
■円建てデジタル通貨が安心・低コスト決済を実現
JPYC株式会社は8月18日、資金決済法第37条に基づく資金移動業者として登録を完了したと発表した(登録番号 関東財務局長 第00099号)。同社は日本国内で初めて、日本円と1対1で連動する「円ステーブルコイン」を合法的に発行できる資金移動業者となった。改正資金決済法は2023年6月1日に施行され、ステーブルコインの発行は銀行、信託会社、登録資金移動業者に限定されており、今回の登録は同社を正式な発行体として位置づけるものである。
■規制準拠の安心感、広がる社会インフラとしての可能性
これにより、従来は法的裏付けを欠いていた円建てステーブルコインに安定性と信頼性がもたらされた。価格変動リスクがほぼない円建てデジタル通貨が、即時送金や低コスト決済を可能にし、銀行インフラに依存しない新しい決済手段の実用化が現実となる。誰もが安心して利用できるデジタルマネーが整備されたことで、国内のキャッシュレス社会は次の段階に進むことが期待される。
さらに、規制準拠による安心感が利用拡大の追い風となっている。不正対策やマネーロンダリング防止など法的な安全網の下で運営されるため、企業や自治体、消費者まで幅広く利用できる環境が整った。海外では米ドル建てステーブルコインがWeb3経済の基盤を形成しており、日本においても円建て合法ステーブルコインが社会インフラとして広がる可能性が見込まれている。
■関連企業に波及効果、出資企業や提携先が注目集める
この動きは関連銘柄への注目も呼んでいる。アステリア<3853>(東証プライム)は技術パートナーかつ出資企業として株価がストップ高になるなど人気化しているほか、パーソルホールディングス<2181>(東証プライム)、アイフル<8515>(東証プライム)、電算システムホールディングス<4072>(東証プライム)、ユナイテッド<2497>(東証グロース)も出資を通じて物色対象となっている。さらに、TIS<3626>(東証プライム)やサイバーリンクス<3683>(東証プライム)、インタートレード<3747>(東証スタンダード)、シンプレクス・ホールディングス<4373>(東証プライム)といったIT・金融企業はステーブルコイン関連インフラの開発に携わり、KDDI<9433>(東証プライム)や東京きらぼしフィナンシャルグループ<7173>(東証プライム)、北國フィナンシャルホールディングス<7381>(東証プライム)、SBIホールディングス<8473>(東証プライム)、日本取引所グループ<8697>(東証プライム)など大手も関連ビジネスへの関与を強めている。金融、IT、通信各分野の企業連携が進めば、今後ステーブルコイン関連銘柄の注目度はさらに高まる見通しである。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)