マーケットエンタープライズ、リユースとモバイルが牽引し大幅増収増益、通期経常・最終利益を上方修正
- 2025/5/15 08:07
- 決算発表記事情報

マーケットエンタープライズ<3135>(東証プライム)は5月14日に25年6月期第3四半期累計連結業績を発表した。大幅増収増益だった。ネット型リユース事業とモバイル事業の拡大が牽引し、販管費増加などを吸収した。通期の連結業績予想については経常・最終利益予想を上方修正した。SBI証券との差金決済型自社株価先渡取引契約について、2月14日に公表した一部期限前解約によるデリバティブ解約益を計上する。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったが、急反発して戻り高値圏だ。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。
■25年6月期3Q累計大幅増益、通期は経常・最終利益を上方修正
25年6月期第3四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比比34.0%増の177億63百万円、営業利益が4.4倍の4億74百万円、経常利益が5億45百万円(前年同期は2億27百万円の損失)、親会社株主帰属四半期純利益が2億77百万円(同6億51百万円の損失)だった。
大幅増収増益だった。ネット型リユース事業とモバイル事業の拡大が牽引し、販管費増加などを吸収した。営業利益の前年同期比3億67百万円増益の分析は、前期の拠点開設・移転関連一時費用の解消で1億07百万円増加、当期の本社移転関連一時費用の発生で68百万円減少、売上増で16億38百万円増加、粗利益率低下で2億87百万円減少、売上増に伴う販管費の増加で15億65百万円減少、生産性向上による販管費比率の低下で5億43百万円増加だった。また営業外ではSBI証券との差金決済型自社株価先渡取引契約に基づくデリバティブ評価損益が3億47百万円改善(前期は評価損2億79百万円、当期は評価益68百万円)したほか、一部期限前解約によるデリバティブ解約益69百万円を計上した。
ネット型リユース事業は売上高が13.2%増の89億64百万円、営業利益(全社費用等調整前)が79.9%増の6億43百万円だった。個人向けリユース分野では生産性向上のためのDX施策により利益体質の強化を推進した。農機具分野は海上運賃高騰の影響で海外からの需要に買い控えが生じたため、国内法人との取引拡大を推進した。おいくら分野は地方自治体との連携推進、自社オウンドメディアを活用した加盟店獲得などの施策により順調だった。
メディア事業は売上高が16.7%減の4億21百万円、営業利益が19.6%減の2億09百万円だった。Google社が実施した検索エンジンにおけるコアアルゴリズム変更の影響が継続した。モバイル通信事業は売上高が73.2%増の84億56百万円、営業利益が54.6%増の4億82百万円だった。契約回線数の積み上げによるストック型収入、新規回線獲得によるショット型収入とも順調だった。
なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が54億92百万円で営業利益が69百万円、第2四半期は売上高が59億83百万円で営業利益が1億80百万円、第3四半期は売上高が62億88百万円で営業利益が2億25百万円だった。
通期連結業績予想(5月14日付で売上高と営業利益を据え置き、経常利益を50百万円、親会社株主帰属当期純利益を30百万円それぞれ上方修正)は、売上高が前期比21.0%増の230億円、営業利益が134.3%増の7億円、経常利益が7億円(前期は40百万円)、親会社株主帰属当期純利益が3億60百万円(同4億76百万円の損失)とした。
売上高と営業利益については、生産性向上施策の進捗と24年4月以降の増員効果などにより大幅増収・大幅増益予想としている。経常利益と親会社株主帰属当期純利益については、SBI証券との差金決済型自社株価先渡取引契約について2月14日に公表した一部期限前解約によるデリバティブ解約益69百万円計上が寄与する。また5月14日には、SBI証券との差金決済型自社株価先渡取引契約について、25年5月21日を期限前解約基準日として、その全部の期限前解約を通知した。これにより本取引による損益が確定することになる。修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高77%、営業利益68%、経常利益78%、親会社株主帰属当期純利益77%である。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株価は上値試す
株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったが、急反発して戻り高値圏だ。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。5月14日の終値は1480円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS67円31銭で算出)は約22倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS164円84銭で算出)は約9.0倍、そして時価総額は約79億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)