジャパン<3139>(東証プライム)、オーウイル<3143>(東証スタンダード)、ヤマエグループホールディングス<7130>(東証プライム)、三菱食品<7451>(東証スタンダード)、松田産業<7456>(東証プライム)、カクヤスグループ<7686>(東証スタンダード)、アイスコ<7698>(東証スタンダード)、ユアサ・フナショク<8006>(東証スタンダード)、OUGホールディングス<8041>(東証スタンダード)、タカチホ<8225>(東証スタンダード)、サトー商会<9996>(東証スタンダード)の13銘柄と続く。

 このうち大冷、アイスコ、サトー商会が、前週末1日に年初来高値を更新し、アイスコのPERは16.0倍と市場平均をやや上回るが、残り2銘柄はそれぞれ10.7倍、12.7倍と割安である。13銘柄のうち最割安株は5.7倍のタカチホで5倍台評価の銘柄があと3銘柄、10倍台以下の銘柄が7銘柄を数える。配当利回りは、今期年間配当を50円に増配予定のオーウイルが3.94%と最も配当利回りが高く、このほか三菱食品、ユアサ・フナショク、大冷、石光商事が年間配当利回り3%以上となり、インカムゲイン妙味を示唆している。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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