【株式市場特集】ゴールドラッシュ再来の兆しと金関連株の行方、国内に眠る資産が新たな投資対象に

■関税不安の裏で進む金市場の静かな熱気

 トランプ関税による世界同時不況懸念が強まり、金先物価格が高値を追う中、産金株は4日に年初来安値を更新した。銅価格急落による業績不安が影響したとされるが、PBRは1倍を大きく下回り、過度な売られ過ぎとの見方も出ている。一方、国内金小売価格も上昇しており、約6800トンの金を抱える都市鉱山関連のリデュース株や、66兆円規模の家庭内資産を対象とするリユース株への注目も高まりつつある。

■現役金鉱山で採掘中の産金株は安値更新もPBRは0.4倍~0.7倍と1倍割れ

 産金株では、世界最品位の金鉱山で埋蔵量がなお155トン超と確認されている菱刈鉱山で採鉱活動を続けている住友金属鉱山<5713>(東証プライム)が代表株で、昨年8月からはカナダのコテ金鉱山(出資比率39.7%)のの商業生産も開始した。次いで子会社の三井串木野鉱山が、希少金属のリサイクル事業と赤石鉱山で産金活動中の三井金属鉱山<5706>(東証プライム)、含有鉱種が豊富な黒鉱の開発とリサイクル事業のDOWAホールディングス<5714>(東証プライム)、さらに純金積立のオンライン展開に高実績の三菱マテリアル<5711>(東証プライム)に関連人気が期待される。株価は、前週末4日に揃って銅先物価格急落と配当利回りが3%~4%に回った3月期の配当権利落ちが重なって年初来安値更新と売られたが、PBRは0.4倍~0・7倍と1倍を割っており、売られ過ぎ修正に再発進しよう。

 国内の廃棄物市場には、使用済みのパソコンや携帯電話の基板などから回収可能な金の総量が6800トンも眠っていると推定され、世界の金の確認埋蔵量の13%にも達し「都市鉱山」と呼ばれている。この都市鉱山でリデュース(貴金属回収)事業を展開する銘柄も、金関連株の有力候補となる。前記の三井金属、DOWAHDのほかコード番号順に中外鉱業<1491>(東証スタンダード)、イボキン<5699>(東証スタンダード)、アサカ理研<5724>(東証スタンダード)、AREホールディングス<5857>(東証プライム)、松田産業<7456>(東証プライム)などが、有力株となる。目下集計作業中の前3月期業績を期中に上方修正し、増配した松田産業やPERが7倍の最割安株のイボキンがリードする展開も想定される。

■66兆円の「隠れ資産」をバックにリユース株は月次売上動向でビジネスチャンスを確認

 日本の家計には、2230兆円の個人金融資産を抱えている。このビッグさには負けるが、それでも家計には貴金属、宝飾品、ブランド品、高級呉服などの退蔵資産が眠っており、この「隠れ資産」は約66兆円と推定されている。この「隠れ資産」が、国内小売り金価格の最高値追いとともに目を覚ましリユース(買い取り・再販)市場に流入してきている。ここにインバウンド需要も上乗せとなっており、ハードオフコーポレーション<2674>(東証プライム)、ゲオホールディングス<2681>(東証プライム)、コメ兵ホールディングス<2780>(東証スタンダード)、トレジャー・ファクトリー<3093>(東証プライム)、シュッピン<3179>(東証プライム)、買取王国<3181>(東証スタンダード)、BuySell Technologies<7685>(東証グロース)などのビジネスチャンスを拡大する追い風となっている。

 このうち海外に積極的にリユース店舗を展開しているゲオHDは、前週末4日に年初来高値更新と逆行高し、期中に3月期業績を下方修正したコメ兵HDは、年初来安値を更新するなど株価の反応にバラつきがある。ただ月次売上動向でその時々のリユース需要の強弱を確認できるのは強みとなる。やや業績伸び悩みのネット型のリユース株のマーケットエンタープライズ<3135>(東証プライム)、フリマアプリのメルカリ<4385>(東証プライム)などにも人気が波及するかトライするのも一法となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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