【TDB景気動向調査】国内景気、緩やかな持ち直し基調、農林水産は過去最高更新

■大企業と観光関連が景気を牽引、小規模企業との格差が再拡大

 帝国データバンクは12月3日、2025年11月の「TDB景気動向調査(全国)」結果を発表した。景気DIは前月比0.2ポイント増の44.1となり、2020年11月以来5年ぶりに6カ月連続で改善した。秋の旅行シーズンで観光産業が堅調に推移し、AI需要拡大を背景とした半導体・電気機械関連の生産も好調に推移するなど、仕入単価上昇の逆風を抱えつつも、国内景気は改善傾向を維持した。

■運輸・倉庫やサービスは堅調、小売と小規模企業は節約志向や熊の出没による外出控えが重荷

 業界別では、「運輸・倉庫」「卸売」など4業界が改善し、「農・林・水産」は2カ月連続で過去最高を更新した一方、「小売」など5業界が悪化した。特に観光バスや旅館・ホテルなど観光関連は底堅さを示したが、耐久財中心に節約志向の影響が出ている。規模別では「大企業」「中小企業」は改善したものの、「小規模企業」は2カ月ぶりに悪化し、規模間格差は5.2に拡大した。地域別では南関東や四国など5地域が改善する一方、北海道など5地域が悪化し、建設・イベント関連需要や熊の出没による外出控えなどが地域経済の明暗を分けた。

■高市政権の積極財政と物価高対策に企業の半数超が期待、日中・米中関係と金利動向が今後の焦点

 今後の国内景気について同社は、日中・米中関係の行方や物価高対策を含む総合経済対策、賃上げや冬季賞与による家計の実質購買力回復がカギになるとみている。企業からは就任2カ月目の高市政権の政策に対し、ポジティブな意見が5割超、ネガティブは1割未満と、期待の声が目立つ。他方で、財政拡大に伴う長期金利の上昇や日銀の政策金利引き上げ、人手不足、為替変動、日中関係の不安定化などを懸念材料とし、景気は小幅な変動をともないながらも緩やかな持ち直しが続くと見込んでいる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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