国内景気は4カ月連続で改善、景気DIは43.4に:建設・デジタル投資が押し上げ

■猛暑特需一巡もデジタル投資と旅行関連が下支え

 帝国データバンクは10月3日、2025年9月の「TDB景気動向調査(全国)」結果を発表した。景気DIは前月比+0.1の43.4となり、4カ月連続で小幅改善した。猛暑特需の一巡や原材料・物流コスト高で収益を圧迫する局面が残る一方、公共工事や再開発に支えられた建設需要、デジタル関連の設備投資、旅行関連の持ち直しが押し上げ要因となった。調査は2万5,546社を対象に実施し、有効回答は1万554社、回答率41.3%である。

■業界別では不動産・建設など5業界が改善

 業界別では、『不動産』『建設』など5業界が改善し、『卸売』は横ばい、『小売』『製造』など4業界が悪化した。『不動産』は49.3(+1.2)で売買中心に活況、『建設』は47.3(+0.5)で官民の投資と各地の再開発が寄与した。他方、『小売』は38.8(-0.6)で秋物の鈍化や季節需要の一巡が重荷、『製造』は39.2(-0.4)で原材料高や輸出の弱さが響いた。

■大企業48.2に対し中小42.5

 規模別では、「大企業」が48.2(+0.4)で5カ月連続改善し、「中小企業」は42.5(-0.1)、「小規模企業」は41.5(-0.2)と悪化した。大企業と中小企業の格差は5.7となり、調査開始以降で最大を更新した。地域別では10地域中『四国』など5地域が改善、『東北』など3地域が悪化、『南関東』など2地域が横ばい。『南関東』は45.9で7カ月連続首位を維持し、『東北』は39.2で5カ月ぶりに悪化した。

■今後の景気は当面横ばい見通し

 先行きは当面「横ばい」見通しである。手取り収入の改善による実質購買力回復と旅行需要の裾野拡大、AI関連投資が追い風となる一方、最低賃金引き上げ、人手不足、価格転嫁の遅れが重しとなる。政策・外部環境では、日銀の利上げ、米国の利下げ、トランプ関税の影響を注視する必要がある。今月のトピックスでは、建設分野で契約単価の上昇や価格転嫁進展を評価する声が複数示され、付加価値の高い後工程ほど転嫁が進みやすい傾向がうかがえた。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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