【アナリスト水田雅展の銘柄診断】ライドオン・エクスプレスは調整一巡してボックスレンジ下限から切り返し、中期成長力を評価

銘柄分析

 フードデリバリー事業のライドオン・エクスプレス<6082>(東マ)の株価は、10月中旬の直近安値2610円から11月中旬の戻り高値3440円まで上伸した。その後は利益確定売りなどで2700円近辺まで調整しているが、中期成長力を評価してボックスレンジ下限から切り返し局面だろう。

 宅配寿司NO.1の「銀のさら」を中心に「食」を通じた「宅配」サービスを、主に「団塊~シニア」マーケット向けに「ビッグデータ」を活用して「FC展開」する企業である。

 主力のフードデリバリー事業(調理済み食材宅配事業)では、宅配寿司「銀のさら」、宅配御膳「釜虎」、シニア向け宅配弁当「銀のお弁当」、宅配とんかつ「あげ膳」、宅配カレー「カレーキャリー」を全国展開し、提携レストラン宅配代行サービスの「ファインダイン」事業、アート創作サービスの「リトルアーティスト」事業も展開している。14年4月には「銀のさら」よりも低価格の新ブランド宅配寿司「ろくめいかん(鹿鳴館)」を開始した。

 宅配寿司・釜飯カテゴリーにおける圧倒的な市場シェアとブランド力、直営店とFC店を戦略的に配分して1拠点で複数ブランド店舗を展開していることが特徴だ。前期(14年3月期)末時点の宅配拠点数(ファインダイン事業含む)は直営84拠点とFC287拠点の合計371拠点、ブランド別店舗数は「銀のさら」365店舗および「釜虎」186店舗など直営159店舗とFC414店舗の合計573店舗である。

 14年2月には高齢者向け配食サービス「まごころ弁当」を全国展開するシルバーライフ(東京都新宿区)と業務提携し、14年9月には人気の高い海産物を中心としたネットショッピングサイト「銀のセレクション」をヤフーショッピングに開設した。

 今期(15年3月期)の業績(非連結)見通しについては、前回予想(5月15日公表)を据え置いて売上高が前期比1.8%増の167億73百万円、営業利益が同12.8%増の10億35百万円、経常利益が同10.3%増の10億30百万円、純利益が同19.1%増の6億円としている。未定としていた配当予想については11月10日に修正を発表し、初配当となる年間20円(期末一括)とした。

 第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比4.5%増収、同2.5%営業減益、同8.1%経常減益、同6.2%最終減益だった。食材の品質向上などで原価率が上昇して減益だったが、新規出店(17店舗)や既存店の好調(前年同期比2.9%増)で増収となり、売上高、利益とも期初計画を上回った。販売促進活動やメニュー改訂などの施策が奏功して客単価の上昇も寄与した。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が47.8%、営業利益が37.8%、経常利益が36.9%、純利益が35.5%である。利益進捗率がやや低水準だが、第2四半期累計が計画を上回ったことに加えて、下期には前年同期との比較で原価上昇や広告宣伝費増加の影響が一巡するため、通期見通しの達成は可能としている。

 中期成長戦略としてデリバリーネットワーク戦略(BtoC型デリバリープラットフォームの構築)を掲げ、宅配寿司「銀のさら」を核とした拠点数の増加、同一拠点内で複数ブランド店舗を運営する複合化戦略の推進と出店加速、ビッグデータ分析を活用した新商品・新サービスの開発、テレビCM・計画的DM・WEB限定キャンペーンによる販促、介護施設などへの販促活動強化を推進する。宅配代行のファインダイン事業ではブランド確立、提携レストランの新規獲得、配達効率改善などを推進する。

 フードデリバリー市場は高齢人口の増加、女性の社会進出による家庭内調理時間の減少、小規模世帯の増加などを背景として拡大基調であり、店舗の立地・面積・設備などの制約を受けにくい優位性も発揮して、中期的に収益拡大基調だろう。

 株価の動きを見ると、10月中旬の直近安値2610円から11月中旬の戻り高値3440円まで上伸した。その後は利益確定売りなどで2700円近辺まで調整している。第2四半期累計の利益低進捗率が嫌気された可能性がありそうだ。ただし10月安値圏まで下押す動きは見られず調整一巡感を強めている。

 12月19日の終値2735円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS129円18銭で算出)は21~22倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は0.7%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS533円48銭で算出)は5.1倍近辺である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んで調整局面となったが、大勢として2600円~3400円近辺でのボックス展開であり、中期成長力を評価してレンジ下限から切り返し局面だろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■9割超が対策を実施も、「WBGT」の認知は依然として低調  帝国データバンクの調査により、「熱中…
  2. ■「変身と成長」掲げ1300億円の積極投資、収益構造の転換図る  吉野家ホールディングス<9861…
  3. ■人手不足を補いながら顧客満足度の向上に貢献  シャープ<6753>(東証プライム)は5月20日、…
2025年6月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

ピックアップ記事

  1. ■選挙関連の「新三羽烏」の株価動向をウオッチ  足元では野党が石破内閣への内閣不信認決議案提出を見…
  2. どう見るこの相場
    ■米、イラン核施設を電撃空爆、緊張激化へ  「2週間以内」と言っていたのが、わずか「2日」である。…
  3. ■イスラエル・イラン衝突でリスク回避売りが優勢に  イスラエルのイラン攻撃を受け、13日の日経平均…
  4. ■ホルムズ海峡封鎖なら「油の一滴は血の一滴」、日本経済は瀬戸際へ  コメ価格が高騰する「食料安全保…
  5. ■トランプリスク回避へ、大谷・藤井・大の里株が浮上  『おーいお茶』を展開する伊藤園<2593>は…
  6. ■昭和の象徴、長嶋茂雄さん死去  またまた「昭和は遠くなりにけり」である。プロ野球のスパースター選…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る