マーケットエンタープライズ、26年6月期は大幅増収増益予想、ネット型リユースとモバイル通信で収益基盤強化

 マーケットエンタープライズ<3135>(東証プライム)は、持続可能な社会を実現する最適化商社を目指して、ネット型リユース事業およびモバイル通信事業を展開(26年6月期よりセグメント区分を変更)している。26年6月期は大幅増収増益予想としている。主力2事業のさらなる成長を推進する。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。なおプライム市場の上場維持基準適合に関して、25年6月末時点で流通株式時価総額が基準を充たしていないため、これまでの計画の進捗状況について慎重に検討した結果、プライム市場への適合計画を進捗させることと並行し、スタンダード市場への上場市場区分変更申請に向けた準備を開始した。変更申請は25年12月までに行うことを予定している。株価は年初来高値を更新した。そして21年以来の高値圏だ。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■持続可能な社会を実現する最適化商社

 持続可能な社会を実現する最適化商社を目指し、ITとリアルを融合させたリユース事業を中心に事業領域拡大戦略を推進している。セグメント区分は26年6月期よりネット型リユース事業、モバイル通信事業、その他の3セグメントとする。ネット型リユース事業(個人向けリユース分野、おいくら分野)では、従来の個人向けリユース分野とマシナリー(中古農機具)分野を統合し、共通する顧客基盤およびマーケテイング手法を活用して効率的かつ収益性の高い事業運営体制を構築する。また従来のメディア事業については、既存各事業・各分野とのシナジー強化を目的として各セグメントに再編した。

 参考値として、25年6月期のセグメント別売上高はネット型リユース事業(個人向けリユース分野、マシナリー分野、おいくら分野)が124億61百万円、メディア事業が5億66百万円、モバイル通信事業が118億49百万円、調整額が▲1億05百万円、営業利益はネット型リユース事業が9億40百万円、メディア事業が2億84百万円、モバイル通信事業が5億52百万円、調整額が▲11億51百万円だった。

■ネット型リユース事業は「高く売れるドットコム」と「おいくら」

 ネット型リユース事業は、買取総合窓口サイト「高く売れるドットコム」をフラッグシップサイトとして、個人向けリユース分野、および日本最大級のリユースプラットフォーム「おいくら」(19年2月に事業譲受)分野を展開している。

 個人向けリユース分野は販売店舗を保有せずに、インターネットに特化して買取・販売サービスを展開していることが特長だ。買取総合窓口サイト「高く売れるドットコム」をフラッグシップサイトとして、商材別に分類された30カテゴリーに及ぶ幅広い対応で自社WEB買取サイトを運営し、コンタクトセンターにおける事前査定、リユースセンターにおける買取・在庫一括管理・商品化、複数の主要Eマーケットプレイス(ヤフオク、楽天市場、Amazon、Ebayなど)に出店した自社運営サイトでの販売という、一気通貫のオペレーションシステムを特徴としている。リユースセンターについては23年9月に広島リユースセンター、大阪リユースセンター東住吉店を開設し、全国16拠点となった。また「高く売れるドットコム」と日本最大級のリユースプラットフォーム「おいくら」(19年2月に事業譲受)のシステム連携・送客も強化している。

 25年3月にはLINEヤフー主催の「Yahoo!オークション Best Store Awards2024」において、同社が運営する総合リユースECストア「ReReオークションストア」が、4つの部門で部門賞を受賞するとともに、総合賞第1位(19年以来5年ぶり4度目)に選出された。

 地域社会における課題解決を目的として地方自治体との取り組みを推進しており、リユースプラットフォーム「おいくら」を導入した自治体の不用品リユース事業は、25年4月に秋田県鹿角市、北海道名寄市、25年5月に岐阜県各務原市、大阪府摂津市、岡山県笠岡市、25年6月に大阪府泉南市、静岡県富士市、東京都国分寺市、和歌山県和歌山市、東京都世田谷区、静岡県牧之原市、岐阜県垂井町、25年7月に埼玉県八潮市、福岡県直方市、三重県紀北町、山梨県都留市、埼玉県松伏町、25年8月に長崎県松浦市、東京都中央区、福岡県糸島市、高知県南国市、茨城県坂東市で導入され、導入自治体数は全国で273となった。

 また24年10月には静岡県に位置する磐田市、袋井市らと6者間連携のリユース事業協定を締結した。24年12月には成田国際空港と空港内で発生する不用品のリユースに関して業務提携した。25年2月には福島県に位置する二本松市、本宮市、大玉村、安達地方行政組合とリユース事業協定を締結した。

 25年3月には、東大松尾研発スタートアップのWanderlustとの事業提携およびAIを活用した営業アシスタントの共同開発を発表した。これにより「高く売れるドットコム」の買取成約率向上、および営業スキル向上によるサービス品質向上と売上拡大を目指す。25年7月には埼玉県坂戸市と、リユースを活用した空き家対策実証実験を行う(25年9月~12月)とリリースした。

 なお中古農機具については、子会社MEトレーディングが中古農機具の買取代行、国内および海外販売・輸出代行を展開している。

■モバイル通信事業は「カシモ」

 モバイル通信事業は、子会社のMEモバイルがMVNO事業者として、通信費の削減に資する低価格かつシンプルで分かりやすい通信サービスを展開している。主力は「カシモ」ブランドのモバイルデータ通信サービスである。

■スタンダード市場への上場市場区分変更申請に向けた準備を開始

 22年4月に実施された東京証券取引所の市場再編ではプライム市場を選択し、プライム市場上場維持基準適合に向けた計画書を公表(21年12月24日付で提出)した。中期経営計画に掲げた積極投資を経て、目標値を達成して安定的な収益基盤を構築した後、26年6月期までにプライム市場上場維持基準に適合できる体制の構築に取り組むとしている。

 そして25年8月には25年6月末時点での適合状況を公表した。流通株式時価総額が基準を充たしていないため、これまでの計画の進捗状況について慎重に検討した結果、プライム市場への適合計画を進捗させることと並行し、スタンダード市場への上場市場区分変更申請に向けた準備を開始した。変更申請は25年12月までに行うことを予定している。

■25年6月期大幅増収増益予想

 26年6月期の連結業績予想は売上高が前期比21.1%増の300億円、営業利益が75.8%増の11億円、経常利益が53.4%増の10億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が34.1%増の6億50百万円としている。

 セグメント区分を変更し、ネット型リユース事業の個人向けリユースとマシナリーを統合して個人向けリユースとするほか、従来のメディア事業を個人向けリユース、おいくら、モバイル、その他に振り分ける。新セグメントによる売上高計画は、ネット型リユース事業が13億円増の140億円(内訳は個人向けリユースが13億円増の136億円、おいくらが1億円増の4億円)で、モバイルが40億円増の158億円、その他が1億円増の2億円としている。メディア事業を組織再編し、ネット型リユース事業とモバイル通信事業の主力2事業のさらなる成長を推進する。なおデリバティブ取引の解消により、経常利益のボラティリティ要因だったデリバティブ評価損益も解消する。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は年2回、26年12月末より変更

 株主優待制度(詳細は会社HP参照)は24年6月末対象から新設し、24年12月に発表した拡充では、毎年6月末日と12月末日時点でそれぞれ500株以上保有株主に対して2万5000円分のデジタルギフトを贈呈することとした。さらに25年8月14日付で変更(保有期間の見直し)を発表した。25年12末日対象および26年6月末日対象については、前回拡充発表と同じ500株以上保有株主に対して2万5000円分のデジタルギフトを贈呈する。26年12月末からは基準日を毎年12月末日および6月末日として、500株以上を1年以上継続保有する株主を対象に2万5000円分のデジタルギフトを贈呈する。

■株価は年初来高値更新

 株価は年初来高値を更新した。そして21年以来の高値圏だ。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。8月29日の終値は1880円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS121円46銭で算出)は約15倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS254円29銭で算出)は約7.4倍、そして時価総額は約101億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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