葬儀業界、2024年度は増収増益、505社調査で浮き彫りとなる競争激化

■葬儀業の休廃業・倒産が過去最多、新設法人は依然増加

 東京商工リサーチは9月16日、全国の主な葬儀会社505社を対象とした2024年度の業績動向調査を発表した。調査によると、同業界の売上高は4051億5200万円(前期比4.6%増)、最終利益は268億6900万円(同21.6%増)と増収増益を確保した。高齢化の進行と終活ブームを背景に、葬儀需要は底堅く推移しており、老舗企業を中心に堅調な成長がみられる。一方で、休廃業・解散は66件、倒産は8件と合わせて74件に達し、2013年以降で最多となった。市場の新陳代謝が進む中、新設法人数は105件と依然退出数を上回り、競争は一段と激化している。

■売上高5億円未満が7割超、老舗ブランドと新興勢力の二極化進行

 業績規模別にみると、売上高5億円未満の小規模事業者が全体の7割超を占め、特に1億円未満が197社(構成比39.0%)と最多であった。これに対し、100億円以上の大手はわずか8社にとどまり、葬儀業界は零細・中小企業主体の構造が続いている。また業歴別では、10~50年未満の企業が最多の297社(58.8%)、50年以上が3割超を占め、地域密着型の老舗がブランド力を発揮しているのが特徴である。

 さらに、コロナ禍を契機に一般葬から家族葬へのシフトが加速し、単価低下とともに「一日葬」や「直葬」といった形式も浸透している。会葬人数は回復基調にあるが、実質賃金の停滞から費用抑制の動きは根強い。こうした中、新たな需要を取り込むべく各社の競争は激しさを増し、今後はサービスの多様化とブランド力の強化が市場シェア拡大の鍵となる見通しである。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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