【注目銘柄】井村屋グループ、冷菓新工場とAIでコスト削減、利益率向上で株価は年初来高値更新へ

■早期梅雨明け先取りで「あずきバー」人気再燃に期待

 井村屋グループ<2209>(東証プライム)は、前日1日に3円安の2472円と小幅続落して引けた。日経平均株価が、501円安と6営業日ぶりに反落して4万円の大々台を割ったことが波及し、目先の利益を確定する売り物に押された。ただ後場取引時間中には2483円と買われる場面もあり、押し目買いも交錯した。気象庁が、6月27日に近畿・中国・四国・九州北部・九州南部地方が、平年より約3週間も早く梅雨明けしたと発表し、全国的に記録的な猛暑日が続いており、関東甲信地方の早期梅雨明けが来週にも真近いとして、同社の猛暑関連のヒット冷夏「あずきバー」人気の再燃を先取りし割安修正期待を高めた。今2026年3月期業績が、連続して過去最高を更新と見込まれていることや、テクニカル的に25日移動平均線が75日移動平均線を上抜くゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を示唆したことも、フォローの材料となっている。

■「あずきバー」の売上本数は過去最高を更新し業績の上方修正が続く

 「あずきバー」は、前期に発売50周年となった同社の大ヒット商品で売上本数は過去最高を更新しており、前2025年3月期業績の大きな上方修正要因となった。前期第2四半期(2024年4月~9月期、2Q)の売上本数は2億6500万本と過去最高となり2Q累計業績を上方修正した。前期通期でも売上本数は、過去最高の3億2900万本と伸び、通期業績が期初の減益転換予想から上ぶれ過去最高で着地する要因となった。今期は、前期に発売して好調に売れた新製品冷菓「井村屋謹製 たい焼き(つぶあん)」も加わり、関東甲信地方の早期梅雨明けを先取りして業績上ぶれ期待につながっている。

 一方、今2026年3月期業績は、売り上げ525億円(前期比2.7%増)、営業利益30億5000万円(同1.5%増)、経常利益32億円(同1.0%増)、純利益22億5000万円(同2.3%増)と予想され、純利益は、前期の過去最高を連続更新する。本社敷地内に冷菓の新工場建設を予定し、新工場による生産性の一段の向上と、生成AIを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しコスト削減のためのイノベーションに取り組むことなどが要因となる。

■GC示現で上昇トレンド転換を示唆し年初来高値も一通過点

 株価は、四半期決算・本決算発表のたびに上ぶれ、前期第3四半期決算発表では2479円、今年3月の自己株式立会外買付取引では2547円と買われ、4月のトランプ関税による世界同時株安時には年初来安値2150円と調整したが、今期業績の連続過去最高予想では年初来高値2570円まで上値を伸ばした。足元では2400円台下位での下値固めを続けてきたが、5日移動平均線が25日移動平均線を上抜くミニ・ゴールデンクロスを示現したあと、25日線が75日線を上抜くGCを示現して上昇トレンド転換を示唆した。PERは14.0倍と割安であり、年初来高値2570円、昨年3月高値2635円も通過点に上値チャレンジが続こう。(情報提供:日本インタビュ新聞・インベストメントナビゲーター:株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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