【編集長の視点】アダストリアは11月の既存店月次売上高の5カ月ぶりマイナスが響き急反落

編集長の視点

 アダストリア<2685>(東1)は、310円安の6980円と急反落して始まっている。前日2日大引け後に11月の月次売上高を発表、既存店が5カ月ぶりに前年同月を下回ったことを嫌い、10月1日につけた年初来高値7940円を前にした高値水準で目先の利益を確定する売り物が先行している。前日、同様に11月の国内月次売上高を発表した業界トップのファーストリテイリング<9983>(東1)が、既存店・全店とも前年同月を下回りきょう3日の株価が、1810円安と続急落していることも響いている。ただ、アダストリアの全店売上高は、8カ月連続して前年同月を上回ってプラスとなっており、これを前向きに評価して今2月期業績が再度、上ぶれるとの期待を高めて下値にディフェンシブ株買いも続き、寄り付きの安値からは下げ幅をやや縮めている。

■既存店は5カ月ぶりに前年同月を下回るが全店売上高は8カ月連続のプラス

 11月の月次売上高は、既存店売り上げが、前年同月比1.1%減と今年6月以来5カ月ぶりにマイナスとなったが、全店売り上げは、同0.9%増とプラスをキープし今年4月以来8カ月連続で前年同月を上回った。全国的に気温が高く、各地で月平均気温が記録を更新し、雨も多かったことから客数が既存店で4.1%減、全店で1.6%減となったことが月次売上高の伸び悩みにつながったが、全店ベースでは、新規出店を5店舗(退店1店舗)と積極継続し前年同月を上回った。アイテム別では、ニット類、ショートブーツなどが人気となり、気温の低下とともに冬物アウターにも動きがみられた。この結果、3月~11月の第3四半期9カ月の売上高は、既存店が前年同期比6.6%増、全店が同9.6%増と3月~8月の第2四半期(2Q)6カ月の既存店伸び率4.9%増を上回り、全店の10.0%増をやや下回った。

 なお、ファーストリテイリングの月次売上高は、既存店が前年同月比8.9%減と4カ月ぶりにマイナス転換し、直営店・ダイレクト販売合計で8.1%減となり、今8月期9~11月の第1四半期累計でも既存店が、前年同期比2.3%減、直営店・ダイレクト販売合計も同8.1%減となった。

 一方、アダストリアの今2月期業績は、今年6月、9月と今期2Q累計業績を2回上方修正し、2Q累計業績開示の9月に今度は2月通期業績を上方修正するなど好調に推移した。2月通期業績の上方修正は、主力ブランドでのベーシックアイテムの品質改善・販売力の向上、WEB事業の大幅伸長に加え天候にも恵まれ、値下げロスの抑制、販管費コントロールも寄与して、円安による仕入原価上昇の影響をカバーすることが要因となった。経常利益は、期初予想の70億円を73億円引き上げて143億円(前期比2.2倍)、純利益は、同じく24億円を44億円アップさせて68億円(同13.5倍)とV字回復を鮮明化する。上方修正に伴い2Q配当を期初予想の30円から40円へ、期末配当も45円から70円にそれぞれ引き上げ、年間110円(前期実績75円)に大幅増配する。

■再三の業績上方修正と大幅増配に信用好需給がオンして高値奪回に再発進

 株価は、今年6月の今期2Q累計業績の上方修正ではストップ高し、9月の2回目の2Q累計業績の上方修正で7000円台の上値を追い、2月通期業績の上方修正と増配では年初来高値7940円まで買い進まれて6660円と調整、その後発表した自己株式取得を手掛かりに7000円台央までリバウンドした。PER評価では26倍台と割高水準にあるが、ディフェンシブ株人気を高めて薄めながら信用取組が株不足で逆日歩のつく信用好需給も支援材料に高値奪回を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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