【どう見るこの相場】盆休み明けもサプライズ?!カネ(K)、コメ(K)の「2K」関連株の裾野拡大を期待

■日経平均史上最高値更新、夏枯れ懸念を払拭

 前週末15日のマーケットは、お盆を象徴するかのようにサプライズの大盤振る舞いであった。まず日経平均株価である。14日の625円安の急落を埋めて729円高と大きくリバウンドし、もちろん2日ぶりに史上最高値を更新した。8月に入って4万円台下位のもみ合いから2週間で約3000円高しており、決算発表も峠を越し、高校野球の甲子園大会もスタートし季節要因からいってもそろそろ夏枯れ相場かともいわれそうなのに、なかなか休ませてくれない。

■「ベッセント・ラリー」で銀行株急伸、50行が年初来高値更新

 第2のサプライズは、いわば「ベッセント・ラリー」である。米国のベッセント財務長官が、通信社のインタビューでトランプ大統領譲りの日米金融当局の金融政策へ口先介入を行ったことがキッカケだ。同長官は、FRBの9月16日~17日開催のFOMC(公開市場委員会)を前に政策金利引き下げへのプレッシャーを強め、返す刀で日本銀行の同じく9月19日~20日開催予定の金融政策決定会合を前に「彼らは後手に回っている。従って利上げを実施する」と追い込む発言をしたのである。

 「ベッセント・ラリー」が、日経平均株価のほか個別銘柄でもどれほどのサプライズとなったかは、折から15日に内閣府が発表した2025年4~6月期の国内総生産(GDP)の上昇率が、市場予想を上ぶれたことも加わり、東証プライム市場で、181銘柄が年初来高値を更新し、このうち銀行株が50行と約28%を占めたことでも明らかである。やはり日経平均株価が最高値をつけた13日の25行からほぼ倍増し、14日の8行から大きくリバウンドしており、政策金利引き上げよる利ザヤ拡大期待が強まり広がった。

■ジャクソンホール会議とFOMC利下げ幅、日銀利上げが市場左右

 このあと「ベッセント・ラリー」の方向性は、今週21日、23日に開催される米国ワイオミング州で開催される経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でのパウエルFRB議長の講演内容や、FOMCでの利下げ幅が0.25%となるか0.5%となるか、日銀金融政策決定会合で5会合ぶりに追加利上げを決定するかどうかに掛かっている。ただFRBも、ハト派理事がウエートを増し、日本の長期金利も、追加利上げを織り込んで上昇を続けており、そう想定すれば「ベッセント・ラリー」を継続される可能性は高い。

 さらに3つ目のサプライズとなったのが木徳神糧<2700>(東証スタンダード)のストップ高、株式分割の権利落ち後高値更新であった。コメ価格が高騰した「令和の米騒動」で今12月期業績を大幅上方修正し増配も発表したことを受け、株価は今年7月につけた権利落ち後安値からわずか3週間で2.5倍化したからだ。さらにその周辺でもコメ関連の農薬株や農機株などに業績上方修正が相次いだ。コメ価格高騰による農家の生産意欲の高まり、石破内閣の需給バランス安定へ向けた米増産政策への転換が、早くも関連株の業績の表面化したことになる。

■史上最高値圏で「2K株」物色強まる、持たざるリスク意識

 となれば、マーケットの後追いとはなるが、盆休み明けとともに一考したいのが、銀行株、コメ関連株への積極対応である。年初来高値水準にある銘柄への高値追いは、投資セオリー上からもリスク大となる恐れがないとはいえないが、もともと銀行株に代表されるように投資採算的には低PER・PBR、高配当利回りと出遅れていたのである。むしろどの銘柄とも、まだ割り負けていて目移りがするほどである。銀行株ではメガバンク株は外せないが、業績の上方修正、自己株式取得、業界再編思惑材料が取捨選択のポイントとなりそうで、コメ関連株でも銘柄物色の広がりも期待される。

 前週末の3つのサプライズが、さらにサプライズを呼ぶか、それともサプライズはどれも一回限りで打ち止めとなるかは予断を許さないが、史上最高値追いのマーケットでは「持たざるリスク」も意識されなお買い遅れている投資家も少なくなく、また盆休みからUターンする投資家も想定されるだけに、ディフェンシブ関連でもある「カネ(K)、コメ(K)」の2K関連株にファイティング・ポーズを継続するのも一法となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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