アルコニックス、金属加工・電子機能材が好調、通期予想に対する進捗率も順調

 アルコニックス<3036>(東証プライム)は8月5日に26年3月期第1四半期連結業績を発表した。電子機能材、装置材料、金属加工が大幅に伸長した一方で、アルミ銅における非鉄金属スクラップ市況低迷の影響、営業外損益の悪化などで、全体として小幅経常減益だった。ただし通期経常増益予想を据え置いた。第1四半期の進捗率は順調であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は急伸して18年以来の高値圏だ。目先的には急伸した反動で利益確定売りが優勢になる可能性もあるが、調整は一時的で下値も限定的だろう。

■26年3月期1Q小幅経常減益だが進捗率順調で通期予想据え置き

 26年3月期第1四半期の連結業績は売上高が前年同期比14.5%増の525億06百万円、営業利益が35.7%増の24億45百万円、経常利益が1.2%減の20億52百万円、親会社株主帰属四半期純利益が1.7%減の12億67百万円だった。

 金属加工が大幅に伸長した一方で、アルミ銅における非鉄金属スクラップ市況低迷の影響、営業外損益の悪化などで、全体として小幅経常減益だった。営業外では受取配当金が82百万円減少したほか、為替差損益が2億91百万円悪化(前期は差益1億35百万円、当期は差損1億56百万円)した。またデリバティブ評価損益が3億24百万円悪化(前期は評価益23百万円、当期は評価損3億01百万円)した。
 
 セグメント別の経常利益は、商社流通の電子機能材事業が20.2%増の8億66百万円、商社流通のアルミ銅事業が1億47百万円の損失(前年同期は4億49百万円の利益)、製造の装置材料事業が90.8%増の1億17百万円、製造の金属加工事業が38.3%増の11億72百万円だった。

 電子機能材事業はレアメタル取引や半導体関連取引などが増加して大幅増益、アルミ銅事業はアルミおよび銅スクラップ取引における販売価格低迷に伴う収益率低下で赤字化、装置材料事業は検査装置取引や北米の電気設備部品取引などが増加して大幅増益、金属加工事業は半導体実装装置用金属加工品が牽引して大幅増益だった。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が前期比9.1%増の2150億円、営業利益が27.2%増の88億円、経常利益が8.9%増の82億円、親会社株主帰属当期純利益が12.4%増の54億円としている。配当予想は前期比10円増配の84円(第2四半期末42円、期末42円)としている。連続大幅増配で予想配当性向は46.9%となる。

 26年3月期も増収増益・連続大幅増配予想としている。実需の強い業界に注力してコスト転嫁等を推進する。第1四半期は小幅経常減益だったが、通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高24%、営業利益28%、経常利益25%、親会社株主帰属当期純利益23%と順調であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は下値限定的

 株価は急伸して18年以来の高値圏だ。目先的には急伸した反動で利益確定売りが優勢になる可能性もあるが、調整は一時的で下値も限定的だろう。8月5日の終値は2061円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS179円02銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の84円で算出)は約4.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2327円12銭で算出)は約0.9倍、そして時価総額は約641億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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