【鈴木雅光の投信Now】投資信託のコスト競争が始まった

インデックスファンドに、ちょっとした革新的な動きが出てきた。それは、もともとDC向けに設定されたインデックスファンドを、一般向けにも販売するという動きだ。

この手の動きは決して新しいものではなく、たとえば2007年には日興アセットマネジメントが、「年金積立インデックスファンド海外株式」を、DC向けから一般向けに販売。それに続いてニッセイアセットマネジメントが、2009年に「ニッセイ日経225インデックスファンド」を、同じようにDC向けから一般向けとして販売した。そのメリットは、信託報酬が大幅に下がることだ。

そもそもDC向けファンドは、規模のメリットが期待できることから、一般向けの投資信託に比べて信託報酬率を引き下げている。DC向けを一般向けに販売すれば、税制メリットは受けられないにしても、ローコスト運用は可能になる。近年、個人の間でもローコスト運用を望む声が増えてきただけに、投資信託会社もその声を無視できなくなってきたのだろう。

直近の動きでは、今年9月に、三井住友アセットマネジメントが設定・運用している4本のDC向け投資信託を、楽天証券が一般向けに販売するようになった。今回、その対象になった三井住友アセットマネジメントの投資信託は、次の4本だ。

日本債券インデックスファンド(運用管理費用:年率0.1728%)
DC外国債券インデックスファンド(同:年率0.2268%)
DC全海外株式インデックスファンド(同:年率0.27%)
DC新興国株式インデックスファンド(同:年率0.6048%)

さらに、同年11月にはニッセイアセットマネジメントが、「購入・換金手数料なしシリーズ」のニッセイ国内債券インデックスファンド、ニッセイ外国債券インデックスファンド、ニッセイ外国株式インデックスファンドの信託報酬を大幅に引き下げ、DIAMアセットマネジメントも、「たわらノーロード 日経225」という、超低コストの新しいインデックスファンドをローンチした。ちなみに同ファンドの信託報酬率は年0.2106%で、日経225をベンチマークとしたインデックスファンドの中では、最も信託報酬率が低い。
このように、インデックスファンドのコスト引き下げ競争が激化すれば、投資家の視線は自ずと、アクティブファンドのコストは合理的なのかどうかという点に移っていく。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■AI機能強化でさらに便利に!Siriの進化とChatGPT統合で作業効率向上  Appleは3月…
  2. ■ChatGPT Enterpriseを活用し、業務効率化と新たな価値創造を推進  ふくおかフィナ…
  3. ■2024年度の美容室倒産件数、前年を大幅に上回る197件  帝国データバンクの調査によると、20…
2025年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

ピックアップ記事

  1. ■スタンレー電気など年初来安値銘柄の業績見通しに焦点  日経平均株価が4月に大幅下落する中、年初来…
  2. ■トランプ劇場、急転換の舞台裏!米中摩擦、FRB人事…予測不能な変幻自在  「クルマは急に止まれな…
  3. ■5大商社決算発表を前に高まる投資家の期待感  世界三大投資家の一人ウォーレン・バフェットが日本の…
  4. ■「市場の反乱」の一段落で「市場の勝利」を期待しバフェット流に商社株にバリュー株投資も一考余地  …
  5. ■株価55%高もまだ割安!?記念優待利回り10%超の注目株  10日には米国の関税発動停止を受け、…
  6. ■一喜一憂の投資家心理、トランプ関税「一時停止」の罠  まずフェイクニュースかと目と耳を疑った。次…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る