NTT、純国産LLM「tsuzumi2」提供開始、日本語性能を世界水準に

■金融・医療・公共分野に特化した高精度処理、低コストで安全運用可能

 NTT<9432>(東証プライム)は10月20日、純国産の大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi(つづみ)2」の提供を開始したと発表。高性能・高セキュリティ・低コストを兼ね備えた同モデルは、電力消費やコスト増など生成AI普及に伴う課題に対応し、日本語処理能力を世界トップ水準に高めた軽量モデルである。NTTグループが蓄積した自然言語処理技術を基盤に、1GPU環境でも動作可能な省リソース設計を維持しつつ、企業や自治体の多様な業務への導入を想定した。

 NTTは2023年に初代「tsuzumi」を発表以来、国内企業・自治体への導入を通じてAI活用の裾野を広げてきた。今回の「2」では、金融・医療・公共分野の知識を強化し、RAG(検索拡張生成)やFine Tuningによる特化型モデル開発を効率化した。日本語理解・解析・指示遂行・安全性の主要指標で同サイズ帯のモデルを上回り、数倍規模の海外モデルと同等水準の性能を示す。さらに、オンプレミスやプライベートクラウド運用に対応し、機密情報を安全に扱える環境を整備した。これにより、生成AIのコスト構造と電力負荷を抑えつつ、国産技術によるAI主権確立を進める狙いがある。

 導入実績では、東京通信大学がクラウド非依存の学内LLM基盤として採用し、授業Q&Aや教材作成支援などに活用を開始。NTTドコモビジネスと富士フイルムビジネスイノベーションも、非構造化データ解析を高度化する新たな生成AIソリューションを共同検討している。NTTは「tsuzumi2」を軸にグループ各社のサービス実装を加速し、サイバーセキュリティや自律連携AI群の開発にも拡張する計画である。11月19日開幕の「NTT R&Dフォーラム2025」で、最新ソリューションの体験展示を行い、日本発AIの可能性を広く訴求する。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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