【株式市場特集】利上げなら銀行・円高メリット株、据え置きなら不動産株、日銀金融政策の行方

■利上げか、現状維持か?日銀総裁の決断で明暗分かれる8月相場

 日銀の金融政策を巡る不確実性が続く8月相場において、植田総裁が利上げを行うか現状維持を選ぶかによって市場のパフォーマンスは大きく左右される見通しだ。利上げが決定されれば利ザヤ拡大が期待される銀行株や円高メリット株に注目が集まり、一方で現状維持の場合はローン負担増を回避できる不動産株に投資妙味が生じるとされる。不動産株については、海外投資家規制強化の動きという逆風もあるが、それを織り込んだうえでの逆行高シナリオも想定されている。

■金利引き上げではメガバンクから地銀株、円高では元祖メリット株の電力株

 利ザヤ拡大の銀行株で中心になるのは、5期連続の過去最高純利益更新が予想され、自己株式取得の最終取得期限を7月31日に向かえる三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>(東証プライム)や三井住友フィナンシャルグループ<8316>(東証プライム)などのメガバンクだろう。ただPER11倍前後のメガバンクに対してさらに割安な都銀株・地銀株は目白押しである。東証プライム市場では、筑波銀行<8338>(東証プライム)のPER5倍台を筆頭に佐賀銀行<8395>(東証プライム)、東京きらぼしフィナンシャルグループ<7173>(東証プライム)、宮崎銀行<8393>(東証プライム)、四国銀行<8387>(東証プライム)と続いて低PERベスト5で、四国銀行は7倍台である。同じく東証スタンダード市場のベスト3は、じもとホールディングス<7161>(東証スタンダード)のPER5倍台をトップに6倍台の大光銀行<8537>(東証スタンダード)、高知銀行<8416>(東証スタンダード)と続く。また特異的に超低PER・PBRの銀行株は、前週の当コラムでも取り上げた福岡証券取引所に単独上場している地銀株で、豊和銀行<8559>(福証)、宮崎太陽銀行<8560>(福証)、南日本銀行<8554>(福証)、筑邦銀行<8398>(福証)などが該当する。

 植田日銀総裁が政策金利の引き上げに踏み切った場合は、パウエルFRB議長の政策金利据え置きとの関連で日米金利差が縮小し為替相場の円高・ドル安進行が有力となる。円高メリット株は、これまで円安・ドル高メリット株に半導体株などのハイテク株に何度も後塵を拝してきたがいよいよ出番となる。定番銘柄の家具、アパレル、靴などのSPA(製造小売業)のニトリ<9843>(東証プライム)、アダストリア<2685>(東証プライム)、ファーストリテイリング<9983>(東証プライム)、エービーシー・マート<2670>(東証プライム)、外食のサイゼリヤ<7581>(東証プライム)、食料品の神戸物産<3038>(東証プライム)、ラクト・ジャパン<3139>(東証プライム)、正栄食品<8079>(東証プライム)、100円ショップ株のキャンドウ<2698>(東証スタンダード)、ワッツ<2735>(東証スタンダード)、セリア<2782>(東証スタンダード)、300円ショップ株のパルグループホールディングス<2726>(東証プライム)などの株価を押し上げる展開が想定される。元祖円高メリット関連株の電力株も、さらに人気を高めよう。

■金利据え置きなら海外投資家規制の逆風をハネ返す小型不動産株が穴株展開

 日銀が、金融政策を現状維持と決定した場合にもっともプラスに働くのが不動産株のはずである。不動産株は、参議院選挙の最中に新興政党を中心に「日本人ファースト」とする政策スローガンが大きく取り上げられ、外国人規制の強化、海外投資家の不動産投資に対する制限措置が争点の一つとなったが、そのなかでも逆風にめげず株価は堅調に推移してきた。政策金利据え置きとなれば不動産大手の三井不動産<8801>(東証プライム)、三菱地所<8802>(東証プライム)、住友不動産<8830>(東証プライム)から先行するのが定番コースである。しかしそれ以上に割安で値ごろ妙味を示唆しているのが、海外投資家向けに不動産の売買・仲介・情報ネットサービスを展開している不動産株である。ランディックス<2981>(東証グロース)、ADワークスグループ<2982>(東証プライム)、ファンドクリエーション<3266>(東証スタンダード)、ビーロット<3452>(東証スタンダード)、ロードスターキャピタル<3482>(東証プライム)、GA technologies<3491>(東証グロース)、Speee<4499>(東証スタンダード)、ミガロホールディングス<5535>(東証プライム)、楽待<6037>(東証スタンダード)などで、「乳切木」銘柄の穴株として注目するところだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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