【株式市場特集】7月相場:海の日が30周年!半導体vs造船・海運株の行方は?

■祝日と金融政策が交錯する7月

 7月は、7月21日が「海の日」が国民の祝日に制定されてからフシ目の30回目に当たり、全国各地で関連キャンペーンが開催される「海の月間」でもある。またマーケット的には、9日が「トランプ相互関税」の執行猶予期間の期限、7月29日、30日が米国の連邦準備制度理事会(FRB)の公開市場委員会(FOMC)、同じく30日、31日が日本銀行の金融政策決定会合とビッグイベントが続く。7月相場の主役との見方の強い半導体株などのハイテク株と同時並行的に、「海の日」関連の月間キャンペーンの盛り上がり効果も期待して造船・海運関連株にアプローチするのも一考余地がありそうだ。

■主力株は防衛関連人気が後押しし舶用機器株はバリュー株の「宝の山」

 造船株のリード役としては、防衛関株の側面を持つ重工3社や大手造船株が想定される。三菱重工業<7011>(東証プライム)、川崎重工業<7012>(東証プライム)、三井E&S<7003>(東証プライム)でありJMUに船舶・艦艇事業を統合した住友重機械、カナデビア、JFEホールディングスも有資格株となる。専業造船の名村造船所<7014>(東証スタンダード)は、今回の今治造船のM&Aで株価が連想高となり上場来高値に肉薄したが、なおPERは市場平均をやや下回っており、内海造船<7018>(東証スタンダード)、サノヤスホールディングス<7022>(東証スタンダード)などとともに注目度をアップさせよう。

 低PER・PBRの関連では舶用機器の小型株の活躍場面が、さらに増えそうだ。舶用エンジンのジャパンエンジンコーポレーション<6016>(東証スタンダード)、阪神内燃機機工業<6018>(東証スタンダード)、赤阪鉄工所<6022>(東証スタンダード)、ダイハツインフィニアース<6023>(東証スタンダード)、舶用電気機器の寺崎電気産業<6637>(東証スタンダード)、古野電気<6814>(東証プライム)、船舶用遠隔装置の中北製作所<6496>(東証スタンダード)、舶用ハッチカバーのニッチツ<7021>(東証スタンダード)、溶接機の小池酸素工業<6137>(東証スタンダード)、船底塗料の中国塗料<4617>(東証プライム)など多彩だ。このうち中北製作所、寺崎電気産業、古野電気が前週末27日に年初来高値を更新したが、なお割安であり「宝の山」発掘を牽引する可能性もある。

■全員PBR1倍割れの海運株は地政学リスク、中国船入港規制などでなお変動余地

 海運株は、全員PBR1倍割れ、低PER、高配当利回りである。そのリード株は引き続き日本郵船、商船三井、川崎汽船の大手3社だろう。今期業績は減益転換予想、配当は減配予定だが、それでもPERは8倍~13倍、PBRは1倍割れ、配当利回りは3.1%~5.8%と割安であり、とくに高配当利回りは、下値サポート材料として意識されているからだ。またイラン、イスラエル、米国を巡る中東の地政学リスクの今後の動向次第では、ホルムズ海峡の封鎖などで海運市況が変動する展開も想定され、中国船籍船の米国港湾の入港規制などが業績と株価を押し上げる可能性も要注目となる。

 大手3社に続く海運各社は、コンテナ船中心の大手と異なりバラ積み船、タンカー、専用船、LPG船などを運航しているが、そのバリュー株特性は大手3社以上である。PBRの1倍割れはもちろん、PERは4倍~8倍、配当利回りも4%超銘柄が少なくない。NSユナイテッド海運<9110>(東証プライム)、明海グループ<9115>(東証シタンダード)、飯野海運<9119>(東証プライム)、共栄タンカー<9130>(東証スタンダード)をマークするところだろう。乾汽船<9308>(東証スタンダード)は、「プラザ勝どき」の再開発関連で今期業績は大幅減益・配当は大幅減配予想にあるが、PBR評価は0.8倍にしか過ぎず売られ過ぎも示唆している。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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