And Doホールディングス、不動産売買・金融事業に経営資源集中──中期経営計画で目標達成を目指す

 And Doホールディングス<3457>(東証プライム)は、不動産×金融サービスの進化による高収益化を目指す不動産テック(不動産×IT)企業である。成長性・収益性の高い事業に経営資源を集中するため26年6月期より事業ポートフォリオを再構築し、成長強化事業を「ハウスドゥ」のフランチャイズ事業、不動産売買事業、金融(リバースモーゲージ保証)事業とする。26年6月期は増益予想としている。ハウス・リースバック事業縮小と不動産売買事業強化のためのウエイトシフト期間と位置づけ、下期偏重の計画としている。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は安値圏だが調整一巡して下値固め完了感を強めている。高配当利回りなども評価材料であり、出直りを期待したい。

■住まいのワンストップサービスを展開する不動産テック企業

 住まいのワンストップサービスを展開している。不動産×金融サービスの進化による高収益化を目指す不動産テック(不動産×IT)企業である。なお第一生命ホールディングス<8750>との資本業務提携により、25年6月4日付で第一生命ホールディングスの持分法適用関連会社となった。

■新中期経営計画(26年6月期~30年6月期)

 25年8月に新たな中期経営計画(26年6月期~30年6月期)を策定し、最終年度30年6月期の目標値として、売上高800億円、経常利益80億円、経常利益率10%、親会社株主帰属当期純利益53億円、自己資本比率30%以上、ROIC6.0%以上を掲げている。配当性向は30%以上としている。

 成長性・収益性の高い事業に経営資源を集中するため26年6月期より事業ポートフォリオを再構築し、成長強化事業を「ハウスドゥ」のフランチャイズ事業、不動産売買事業、金融(リバースモーゲージ保証)事業とする。ハウス・リースバック事業については、他社リースバックのネガティブ報道の影響や金利上昇に伴うファンドの慎重化などを考慮して規模を縮小し、リバースモーゲージ保証事業へシフトする。またリフォーム事業については26年6月期中に譲渡予定である。

 これに伴って26年6月期より事業セグメントを変更(不動産流通事業を不動産売買事業に集約、26年6月期中に譲渡予定のリフォーム事業をその他へ変更)し、新たな事業セグメントをフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、金融事業、不動産売買事業、その他とする。

 成長戦略として、注力事業のウエイト転換により事業ポートフォリオを再構築し、資本回転率の向上と利益率の改善を通じて、安定的かつ高いキャッシュ・フローの創出を目指す。また第一生命ホールディングスとの協業(両社の経営資源・サービスの相互活用、不動産を活用した金融サービスの普及・発展に向けた取組の推進など)の成果創出により、さらなる上積みを図る。

 フランチャイズ事業は、グループシナジーやサービス展開のインフラ基盤および安定したストック収益として、開発余地のある都市部を中心に広告・人材を投下するほか、人材補強による新規加盟開発や既存加盟店へのサポートを強化する。30年6月期の目標として累計加盟店数960店舗(25年6月期末時点725店舗)を目指す。

 不動産売買事業は、業績を牽引する成長ドライバーと位置付けて、展開エリア拡大や、採用強化による人材補強(営業人員59.3名→250名)などにより、中古住宅買取再販のさらなる強化を図るほか、利益率・回転率の向上を推進する。30年6月期の目標として売上高370億円・全社売上高に占める割合54%(25年6月期実績88.5億円・29%)を目指す。

 金融(リバースモーゲージ保証)事業は、ストック収益や将来収益機会の拡大を目指し、不動産価値の高い都市部を中心に新規提携金融機関の開拓や保証残高の積み上げを図るほか、不動産処分機会獲得による事業シナジー創出を推進する。25年6月期末時点の提携金融機関は54となっている。また30年6月期の目標として保証残高1250億円(25年6月期末時点281.7億円)を目指す。

■26年6月期増益予想

 25年6月期の連結業績は売上高が前期比4.2%減の647億35百万円、営業利益が27.0%減の26億20百万円、経常利益が14.9%減の29億43百万円、親会社株主帰属当期純利益が5.5%減の23億41百万円だった。配当は前期比2円増配の45円(期末一括)とした。連続増配で配当性向は37.9%となる。

 前回予想(24年8月14日付の期初公表値、売上高700億円、営業利益40億円、経常利益40億円、親会社株主帰属当期純利益26億40百万円)に対して、売上高は52億64百万円、営業利益は13億79百万円、経常利益は10億56百万円、親会社株主帰属当期純利益2億98百万円それぞれ下回り、増収増益予想から一転して減収減益での着地となった。ハウス・リースバック事業における仕入契約件数を抑制し、ファンドへの譲渡額が計画に対して減少した。なお子会社のハウスドゥ販売管理の賃貸部が展開する賃貸管理・仲介・修繕工事等の事業を25年3月末にアーキテクト・ディベロッパーに譲渡し、特別利益に事業譲渡益7億66百万円を計上した。

 フランチャイズ事業は売上高(調整前)が0.8%減の32億12百万円、営業利益(調整前)が4.5%減の19億20百万円だった。小幅減収減益だった。累計加盟店数(レントドゥ含む)は18店舗増加して725店舗、累計開店店舗数は19店舗減少して624店舗となった。

 ハウス・リースバック事業は売上高が25.4%減の194億49百万円、営業利益が29.4%減の22億64百万円だった。仕入契約件数を抑制し、HLBファンドへの譲渡が減少した。契約件数は359件減少して798件、物件取得数は317件減少して854件、期末保有物件数は29件減少して558件、期末保有総額(退去分除く取得時価格累計)は7億48百万円減少して81億32百万円となった。なお、営業外収益の匿名組合投資利益として計上しているHLBファンドからの利益分配10億60百万円(前期は3億90百万円)を含めると、営業利益は7.6%減の33億24百万円となる。

 金融事業は売上高が14.7%増の5億63百万円、営業利益が70.7%増の1億79百万円だった。大幅増収増益だった。リバースモーゲージ保証の新規保証件数は41件減少して504件、保証残高は73億37百万円増加して281億78百万円となった。なお不動産担保融資は戦略的に縮小(融資残高は2億42百万円減少して16億11百万円)している。

 不動産売買事業は、売上高が11.5%増の384億17百万円と順調に拡大したが、営業利益は大型案件の粗利差の影響や、地方エリア在庫の価格調整による利益率低下影響などで14.9%減の20億31百万円だった。取引件数は182件増加して1187件だった。

 不動産流通事業は成長強化事業への人員シフトにより売上高が12.1%減の14億55百万円、営業利益が11.4%減の5億11百万円だった。仲介件数は238件減少して1504件だった。

 リフォーム事業は、売上高が9.8%減の22億円、営業利益が9.8%増の2億57百万円だった。契約件数は208件減少して1326件、完工件数は136件減少して1401件だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高145億45百万円で営業利益3億84百万円、第2四半期は売上高223億82百万円で営業利益12億20百万円、第3四半期は売上高110億73百万円で営業利益92百万円、第4四半期は売上高177億35百万円で営業利益9億24百万円だった。

 26年6月期の連結業績予想は売上高が前期比15.0%減の550億円、営業利益が10.6%増の29億円、経常利益が1.9%増の30億円、親会社株主帰属当期純利益が18.4%増の27億72百万円としている。配当予想は前期比1円増配の46円(期末一括)としている。連続増配で予想配当性向は33.1%となる。

 セグメント別営業利益(全社費用等調整前)の計画は、フランチャイズ事業が前期比5.2%増の20億20百万円、不動産売買事業が73.0%増の35億15百万円、不動産流通事業が85.3%減の75百万円、金融事業が122.8%増の4億円、ハウス・リースバック事業が58.9%減の9億30百万円としている。なお当期より事業セグメントを変更し、不動産流通事業は規模の縮小に伴って不動産売買事業に、リフォーム事業は当期中に事業譲渡の実現を予定しているためその他事業に含める。

 重点施策として、フランチャイズ事業は引き続き人材やプロモーションへの積極投資を行うほか、都市部を中心に新規加盟店獲得に注力する。不動産売買事業は中古住宅買取再販を強化し、利益率および回転率の改善を図る。金融事業は都市部を中心に取り組みを強化し、残高積み上げのペースアップを図る。ハウス・リースバック事業は取扱件数を大幅抑制するが、金融事業の補助的役割などポジションを変えて継続する。

 26年6月期は増益予想としている。ハウス・リースバック事業縮小と不動産売買事業強化のためウエイトシフト期間と位置づけ、不動産売買事業の人員補強から業績転嫁へのタイムラグを考慮して下期偏重の計画としている。また特別利益にリフォーム事業譲渡益の計上を見込んでいる。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は毎年6月末

 株主優待制度(詳細は会社HP参照)は毎年6月末日現在の5単元(500株)以上保有株主を対象に、保有株式数に応じて株主限定特設ウェブサイト「And Doホールディングス・プレミアム優待倶楽部」で商品に交換できるポイントを贈呈する。

■株価は下値固め完了

 株価は安値圏だが調整一巡して下値固め完了感を強めている。高配当利回りなども評価材料であり、出直りを期待したい。8月29日の終値は1078円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS138円90銭で算出)は約8倍、今期予想配当利回り(会社予想の46円で算出)は約4.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS923円77銭で算出)は約1.2倍、そして時価総額は約215億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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