加賀電子、26年3月期通期業績と配当予想を上方修正、自己株式取得・消却も発表、MS事業や情報機器事業が好調

 加賀電子<8154>(東証プライム)は8月7日に26年3月期第1四半期連結業績を発表した。EMS事業や情報機器事業が好調に推移して増収増益だった。そして通期業績予想および配当予想を上方修正した。25年7月に子会社化した協栄産業の第2四半期以降の業績予想および負ののれん発生益を織り込んだ。また自己株式取得(8月8日のToSTNeT-3で取得)および消却も発表した。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は水準を切り上げて年初来高値圏だ。配当増額や自己株式取得も評価して上値を試す展開を期待したい。

■26年3月期通期業績および配当予想を上方修正

 26年3月期第1四半期の連結業績は売上高が前年同期比7.3%増の1380億86百万円、営業利益が16.8%増の64億84百万円、経常利益が3.3%増の62億42百万円、親会社株主帰属四半期純利益が11.8%増の46億14百万円だった。

 電子部品事業の部品販売ビジネスは一部のサプライチェーンでの在庫調整長期化の影響を受けたが、電子部品事業のEMSビジネス、情報機器事業のパソコン販売ビジネス、その他セグメントのアミューズメント機器販売が好調に推移して増収増益だった。なお営業外では為替差損益が6億33百万円悪化(前期は差益35百万円、当期は差損5億98百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益2億65百万円を計上した。

 電子部品事業は売上高が4.6%増の1164億56百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が2.4%減の42億27百万円だった。EMSビジネスは医療機器向けや産業機械向けなどが好調に推移して増収増益だが、部品販売ビジネスは一部のサプライチェーンでの在庫調整長期化の影響で増収ながら減益だった。

 情報機器事業は売上高が14.2%増の121億16百万円、利益が28.5%増の8億21百万円だった。パソコン販売ビジネスは教育機関向けや量販店向けが好調に推移して増収増益、電気・通信機器設置ビジネスはコンビニチェーン向けLED照明工事の堅調推移や電気設備(受変電・太陽光パネル)工事の受注拡大で増収だが、先行投資による施工人員増強により減益だった。

 ソフトウェア事業は売上高が6.3%減の5億91百万円、利益が42百万円の損失(前年同期は35百万円)だった。新製品の端境期で減収減益だった。

 その他事業(エレクトロニクス機器修理・サポート、アミューズメント機器製造・販売、スポーツ用品販売など)は売上高が46.8%増の89億21百万円、利益が195.3%増の13億62百万円だった。国内および米国向けアミューズメント機器の好調で大幅増収増益だった。

 なお会社別の営業利益(連結調整前)は加賀電子が31.1%増の57億99百万円、加賀FEIが55.9%減の3億66百万円、エクセルが3.5%増の2億78百万円で、中計セグメント別の営業利益(同)は電子部品が9.2%減の22億67百万円、EMSが8.0%増の22億35百万円、CSI(コンシューマー&システムインテグレーター)が28.5%増の8億21百万円、その他が4.3倍の11億32百万円だった。

 通期連結業績予想については、協栄産業を子会社化したことに伴って25年8月7日付で上方修正し、売上高が前期比4.8%増の5740億円、営業利益が1.7%増の240億円、経常利益が5.3%増の238億円、親会社株主帰属当期純利益が41.7%増の242億円としている。

 前回予想(25年5月14日の期初公表値、売上高5300億円、営業利益230億円、経常利益230億円、親会社株主帰属当期純利益165億円)に対して、売上高を440億円、営業利益を10億円、経常利益を8億円、親会社株主帰属当期純利益を77億円、それぞれ上方修正した。25年7月に子会社化した協栄産業の第2四半期以降の業績予想(売上高440億円、営業利益10億円、経常利益8億円、親会社株主帰属当期純利益5億円)を加えたほか、負ののれん発生益72億円(第1四半期末において暫定的に算出された金額)を織り込んだ。

 修正後のセグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が5.9%増の5010億円でセグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が3.4%増の175億円、情報機器事業の売上高が5.5%増の450億円で利益が5.8%増の35億円、ソフトウェア事業の売上高が11.4%減の30億円で利益が1.9%減の5億円、その他事業の売上高が13.3%減の250億円で利益が7.7%減の25億円としている。協栄産業の新規連結に伴い電子部品事業の売上高を440億円、利益を10億円それぞれ上方修正した。

 なお織り込みリスクとして、米国関税政策の影響は売上高で▲100億円、営業利益で▲5億円、為替影響(為替想定1米ドル=140円)は売上高で▲170億円、営業利益で▲5億円としている。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。

 配当予想についても25年8月7日付で第2四半期末5円、期末5円、合計10円上方修正し、前期比10円増配の120円(第2四半期末60円=普通配当55円+特別配当5円、期末60円=普通配当55円+特別配当5円)とした。予想配当性向は24.6%となる。また25年8月7日付で自己株式取得および消却も発表した。自己株式取得については、三菱UFJ銀行など取引金融機関4行より所有株式売却意向を受けたため、8月8日の東京証券取引所の自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)で取得(上限492万株または150億円)し、取得した自己株式の全数(492万株予定)を25年8月18日付で消却する。修正後の配当金と自己株式取得を合わせた総還元性向は83.3%の見込みとなる。

■株価は上値試す

 株価は水準を切り上げて年初来高値圏だ。配当増額や自己株式取得も評価して上値を試す展開を期待したい。8月7日の終値は2938円、今期予想連結PER(修正後の会社予想連結EPS488円45銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(修正後の会社予想120円で算出)は約4.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3162円68銭で算出)は約0.9倍、そして時価総額は約1687億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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