ソフトクリエイトホールディングス、EC・IT両事業が好調、増収増益で配当6期連続増配へ、株価は最高値に接近
- 2025/8/20 07:26
- アナリスト銘柄分析

ソフトクリエイトホールディングス<3371>(東証プライム)はECソリューション事業とITソリューション事業を展開し、成長戦略としてクラウドサービス拡大を推進している。26年3月期も増収増益で配当は6期連続増配予想としている。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも拡大し、人件費等の増加を吸収する見込みだ。第1四半期は増収、営業・経常増益と順調だった。事業環境は良好であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は年初来高値を更新し、22年3月の最高値に接近している。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。
■ECソリューション事業およびITソリューション事業を展開
ECソリューション事業およびITソリューション事業を展開する持株会社で、成長戦略としてクラウドサービス拡大を推進している。連結子会社はecbeing、ソフトクリエイト、エイトレッド<3969>、エートゥジェイ、visumo<303A>などである。24年4月にはソフトウェア受託開発を主力とするシステムワークスジャパンを連結子会社化、25年4月にはソフトウェア品質検証事業を展開するクオリティ・アイを連結子会社化した。
25年3月期のセグメント別売上高(外部顧客に対する売上高)は、ECソリューション事業が166億21百万円、ITソリューション事業が143億30百万円、経常利益(全社費用等調整前)はECソリューション事業が40億72百万円、ITソリューション事業が29億297百万円、経常利益の調整額が▲13億06百万円だった。
売上高の内訳は、ECソリューション事業のECサイト構築が110.2億円、デジタルマーケティングが34.6億円、ECクラウドサービスが21.3億円、ITソリューション事業のセキュリティ・インフラ構築が65.4億円、ITパッケージが22.3億円、ITクラウドサービスが28.7億円、IT機器が26.6億円だった。各分野とも増収基調となっている。
■ECソリューション事業はECサイト構築「ecbeing」が主力
ECソリューション事業は、ecbeingのECサイト構築パッケージecbeingの販売・保守・ホスティングサービスを主力に、全農ECソリューションズの全国農業協同組合連合会のECサイト運用業務、visumoのビジュアルマーケティングプラットフォーム開発・運営、Revicoのレビュー閲覧・投稿サービスRevico運営、エートゥジェイのコンテンツマーケティング事業なども展開している。
ECサイト構築パッケージecbeingは、ECサイト構築からマーケティング支援やデータ分析までワンストップで対応していることを強みとして、中~大規模顧客向けを中心に、国内ECサイト累計構築実績が22年度末時点で1600サイトを突破した。EC構築ソリューション市場における同社の市場シェアは17年連続1位(富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2025年版」ECサイト構築(カスタマイズ型/SaaS)市場占有率、2024年度実績)である。
22年2月にはecbeingが海外市場向けマーケティング事業・越境EC支援事業を展開するクロスシーの第三者割当増資を引き受けて資本業務提携した。23年7月にはecbeingがMicrosoftのAzure OpenAI Serviceを活用し、ChatGPTを組み込んだAIチャットボットシステムのAIデジタルスタッフをリリースした。24年6月にはecbeingが、ECサイトと会員情報を一元化できる予約管理システムRESOMOをリリースした。25年5月には、ecbeingが「LINEヤフー Partner Program」において、25年度の「Technology Partner」の「LINEミニアプリ部門」に認定された。25年6月にはecbeingがクロスシーと協業した。日本の「TikTok Shop」のローンチを見据え、企業の出店支援サービスを展開する。
■ITソリューション事業はSIやワークフローシステムが主力
ITソリューション事業はソフトクリエイトの自社開発SCクラウド、不正アクセス端末検知・遮断システムL2Blocker、システムインテグレーションやIT機器販売、エイトレッドのワークフローシステム(パッケージ型AgileWorks、クラウド型X-point Cloud)を主力としている。
24年2月にはソフトクリエイトが企業向け生成AIサービスSafe AI Gatewayをリリースした。24年5月にはソフトクリエイトが生成AI型チャットボットSafe AI Botをリリースした。Safe AI Gatewayのチャットボット機能から派生した商品である。25年8月にはソフトクリエイトがSafe AI Gatewayをベースに独自エンジンを利用した自立支援型AIエージェントSafe AI Agentを開発した。
エイトレッドのワークフローシステムのシリーズ累計導入社数は累計5000社を突破している。そしてクラウド型X-point Cloudは、複数の市場調査レポートでワークフロー市場における出荷金額・売上金額実績シェア1位を獲得している。24年3月にはAgileWorksクラウド版の販売を開始した。
■26年3月期増収増益予想で1Q順調
26年3月期の連結業績予想は売上高が前期比8.2%増の335億円、営業利益が9.1%増の60億円、経常利益が7.6%増の62億円、親会社株主帰属当期純利益が6.5%増の37億80百万円としている。配当予想は前期比7円増配の62円(第2四半期末31円、期末31円)としている。6期連続増配で予想配当性向は40.9%となる。
第1四半期の連結業績は、売上高が前期比11.1%増の78億87百万円、営業利益が3.9%増の11億08百万円、経常利益が8.6%増の13億30百万円、親会社株主帰属四半期純利益が1.3%減の8億42百万円だった。
増収、営業・経常増益と順調だった。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも順調に拡大し、人件費増加等を吸収した。なお四半期純利益は前期計上の投資有価証券売却益89百万円の剥落により小幅減益だった。
ECソリューション事業は、売上高(外部顧客への売上高)が7.8%増の42億87百万円、経常利益(全社費用等調整前)が16.4%増の11億36百万円だった。主力のECサイト構築売上高が順調に拡大し、ECサイトの売上拡大施策となるクラウドサービス売上高も伸長した。売上高の内訳はECサイト構築が4.8%増の28.2億円、デジタルマーケティングが12.0%増の9.0億円、ECクラウドサービスが17.5%増の5.5億円だった。
ITソリューション事業は売上高が15.3%増の35億99百万円、経常利益が2.0%減の5億20百万円だった。クラウドサービスやセキュリティ・インフラ構築が順調に拡大したが、人件費増加等の影響で小幅減益だった。売上高の内訳はセキュリティ・インフラ構築が1.0%増の15.0億円、ITパッケージが20.2%増の5.0億円、ITクラウドサービスが37.4%増の8.7億円、そしてIT機器が24.0%増の7.1億円だった。
通期の連結業績予想は据え置いて、増収増益予想としている。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも順調に拡大し、人件費等の増加を吸収する見込みだ。売上高の計画はECソリューション事業が10.1%増の183億円、ITソリューション事業が6.1%増の152億円としている。経常利益4.4億円増益の増減要因分析(見込み)は、売上総利益増加で11.5億円増、人件費増加で5.2億円減、研修費・採用費増加で0.4億円減、その他経費(税金等)増加で1.5億円減としている。第1四半期は増収、営業・経常増益と順調だった。事業環境は良好であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株主優待制度は3月末と9月末の年2回、長期保有優待も実施
株主優待制度(詳細は会社HP参照)は毎年3月31日および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主(長期保有優待の基準日は毎年3月末)に対して、保有株式数および保有期間に応じてQUOカードを贈呈している。
■株価は22年の最高値に接近
株価は年初来高値を更新し、22年3月の最高値に接近している。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。8月19日の終値は2360円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS151円74銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の62円で算出)は約2.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS836円23銭で算出)は約2.8倍、そして時価総額は約650億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)