【株式評論家の視点】久世は中期計画でROE8%目標、株価に割安感、押し目買い

株式評論家の視点

久世<2708>(JQS)は、業務用食材卸売業を運営。ホテル、会館、レストラン、居酒屋、ファストフード、ケータリングや、デリカ・惣菜、機内食等の外食産業向け業務用食材および資材の販売・メニューの提案・食材のカタログ販売を行っている。

2018年3月期に売上高700億円、営業利益7億円、ROE8%目標の中期経営計画「第三次C&G経営計画」(2015年4月~18年3月)の初年度として、既存得意先との関係強化及び業績回復を優先課題とし、提案営業を重視した営業体制の一層の整備と推進、徹底した物流業務の効率化による物流費の削減、業務見直しによる効率化を積極的に進め、「お客様満足度No.1」「三大都市圏№1」を追求し、「頼れる食のパートナー」として、多様化する顧客の要望にフルライン戦略で応えている。良質な商品や食材を確実に顧客の手元まで届けるという卸売業の本質を磨くことはもちろん、今後の外食産業ニーズに応えるべく、メニュー提案やトレンド情報の発信力を活かし、顧客と一緒に「繁盛店づくり」のサポートに注力している。

同社グループには、スープ・ソース類を製造するキスコフーズ(株)、生鮮野菜を扱う(株)久世・フレッシュワンがある。海外には、良質な原料で競争力のある商品の製造しているキスコフーズインターナショナルリミテッド(ニュージーランド)、海外統括会社である久世(香港)有限公司、中国・成都には業務用食材卸売事業の久華世(成都)商貿有限公司がある。さらに、2014年4月には水産物仲卸会社である旭水産(株)をグループ化。2020年に東京でオリンピックとパラリンピックが開催されることが決まり、同社は今後ますます国際化や多様化する外食業界の発展に尽力するとともに、顧客の要望や期待に応え「1,000億円企業」を目指してる。

11月10日に発表した今2016年3月期第2四半期決算は6日に上方修正した通り、第2四半売上高は337億7500万円(前年同期比0.3%増)、営業損益は3100万円の赤字(同2億2300万円の赤字)、経常損益は8200万円の黒字(同1億7600万円の赤字)、最終損益は1億1300万円の黒字(同1億4300万円の赤字)に着地。 既存顧客との取引伸長と新規先開拓により、売上高は計画を上回ったほか、物流効率の改善が奏功、連結子会社所有の投資有価証券の売却により特別利益を計上したため、最終損益は当初計画に比べ2億6300万円上ブレ黒字転換した。

通期業績予想は、売上高が637億円(前期比6.4%)、営業損益が1億2000万円の黒字(同3億6500万円の赤字)、経常損益が2億3500万円の黒字(同1億9900万円の赤字)、最終損益が2億2000万円(同4億1200万円)を見込む。年間配当は12円継続を予定している。

株価は、3月26日に年初来高値756円、7月29日高値750円と買い直された後、8月26日安値670円と調整。その後、下値圏でモミ合っている。2020年の東京オリンピックを見据えて東京・神奈川を中心とする首都圏を重点地区と位置付け、既存顧客のインストアシェアアップと新規顧客の開拓を進めることへの期待感があるほか、今期予想PER12倍台、PBR0.59倍と割安感がある。週足では26週移動平均線を突破しており、押し目買い優位にリバウンド局面入りとなるか注目したい。(株式評論家&アナリスト・信濃川)

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