【株式市場特集】冬物需要回復でアパレル株再評価、厳冬追い風でバリュー株に妙味
- 2025/11/17 08:41
- どう見るこの相場

■気温急低下がシーズンストック相場発進を後押し
今週のコラムでは、バリュー株選好の別の買い切り口として厳冬需要を取り上げることにした。今年の天候は、記録的な猛暑が長期化し、秋を飛び越して気温が急低下する冬に突入する例年以上の異常気象となった。気象庁の「3か月予報」では、後半には平年並みは暖冬と予想しているが、このまま気温の上昇が限定的にとどまれば、ネガティブ・サプライズとして厳冬関連のシーズンストック相場が発進するとの先読みである。アパレル各社の月次売上高は、今年9月の猛暑の長期化で秋冬物の販売が後ずれして前年同月比マイナスとなったが、10月月次は、後半の気温低下とともに秋冬物の販売が復調してプラス転換しており、厳冬到来ならこうした逆転商状が常態化するはずである。
冬物衣料のアパレル株、厳冬関連のストーブ株、雪害対策の豪雪関連株、鍋料理関連の食品株の定番銘柄になおバリュー株が残されており、先取り買いも一考余地がありそうだ。
■株式分割も好感のアパレル株に年初来高値更新のタイヤ株も適格銘柄
アパレル株で株価が低PER水準にある銘柄をコード順にあげるとアンドエスティHD<2685>(東証プライム)、TSIホールディングス<3608>(東証プライム)、ワールド<3612>(東証プライム)、西松屋チェーン<7545>(東証プライム)、ユナイテッドアローズ<7606>(東証プライム)、三陽商会<8011>(東証プライム)、オンワードホールディングス<8016>(東証プライム)、ルックホールディングス<8029>(東証スタンダード)、AOKIホールディングス<8214>(東証プライム)、青山商事<8219>(東証プライム)などとなる。この10銘柄のPERは、8倍~14倍と市場平均を下回り、今12月期第三四半期は減収減益着地となったが第4四半期の業績リカバリー期待で年初来高値を更新したルックHDは12.2倍、自己株式取得の三陽商会は8.3倍、前週末14日に株式分割を発表したワールドは8.6倍、来年3月末に株式分割を予定している青山商事は、12.0倍で、配当利回りは5.75%と東証プライム市場の高配当利回りランキングの第14位にランクインする。
厳冬関連では、石油ファンヒーターのダイニチ工業<5951>(東証スタンダード)がPER12.1倍のほか、冬用タイヤのタイヤ株は、年初来高値更新の横浜ゴム<5101>(東証プライム)の10.8倍、今12月期業績を再上方修正したTOYO TIRE<5105>(東証プライム)の10.3倍、今期売り上げのみ下方修正した住友ゴム工業<5110>(東証プライム)の12.4倍と続き、一部業績下方修正を同時発表の株式分割でカバーして年初来高値を更新したブリヂストン<5108>(東証プライム)は18.2倍である。豪雪の雪害対策関連では、定番銘柄のショベルの浅香工業<5962>(東証スタンダード)が11.7倍で、先に下方修正した今12月期業績を一転して上方修正した除雪機のやまびこ<6250>(東証プライム)も、8.1倍の評価にしか過ぎない。
■鍋前線が南下して水産株、きのこ株、練り製品株などに定番銘柄人気
気温が18度以下に低下すると鍋料理が食べたくなる鍋適温温度とされ、この鍋前線が南下中である。主具材の野菜が異常気象の影響で値上りするマイナスとなっているが、近々ハクサイの入荷増からの値下がりも予想されている。水産大手の極洋<1301>(東証プライム)、ニッスイ<1332>(東証プライム)、マルハニチロ<1333>(東証プライム)は、PER6倍~14倍と割安なほか、きのこのホクト<1379>(東証プライム)は、今3月期業績を上方修正し増配も予定して13.7倍、水産練り製品のあじかん<2907>(東証スタンダード)が10.4倍、紀文食品<2933>(東証プライム)が8.2倍、ガスコンロの岩谷産業<8088>(東証プライム)は、7.8倍、鍋用固形燃料のニイタカ<4465>(東証スタンダード)が、13.7倍、鍋料理の外食産業の東京一番フーズ<3067>(東証スタンダード)の13.0倍、カルラ<2789>(東証スタンダード)の9.6倍など割安株が目白押しであり、株価上昇適温相場を展開しよう。
北半球ではこれから石油の需要期入りとなり、前週末に今12月期業績の再上方修正と自己株式取得枠の拡大、株主優待制度拡充を発表して年初来高値を更新したINPEX<1605>(東証プライムがPER9.6倍、今3月期業績を再上方修正した石油資源開発<1662>(東証プライム)が9.9倍で、両社株にK&Oエナジーグループ<1663>(東証プライム)を加えた鉱業3社のほか、暖房需要の石油元売り各社、電力・ガス各社もシーズンストック人気を高めよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)























