坂口志文氏がノーベル医学賞受賞、制御性T細胞の発見が免疫研究に革新、免疫関連株に高騰期待

■ノーベル賞が刺激、免疫関連株に脚光、中外製薬・ブライトパスなど物色

 大阪大学は10月6日、坂口志文特任教授が2025年ノーベル生理学・医学賞を受賞したと発表した。受賞理由は、免疫反応を抑制する「制御性T細胞(Treg)」の発見とその機能解明にある。免疫の暴走を防ぎ、自己免疫疾患やアレルギー、臓器移植における拒絶反応などを抑える同研究は、免疫制御の新たな道を切り拓いたとして世界的に高く評価された。生理学・医学賞における日本人の受賞は、2018年の本庶佑氏以来6人目、自然科学分野全体としては通算26人目となる。

■制御性T細胞の発見と治療応用の展望

 坂口氏は1980年代から研究を重ね、1985年に制御性T細胞の存在を実証、1995年にはその特定に成功した。さらに、免疫抑制の鍵を握る転写因子「FoxP3」の同定にも至り、細胞治療や再生医療への応用基盤を確立した。Tregを体外で増殖させて投与する治療や、がん治療におけるTregの機能抑制戦略など、免疫を自在に制御する応用研究が進展している。2016年には阪大発ベンチャー「レグセル」が設立され、臨床応用の実用化が加速している。

■関連企業と株式市場への波及効果

 今回の受賞は、株式市場でもバイオ・免疫関連銘柄への関心を喚起している。特に、制御性T細胞の実用化に関連する企業としては、中外製薬<4519>(東証プライム)が坂口氏らと共同研究を行っている点で注目される。また、免疫療法を展開するブライトパス・バイオ<4594>(東証グロース)、抗体製品を供給する医学生物研究所、免疫制御薬を手掛ける協和キリン<4151>(東証プライム)、創薬支援を行うトランスジェニック<2342>(東証グロース)なども物色対象に浮上している。非上場ながら坂口氏が創業したレグセルは、中外製薬などと資本関係を持ち、今後の技術発表にも注目が集まる。

■免疫治療の飛躍と投資の視点

 坂口氏の研究は、自己と非自己を識別する免疫機構の根幹を明らかにし、治療応用の地平を広げた。関節リウマチや1型糖尿病などの自己免疫疾患、がん免疫療法、移植医療、難治性アレルギー疾患といった広範な分野に波及しており、関連技術の認知度と需要は今後さらに高まるとみられる。ノーベル賞受賞を契機に、バイオ医薬分野では制御性T細胞を軸とした新たな医療ビジネスの加速が見込まれ、免疫関連銘柄全体に対する中長期的な成長期待が一段と高まっている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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